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愉悦
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それを聞いた東郷が顔を顰めた。
「正気じゃない……こんなこと……」
「だから言ったでしょう? 僕は正気じゃないんだってば。なんで戻ってきちゃったの?」
僕はもう我慢できそうになかった。
手を伸ばして東郷のネクタイを引っ張る。
「僕は帰れって言ったのに……」
「くそ……」
顔を近づけようとしたら、東郷が僕の手を払った。そこで僕はハッとする。
ああ、そうだ。帰ったほうがいい。危なかった。
しかし僕の誘いを退けて帰るんだと思ったら、東郷はジャケットの胸元からスマホを取り出した。
「ああ私だ。この後のランチミーティングをキャンセルしてくれ。ああ、15時の会議は直接行くから。うん、それでいい」
東郷は通話を終えてジャケットを脱ぐとスマホと一緒にソファに放った。
「え、何してるの……?」
「あまり時間が無い。さっさとやるぞ」
「え!?」
やるぞって、本気?
東郷は僕をベッドに押し倒した。少し正気を取り戻しかけていた僕は抵抗する。
「やめなよ! 自分で言ったじゃないこんなことやめろって!」
「いや、俺が悪かった。こんなにひどい症状だとは思わなかったんだ」
「だからって、ああっだめ、首舐めないで……」
「ふ、ダメって声かそれ? ああ、お前いい匂いするな」
「んっ。かがないで……」
ああ、ダメだ。この低い声を耳元で聞かされるの無理だよ……。
背筋がゾクゾクして頭が回らなくなる。でもダメだなんて口だけで、僕は自分から彼に足を絡めてしまう。
東郷の手がシャツの中に忍び込む。乳首に指先が触れるとジンと痺れが走る。
「ああっ!」
「男とやったことないんだ。やり方がまずかったら言ってくれ」
「んっ、ああ……」
もう、どんな風に触られても東郷の指ならなんでもよかった。
僕は身体に力が入らずぐったりしてしまう。東郷は僕のスラックスと下着を下ろして下半身をむき出しにする。
まだちょっと乳首をいじられただけなのに興奮してペニスが勃ち上がりかけていた。
「恥ずかしい……」
「男のものなんて初めて握るよ」
そりゃあそうだろう。東郷みたいな男が乳房じゃなくてペニスを握るなんて普通じゃ考えられない。そのまましごかれて僕は喘ぐ。
「あっああっ! 気持ちいいっ」
しばらく前をいじってくれた後、次はどうすればいい?と聞かれた。
「そこの引き出しに……ローションが入ってるから……」
東郷は言われた通りにローションを出して手に取り、僕の尻の合間に塗り込んだ。
「んんっ、はぁ、ああ……いい……指中に挿れてぇ……」
おい、僕は東郷に対して一体何てことを言ってるんだ? 黙れよ、自分!
ずちゅずちゅと中で液体がかき混ぜられる音がする。
なんて恥ずかしい音がするの? こんな音を東郷も聞いてると思うと頭がおかしくなりそうだった。
「西園寺、気持ちいいのか?」
「いいっいいよ……」
「そろそろ挿れてもいいか?」
え! 本気で最後までする気!?
「あ……だめ。指でいいから……あんっ」
「何? 毎週やってるって、まさか指でイかされて終わりか?」
「ちがう……ぅ、違うけど……東郷のはだめなの……挿れないで……」
「だってそれじゃあ症状が治まらないんじゃないのか?」
「いやぁ……だめ……」
喋りながらも東郷の指は僕の中で蠢いていた。
時おり前立腺に擦れてその度僕の腰が跳ねた。
僕は理性が失われているなりに、心の奥底で絶対超えてはいけないラインを引いていた。
寝たら終わり。僕はきっと東郷への執着を捨てられなくなる。
「なぁ西園寺。お願いだから挿れていいって言ってくれ。さすがに同意無しではできない、頼むから」
「だめ、だめ……!」
僕は理性を飛ばしかけながらも必死で首を振る。
絶対にだめ、最後までしちゃったら東郷のこと絶対好きで仕方がなくなる。
――だからだめなのに。
子どもをあやすように優しく頭を撫でられ、聞いたこともないような甘ったるい声で東郷が僕に言い含める。
「西園寺、したいよな? ここに俺のを挿れて欲しい?」
欲しいに決まってる! この男が死ぬほど欲しい。
「言ってくれ……お願いだ。欲しいだろ?」
だめ……だめ……だめ……!
