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【side東郷】打ち合わせ
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俺は西園寺に会った日の夜、蒼井に連絡して待ち合わせをした。
西園寺の手首の傷と、その言い訳について話したら蒼井は激昂した。
「馬鹿な! あいつは20歳そこそこの時、それを言って男に暴力ふるわれて大怪我してる。だから絶対にそんなこと言うわけないんだ」
「そうだったのか」
「おい、あんたそれ信じたのか? 元養子を病院送りにしてるようなやつだぞ!」
「やっぱりおかしいよな……。蒼井さん、西園寺の身に何かあったら……」
「おい、しっかりしてくれ。あんたが頼りなんだ」
「それはわかってる。そういえばただ連れ戻しに行っても門前払いだろうから、ちょっとしたネタを仕入れておいたんだ。見てくれ」
俺はここで持ってきていた封筒を取り出し蒼井に渡した。
「なんだこれ?」
「六条の会社をこっちでもちょっと調べさせたんだ。そしたら色々出てきたよ」
「例えば?」
「建築不可の土地なのを隠して売ったり、架空の都市計画をでっち上げて高値で売ろうとしたり……まあそこら辺のチンピラまがいのやり口でちょいちょい訴えられかけてる」
「絵に描いたようなクズだな……」
「ここらへんをリークすると脅して西園寺を返してもらう。どうだろう?」
「わかった。じゃあ正面切って行くんだな」
「ああ」
手土産も用意できたことだし、これで仕切り直しだ。
西園寺は意外と頑固だから、あいつ本人じゃなくて六条に切り込むしかない。
「そういえば、西園寺って子どもの頃女の格好をしていたことがあるか?」
「ん? ああ。親父さんが迷信深い人だからな。鬼だとか悪魔だとかに攫われないようにって小さい頃は女物の服を着せられてたよ」
「そうか……さっき赤い着物を着ていて思い出したんだ。昔見た女の子のことを」
「ああ、静音だろ? 言ってたよ、あいつ。初恋の相手が東郷だったって喜んでた」
「え?」
「だから、静音の初恋の相手はお前だ東郷! いい加減目を覚ましてくれよ」
「え……西園寺は昔俺と会ってたことを知ってた……?」
蒼井は盛大に溜息をついた。
「はぁ~あ。ほしいと思わずになんでも手に入れてきた奴はこれだから……」
「なんだよ」
「しっかりしろ、東郷。そんな鈍感で大丈夫なのか? 本当に欲しいものは自分から取りに行かないと手に入らないんだぞ」
「だから今から行くと言ってる」
やれやれ、とでも言うように蒼井は首を振った。そして気を取り直したように真面目な顔で言う。
「そういえば静音の親父さんがこんなチンピラみたいな奴になんで息子をやろうとしたのかも少しわかってきたよ」
「なんだ?」
「六条の元恋人で、親父さんの会社の秘書をやってるやつがいるんだ」
「そんな所でつながってたのか」
「今こっちでも調査中なんだが、その秘書が決算で数字を盛ったことを六条に話したらしくてな。弱みを握られてるわけだ。それで、脅されでもしたんだろう。ご機嫌取りのために六条好みの男として静音を生贄にしたってところだ」
「それでなんで親父さんが首を縦に振るんだ?」
「どうやらここがミソでな。六条は自分の名前がそれっぽいことを利用して、陰陽師の家系だとかなんとか言って親父さんに取り入ったらしいんだ。それで、静音の病気のことを知っていた秘書が、病気が治るとかデタラメを言って信じ込ませたって経緯があるらしい」
「なんて馬鹿げた……だからあの親父さんは考えが古すぎると前から言っていたんだ……!」
親父さんはともかく、六条のところへ行かなければ。
俺は早速用意した資料をちらつかせ、次の日曜日に六条と会う約束を取り付けた。
なにがあってもここで西園寺を取り戻さなければならない。
西園寺の手首の傷と、その言い訳について話したら蒼井は激昂した。
「馬鹿な! あいつは20歳そこそこの時、それを言って男に暴力ふるわれて大怪我してる。だから絶対にそんなこと言うわけないんだ」
「そうだったのか」
「おい、あんたそれ信じたのか? 元養子を病院送りにしてるようなやつだぞ!」
「やっぱりおかしいよな……。蒼井さん、西園寺の身に何かあったら……」
「おい、しっかりしてくれ。あんたが頼りなんだ」
「それはわかってる。そういえばただ連れ戻しに行っても門前払いだろうから、ちょっとしたネタを仕入れておいたんだ。見てくれ」
俺はここで持ってきていた封筒を取り出し蒼井に渡した。
「なんだこれ?」
「六条の会社をこっちでもちょっと調べさせたんだ。そしたら色々出てきたよ」
「例えば?」
「建築不可の土地なのを隠して売ったり、架空の都市計画をでっち上げて高値で売ろうとしたり……まあそこら辺のチンピラまがいのやり口でちょいちょい訴えられかけてる」
「絵に描いたようなクズだな……」
「ここらへんをリークすると脅して西園寺を返してもらう。どうだろう?」
「わかった。じゃあ正面切って行くんだな」
「ああ」
手土産も用意できたことだし、これで仕切り直しだ。
西園寺は意外と頑固だから、あいつ本人じゃなくて六条に切り込むしかない。
「そういえば、西園寺って子どもの頃女の格好をしていたことがあるか?」
「ん? ああ。親父さんが迷信深い人だからな。鬼だとか悪魔だとかに攫われないようにって小さい頃は女物の服を着せられてたよ」
「そうか……さっき赤い着物を着ていて思い出したんだ。昔見た女の子のことを」
「ああ、静音だろ? 言ってたよ、あいつ。初恋の相手が東郷だったって喜んでた」
「え?」
「だから、静音の初恋の相手はお前だ東郷! いい加減目を覚ましてくれよ」
「え……西園寺は昔俺と会ってたことを知ってた……?」
蒼井は盛大に溜息をついた。
「はぁ~あ。ほしいと思わずになんでも手に入れてきた奴はこれだから……」
「なんだよ」
「しっかりしろ、東郷。そんな鈍感で大丈夫なのか? 本当に欲しいものは自分から取りに行かないと手に入らないんだぞ」
「だから今から行くと言ってる」
やれやれ、とでも言うように蒼井は首を振った。そして気を取り直したように真面目な顔で言う。
「そういえば静音の親父さんがこんなチンピラみたいな奴になんで息子をやろうとしたのかも少しわかってきたよ」
「なんだ?」
「六条の元恋人で、親父さんの会社の秘書をやってるやつがいるんだ」
「そんな所でつながってたのか」
「今こっちでも調査中なんだが、その秘書が決算で数字を盛ったことを六条に話したらしくてな。弱みを握られてるわけだ。それで、脅されでもしたんだろう。ご機嫌取りのために六条好みの男として静音を生贄にしたってところだ」
「それでなんで親父さんが首を縦に振るんだ?」
「どうやらここがミソでな。六条は自分の名前がそれっぽいことを利用して、陰陽師の家系だとかなんとか言って親父さんに取り入ったらしいんだ。それで、静音の病気のことを知っていた秘書が、病気が治るとかデタラメを言って信じ込ませたって経緯があるらしい」
「なんて馬鹿げた……だからあの親父さんは考えが古すぎると前から言っていたんだ……!」
親父さんはともかく、六条のところへ行かなければ。
俺は早速用意した資料をちらつかせ、次の日曜日に六条と会う約束を取り付けた。
なにがあってもここで西園寺を取り戻さなければならない。
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