【完結】セックス依存症の精神科医がスパダリCEOと結ばれるまで

grotta

文字の大きさ
上 下
13 / 40

初対面

しおりを挟む
その人との約束は健斗が間に入って取り付けられ、僕たち当人同士は直接連絡先を知ることは無かった。何かあった際に、連絡が取れない方が都合が良いからだ。

健斗からの指示通り、僕は待ち合わせ場所に立っていた。
すると目の前にホワイトのマイバッハが停車して助手席のサイドウィンドウが開く。待っている間、男を抱くために秘密で連絡を取り合ってわざわざ迎えに来るなんてどんな人間だろうと思っていた。しかし想像よりも品の良さそうな三十代くらいの男性が声を掛けてくる。

「君が静音君?」
「はい」
名取なとりだ。お待たせ、どうぞ乗って」

なんでもないことだと思っていたのに、知らない相手の車に乗ると思うとちょっとだけ手が震えた。だけど僕は感情を押し殺して助手席に乗り込んだ。

「君みたいな綺麗な子だとは思ってなくて驚いたよ」

名取と名乗った男は運転しながら話しかけてくる。僕はどう応えたら良いかわからず、適当に返事をした。

「ありがとうございます」
「ご飯食べてないよね?」
「はい」
「レストラン予約してるから。フレンチでいい?」
「……はい」

正直お腹は空いていなかった。それより早くこの体の熱をどうにかしたかった。
名取はホテル内のフレンチレストランに僕を連れて行き、勝手にコース料理を注文してワインを飲み始めた。僕はお酒を飲むのはあれ以来控えていたので断った。
向こうは上機嫌で色々話しかけてきたが、経済の話はよくわからないし興味もない。僕が20歳と知ると驚いた顔をして、その後好奇の目で上から下まで眺められた。彼は35歳だと言った。

――整った顔立ちで、いい車に乗っていてモテそうなのになんで僕みたいな男を抱こうだなんて思うんだろう。結婚はしていないのかな?
見たところ指輪はしていなかった。

料理は美味しかったけどやっぱり食欲が無くて食べきれなかった。名取は僕が緊張してるせいだと思っているようだった。

「今日はついてるな。こんな美人……しかも20歳とはね」

ホテルのエレベーターの中で僕のうなじに触れながら彼がそう言った。

部屋に入るなり、僕は体のうずきを持て余して名取の胸にしがみつく。

「もう、我慢できない……」
「驚いた。随分積極的なんだな。さっきから話しかけても生返事だったからやる気ないのかと思っていたよ」
「だって早くしたかったから……」

僕が彼の胸に額を擦りつけながらそう言うと、名取は笑みを引っ込めて生唾を飲み込んだ。

「いいね、清楚っぽい見た目なのに中身は淫乱なんだ……たまんないな」
「いいから……早く、キスして」

もうそこから名取は無駄口を叩くのをやめた。粗っぽい様子で口づけしてくる。

「んっん……うっん」

遊び慣れた見た目に違わず、名取はキスが上手かった。僕はそれだけですっかり気分が良くなってくる。

「あ……たくさん触って……気持ちよくなりたい……」
「いいよ、可愛いな。なんでもしてあげるよ」

実際名取はなんでもしてくれた。全身舐め回され、何度も絶頂に追いたてられる。久々のセックスなのもあって僕は乱れた。
その姿を見て名取は喜んだ。
僕はちょっと乱暴にされるくらいが好きみたいで、「酷くして」と無意識で名取にせがむ。
彼は加減を心得ていて、傷跡が残らない程度に僕に噛み付いたり、思い切り激しく後ろから突いたりしてくれた。めちゃくちゃにされて、その間僕は頭が空っぽになって快感だけを追うことができた。

「あ……気持ちいいっ。あんっ、あ、名取さん……」
「可愛いよ、静音……」

彼の低く響く声が僕を一層興奮させた。
名前を呼ばれながらしたい。自分が誰かに求められてるのを感じたかった。

「……名前もっと呼んで……」
「静音……いっていいよ静音。全部出して」

名取は僕の感じるところを集中的に突いてくる。終わりが近い――。

「そこっ、だめ。あっ…イクっ、ああ……っ」

僕が全身硬直させて欲望を吐露した後、しばらくして名取も達した。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

泣くなといい聞かせて

mahiro
BL
付き合っている人と今日別れようと思っている。 それがきっとお前のためだと信じて。 ※完結いたしました。 閲覧、ブックマークを本当にありがとうございました。

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

思い出して欲しい二人

春色悠
BL
 喫茶店でアルバイトをしている鷹木翠(たかぎ みどり)。ある日、喫茶店に初恋の人、白河朱鳥(しらかわ あすか)が女性を伴って入ってきた。しかも朱鳥は翠の事を覚えていない様で、幼い頃の約束をずっと覚えていた翠はショックを受ける。  そして恋心を忘れようと努力するが、昔と変わったのに変わっていない朱鳥に寧ろ、どんどん惚れてしまう。  一方朱鳥は、バッチリと翠の事を覚えていた。まさか取引先との昼食を食べに行った先で、再会すると思わず、緩む頬を引き締めて翠にかっこいい所を見せようと頑張ったが、翠は朱鳥の事を覚えていない様。それでも全く愛が冷めず、今度は本当に結婚するために翠を落としにかかる。  そんな二人の、もだもだ、じれったい、さっさとくっつけ!と、言いたくなるようなラブロマンス。

Take On Me

マン太
BL
 親父の借金を返済するため、ヤクザの若頭、岳(たける)の元でハウスキーパーとして働く事になった大和(やまと)。  初めは乗り気でなかったが、持ち前の前向きな性格により、次第に力を発揮していく。  岳とも次第に打ち解ける様になり…。    軽いノリのお話しを目指しています。  ※BLに分類していますが軽めです。  ※他サイトへも掲載しています。

家族になろうか

わこ
BL
金持ち若社長に可愛がられる少年の話。 かつて自サイトに載せていたお話です。 表紙画像はぱくたそ様(www.pakutaso.com)よりお借りしています。

【完結】ぎゅって抱っこして

かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。 でも、頼れる者は誰もいない。 自分で頑張らなきゃ。 本気なら何でもできるはず。 でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

鬼上司と秘密の同居

なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳 幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ… そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた… いったい?…どうして?…こうなった? 「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」 スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか… 性描写には※を付けております。

あなたの隣で初めての恋を知る

ななもりあや
BL
5歳のときバス事故で両親を失った四季。足に大怪我を負い車椅子での生活を余儀なくされる。しらさぎが丘養護施設で育ち、高校卒業後、施設を出て一人暮らしをはじめる。 その日暮らしの苦しい生活でも決して明るさを失わない四季。 そんなある日、突然の雷雨に身の危険を感じ、雨宿りするためにあるマンションの駐車場に避難する四季。そこで、運命の出会いをすることに。 一回りも年上の彼に一目惚れされ溺愛される四季。 初めての恋に戸惑いつつも四季は、やがて彼を愛するようになる。 表紙絵は絵師のkaworineさんに描いていただきました。

処理中です...