「……しい……欲しいっ」
ああ、だめ。言っちゃだめなのに――。
「挿れて、東郷……!」
「そんなに俺のことが嫌なら好きな男のこと考えてていいから」
そんなわけない。好きな男なんて東郷以外いない。
そう叫びそうになるのを歯を食いしばって耐えていると、彼のものが後孔に押し当てられた。
「んんっ、あ……」
入ってくる……。
こんなことしたら東郷のこと本気で好きになる――それが嫌だっただけ。
して欲しいに決まってる。
僕はこれがずっと欲しくてたまらなかったんだ。
東郷の大きな身体が僕を包むようにして揺れる。
気持ちいい。性的な快楽だけじゃない、何とも言えない安心感みたいなもので僕は満たされた。
「ああっいい……! はぁ、はぁ……ああっ」
ずっとこのままでいたい。
どうしてずっとこうやって抱きしめてもらっちゃいけないんだっけ?
僕はずっと、酷くされるのが好きだと思ってた。その方が感じるから。
でも、東郷は具合の悪い僕を気遣うようにゆっくり揺すってるだけなのに何でこんなに気持ちいいの?
上野や名取さんが相手でさえ、ちょっと強めにしてもらわないと僕は満足出来なかったのに。
知らなかった、好きな人にされるのってこんなに気持ちいいんだ――。
いや、好きな人ってなんだよ。
これだから僕は東郷と寝るのは嫌だったんだ……。
「ああ、あぅ! あんっ」
「気持ちいいか? 痛くない?」
「痛くない……きもちいい……あ……ん」
「綺麗だな、お前の目……」
そう言って東郷は僕に口づけした。
後ろをゆるく突かれる度、勃ち上がった僕の先端から白濁液が溢れる。
ダラダラと射精するのが止まらない。
――ずっと気持ちいいのすごい……東郷……東郷。こんなの初めて……。
「正気じゃない……こんなこと……」
「だから言ったでしょう? 僕は正気じゃないんだってば。なんで戻ってきちゃったの?」
僕はもう我慢できそうになかった。
手を伸ばして東郷のネクタイを引っ張る。
「僕は帰れって言ったのに……」
「くそ……」
顔を近づけようとしたら、東郷が僕の手を払った。そこで僕はハッとする。
ああ、そうだ。帰ったほうがいい。危なかった。
しかし僕の誘いを退けて帰るんだと思ったら、東郷はジャケットの胸元からスマホを取り出した。
「ああ私だ。この後のランチミーティングをキャンセルしてくれ。ああ、15時の会議は直接行くから。うん、それでいい」
東郷は通話を終えてジャケットを脱ぐとスマホと一緒にソファに放った。
「え、何してるの……?」
「あまり時間が無い。さっさとやるぞ」
「え!?」
やるぞって、本気?
東郷は僕をベッドに押し倒した。少し正気を取り戻しかけていた僕は抵抗する。
「やめなよ! 自分で言ったじゃないこんなことやめろって!」
「いや、俺が悪かった。こんなにひどい症状だとは思わなかったんだ」
「だからって、ああっだめ、首舐めないで……」
「ふ、ダメって声かそれ? ああ、お前いい匂いするな」
「んっ。かがないで……」
ああ、ダメだ。この低い声を耳元で聞かされるの無理だよ……。
背筋がゾクゾクして頭が回らなくなる。でもダメだなんて口だけで、僕は自分から彼に足を絡めてしまう。
東郷の手がシャツの中に忍び込む。乳首に指先が触れるとジンと痺れが走る。
「ああっ!」
「男とやったことないんだ。やり方がまずかったら言ってくれ」
「んっ、ああ……」
もう、どんな風に触られても東郷の指ならなんでもよかった。
僕は身体に力が入らずぐったりしてしまう。東郷は僕のスラックスと下着を下ろして下半身をむき出しにする。
まだちょっと乳首をいじられただけなのに興奮してペニスが勃ち上がりかけていた。
「恥ずかしい……」
「男のものなんて初めて握るよ」
そりゃあそうだろう。東郷みたいな男が乳房じゃなくてペニスを握るなんて普通じゃ考えられない。そのまましごかれて僕は喘ぐ。
「あっああっ! 気持ちいいっ」
しばらく前をいじってくれた後、次はどうすればいい?と聞かれた。
「そこの引き出しに……ローションが入ってるから……」
東郷は言われた通りにローションを出して手に取り、僕の尻の合間に塗り込んだ。
「んんっ、はぁ、ああ……いい……指中に挿れてぇ……」
おい、僕は東郷に対して一体何てことを言ってるんだ? 黙れよ、自分!
