【完結】セックス依存症の精神科医がスパダリCEOと結ばれるまで

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浮かれた火曜日

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火曜日の診察が終わった後、事務仕事を終えた看護師の藤岡が帰りがけに話しかけてきた。

「先生、何かいい事ありました?」
「え? 何?」
「いえ、何だか今日はご機嫌な様子だったので」
「いや、別に何も無いけど……」
「そうですか? てっきり明日は彼女とデートかなって思っちゃいました。すいません変なこと言って。それじゃあお疲れ様でした~」

え、何それ。僕そんな浮かれた顔してるの? 恥ずかしい――。

でも先週の水曜日に寝た相手はあまり相性が良くなかったのに、そういえば今のところあまり体調が悪くなっていない。普段なら、良くない相手とした後は次の水曜日を待たずに具合が悪くなる事が多いのに。
好みの相手に会えるからって浮かれるなんて――馬鹿みたいだ。

「はぁ、帰ろ……」

大体、明日東郷はそういうつもりで来るわけじゃない。あの日東郷が診察に来た後健斗に確認したけど、やっぱり健斗は何も知らなかった。

だけどせっかく水曜日に来てくれるんだからちょっとだけ試しに迫っちゃおうかな。気持ち悪いって怒られるかな。
――でも別に友達じゃないし?
僕があの東郷を落とせたらすごいよね。今更恥なんて無いし、一回だけ。
父さんに知られたらまずいから本当に一回だけ――してみたいな。

いやいや、東郷は男なんか興味無いんだった。出来るわけない。でも、なんで東郷はわざわざ睡眠薬を貰うため僕のところへ診察に来たんだろう? 他に会社から近くて通いやすいクリニックはたくさんあるだろうに。

――向こうから来たんだもん、嫌われてはいないよね。
ああ、全く僕は何を考えてるんだろう。
でも来週まで誰ともしないで身体が持つかなぁ。明日の午後に来てくれる人がいないか、健ちゃんに聞いておこう。

僕は明日のことを健斗に頼んだ。そうしておかないと、東郷と明日会う時に変に期待してしまいそうだったから。
自分で午後に予定を入れる事で、自分は期待してないって思い込もうとしていた。
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