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安息
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「それいいんじゃない?」
「え、いいの? 健ちゃん絶対ダメって言うと思った……」
「いやー、確かに東郷くんは長男だしポジション的にまずいんだけど、静音的には安心でしょ?」
「うん……まぁ。同級生だし」
「得体の知れない男を取っ替え引っ替えするより俺も安心かなって」
まさか健ちゃんにOK貰えるとは。
「でも……父さんに知られたら怒られるよね?」
「ああ、それはなぁ。まぁ俺が黙ってればなんとか……」
とりあえず来週の水曜日に東郷と会う約束はしていて、健斗が良いと言おうとだめだと言おうとその返事を話すつもりだったのだ。
僕はまたしても浮かれた気持ちで水曜日を迎えた。今までとは違い、おしゃべりするためだけでなく、僕を抱くために東郷が来るのだ。
「嬉しい……」
いそいそと部屋を掃除しているうちに男はやってきた。
いつもと違う様子は見られない。いつも通り堂々として落ち着いている。
健斗から了解を得られたと話すと、自信があったと言ってニヤリと笑った。
「だって、蒼井さんだって知らない男を何人もここに寄越すのは嫌だった筈だ。俺一人に絞られた方が管理も楽だろうし。まあ、俺が何かやらかさなければの話だが」
「そう……。やらかすって?」
「ほら、お前に執着してストーカーになったりしたら困るんだろ? 俺はそんな事しないから安心しろ」
「それは――はい」
「お前もほら、スポーツジムの契約でもしたと思って。な?」
東郷にとっては本気でスポーツジムの契約と同じ感覚なのだろう。
眠れないから週に一回身体を動かし汗を流す。それだけのことだ。
そう、それが気楽じゃないか。
本当は地位のある長男は僕の相手として対象外なんだから。
「さ、始めようか」
ジムで鍛える為にそうするように、東郷はためらいなく服を脱いだ。
好きになりかけてる男に抱かれる身としては複雑だが、本来好きになってはならない相手だ。僕もこの「軽さ」に慣れよう。
そうやっているうちに、僕だってスポーツのように楽しめるようになるかもしれない。
「あ……東郷待って、ああ!」
そんなことは決して無いと、すぐに思い直した。肌を合わせた途端にゾクゾクして、この男が好きだと細胞が燃え上がるような感覚を得る。
「ひ、だめ! そこいやっ、あっ……ん」
唇が触れるだけでも気持ちいい。舌が入り込んできて、歯茎を抉られるのが気持ちいい。
全部食べ尽くして欲しい、と性器を舐められ泣きながら言ってしまった。
恥ずかしすぎる。何がスポーツジムだ。
ただ救いなのは、そうやって乱れる僕を見て東郷が楽しんでいたことだ。
明らかに、僕を煽ってわざとおかしなことを言わせていた。
「意地悪!」
事後に僕は枕を投げつけて詰った。
東郷は飛んでくる枕をかわして笑う。
「なんだよ、少し意地悪してやる方が前回も良さそうだったじゃないか」
「なっ、何でそういうこと言うの!?」
「お前が可愛いから」
「ばか……っ」
顔が熱い。何でほんとにいつもいつも恥ずかしいことばかり言うんだ。ジムでこんなこと言わないだろ。
ニヤニヤしている東郷に何を言っても無駄だ。僕だけが彼のことを好きでこうやって振り回されている。
それでも、毎週水曜日に会いに来てくれることに喜びを感じずにはいられなかった。
「え、いいの? 健ちゃん絶対ダメって言うと思った……」
「いやー、確かに東郷くんは長男だしポジション的にまずいんだけど、静音的には安心でしょ?」
「うん……まぁ。同級生だし」
「得体の知れない男を取っ替え引っ替えするより俺も安心かなって」
まさか健ちゃんにOK貰えるとは。
「でも……父さんに知られたら怒られるよね?」
「ああ、それはなぁ。まぁ俺が黙ってればなんとか……」
とりあえず来週の水曜日に東郷と会う約束はしていて、健斗が良いと言おうとだめだと言おうとその返事を話すつもりだったのだ。
僕はまたしても浮かれた気持ちで水曜日を迎えた。今までとは違い、おしゃべりするためだけでなく、僕を抱くために東郷が来るのだ。
「嬉しい……」
いそいそと部屋を掃除しているうちに男はやってきた。
いつもと違う様子は見られない。いつも通り堂々として落ち着いている。
健斗から了解を得られたと話すと、自信があったと言ってニヤリと笑った。
「だって、蒼井さんだって知らない男を何人もここに寄越すのは嫌だった筈だ。俺一人に絞られた方が管理も楽だろうし。まあ、俺が何かやらかさなければの話だが」
「そう……。やらかすって?」
「ほら、お前に執着してストーカーになったりしたら困るんだろ? 俺はそんな事しないから安心しろ」
「それは――はい」
「お前もほら、スポーツジムの契約でもしたと思って。な?」
東郷にとっては本気でスポーツジムの契約と同じ感覚なのだろう。
眠れないから週に一回身体を動かし汗を流す。それだけのことだ。
そう、それが気楽じゃないか。
本当は地位のある長男は僕の相手として対象外なんだから。
「さ、始めようか」
ジムで鍛える為にそうするように、東郷はためらいなく服を脱いだ。
好きになりかけてる男に抱かれる身としては複雑だが、本来好きになってはならない相手だ。僕もこの「軽さ」に慣れよう。
そうやっているうちに、僕だってスポーツのように楽しめるようになるかもしれない。
「あ……東郷待って、ああ!」
そんなことは決して無いと、すぐに思い直した。肌を合わせた途端にゾクゾクして、この男が好きだと細胞が燃え上がるような感覚を得る。
「ひ、だめ! そこいやっ、あっ……ん」
唇が触れるだけでも気持ちいい。舌が入り込んできて、歯茎を抉られるのが気持ちいい。
全部食べ尽くして欲しい、と性器を舐められ泣きながら言ってしまった。
恥ずかしすぎる。何がスポーツジムだ。
ただ救いなのは、そうやって乱れる僕を見て東郷が楽しんでいたことだ。
明らかに、僕を煽ってわざとおかしなことを言わせていた。
「意地悪!」
事後に僕は枕を投げつけて詰った。
東郷は飛んでくる枕をかわして笑う。
「なんだよ、少し意地悪してやる方が前回も良さそうだったじゃないか」
「なっ、何でそういうこと言うの!?」
「お前が可愛いから」
「ばか……っ」
顔が熱い。何でほんとにいつもいつも恥ずかしいことばかり言うんだ。ジムでこんなこと言わないだろ。
ニヤニヤしている東郷に何を言っても無駄だ。僕だけが彼のことを好きでこうやって振り回されている。
それでも、毎週水曜日に会いに来てくれることに喜びを感じずにはいられなかった。
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