ずちゅずちゅと中で液体がかき混ぜられる音がする。
なんて恥ずかしい音がするの? こんな音を東郷も聞いてると思うと頭がおかしくなりそうだった。
「西園寺、気持ちいいのか?」
「いいっいいよ……」
「そろそろ挿れてもいいか?」
え! 本気で最後までする気!?
「あ……だめ。指でいいから……あんっ」
「何? 毎週やってるって、まさか指でイかされて終わりか?」
「ちがう……ぅ、違うけど……東郷のはだめなの……挿れないで……」
「だってそれじゃあ症状が治まらないんじゃないのか?」
「いやぁ……だめ……」
喋りながらも東郷の指は僕の中で蠢いていた。
時おり前立腺に擦れてその度僕の腰が跳ねた。
僕は理性が失われているなりに、心の奥底で絶対超えてはいけないラインを引いていた。
寝たら終わり。僕はきっと東郷への執着を捨てられなくなる。
「なぁ西園寺。お願いだから挿れていいって言ってくれ。さすがに同意無しではできない、頼むから」
「だめ、だめ……!」
僕は理性を飛ばしかけながらも必死で首を振る。
絶対にだめ、最後までしちゃったら東郷のこと絶対好きで仕方がなくなる。
――だからだめなのに。
子どもをあやすように優しく頭を撫でられ、聞いたこともないような甘ったるい声で東郷が僕に言い含める。
「西園寺、したいよな? ここに俺のを挿れて欲しい?」
欲しいに決まってる! この男が死ぬほど欲しい。
「言ってくれ……お願いだ。欲しいだろ?」
だめ……だめ……だめ……!
「……しい……欲しいっ」
ああ、だめ。言っちゃだめなのに――。
「挿れて、東郷……!」
「そんなに俺のことが嫌なら好きな男のこと考えてていいから」
そんなわけない。好きな男なんて東郷以外いない。
そう叫びそうになるのを歯を食いしばって耐えていると、彼のものが後孔に押し当てられた。
「んんっ、あ……」
入ってくる……。
こんなことしたら東郷のこと本気で好きになる――それが嫌だっただけ。
して欲しいに決まってる。
僕はこれがずっと欲しくてたまらなかったんだ。
東郷の大きな身体が僕を包むようにして揺れる。
気持ちいい。性的な快楽だけじゃない、何とも言えない安心感みたいなもので僕は満たされた。
「ああっいい……! はぁ、はぁ……ああっ」
ずっとこのままでいたい。
どうしてずっとこうやって抱きしめてもらっちゃいけないんだっけ?
僕はずっと、酷くされるのが好きだと思ってた。その方が感じるから。
でも、東郷は具合の悪い僕を気遣うようにゆっくり揺すってるだけなのに何でこんなに気持ちいいの?
上野や名取さんが相手でさえ、ちょっと強めにしてもらわないと僕は満足出来なかったのに。
知らなかった、好きな人にされるのってこんなに気持ちいいんだ――。
いや、好きな人ってなんだよ。
これだから僕は東郷と寝るのは嫌だったんだ……。
「ああ、あぅ! あんっ」
「気持ちいいか? 痛くない?」
「痛くない……きもちいい……あ……ん」
「綺麗だな、お前の目……」
そう言って東郷は僕に口づけした。
後ろをゆるく突かれる度、勃ち上がった僕の先端から白濁液が溢れる。
ダラダラと射精するのが止まらない。
――ずっと気持ちいいのすごい……東郷……東郷。こんなの初めて……。
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