11 / 40
病気の特性
しおりを挟む
僕は話が長くなることを予想してコーヒーを入れた。従兄弟とソファで向かい合って座り話を聞く。
「俺は静音のお父さんに昔からこの時のことを頼まれてたいたんだ」
「え……?」
「静音がいつか発症したら、俺が面倒見るようにってね」
「何それ、どういうことなの?」
健ちゃんが僕の病気の面倒を見る?
「ま、まさか! 健ちゃんとエッチしろってこと!?」
「待て待て! ばか、そうじゃないって!」
「あ、そっ、そうだよね。あはは、ごめん……」
僕は自分で言っておきながら顔から火が出そうになる。
健ちゃんとあんなことするなんて考えられないよ!
「安心して。俺は絶対静音に何があっても手を出さないと誓うから」
「あ……うん」
「今はまだ実感が湧かないかもしれないけど、これから先静音はいろんな男から言い寄られて、そういう目で見られるのが辛くなると思う。だから、俺だけはそういう男達とは違うって思ってて」
「……ありがとう健ちゃん」
僕の家族は冷たかったけど、そういえば健ちゃんは僕のこと気にかけてくれてたっけ。壊れたおもちゃ直してくれたり、転んだら土を払ってくれたり。
「さて、本題に入ろうか」
健ちゃんは真面目な顔でそう言った。
「今回の上野くんの話はざっと聞いたんだけど、襲われたっていうのはあれが初めてで、セックスまではしてないってこと?」
いきなり直接的なことを言われて僕は固まってしまう。
「あ、ごめん。話しにくいよな。あー、でも俺のことは空気とでも思ってくれないとこの先困るから。何でも話して大丈夫だよ」
「あ……うん。わかった。上野とはセックスした。最初にしたのは一ヶ月ちょっと前かな……」
「付き合ってたの?」
「ううん、付き合ってない。上野は彼女がいたし。ただ……あの」
「言いにくい?」
「えっと大丈夫。僕が……したくなった時してもらってた……上野に」
「そうか」
それを聞いて健斗は考え込んでいる。
「静音の体調はどうだった? 上野くんとした後のことだけど」
「あ、それがね! すごく調子が良くて。頭がすっきりして勉強も捗るし気分も良くて」
「やっぱりそうか。で、逆に上野くんの方は調子悪くなってなかった?」
「え! なんでわかるの?」
「ああ、これが今までの西園寺の病気の特徴っていうかね。言い伝えの内容と大体同じだなと思ったんだ」
そうなんだ……。
健斗の説明によると、病気を発症した女性は定期的にセックスすることで精神的にも肉体的にも満たされて体調も良くなる。逆に、病持ちの女性と一度でも性交渉した男性は、その瞬間はかなり強い快楽を得るが、行為後その女性に固執するようになる。
そして、お互いに性交渉が出来ない期間が長くなると身体に不調を来す。病持ちの女性は特に、パニック障害を起こしたりヒステリー症状が酷くなって自傷行為に走ったりする。
男性側は、ひたすら女性とのセックスを求めて脳が性欲に支配され、悪くすると生活に支障が出るほど注意散漫になるという。
「俺は静音のお父さんに昔からこの時のことを頼まれてたいたんだ」
「え……?」
「静音がいつか発症したら、俺が面倒見るようにってね」
「何それ、どういうことなの?」
健ちゃんが僕の病気の面倒を見る?
「ま、まさか! 健ちゃんとエッチしろってこと!?」
「待て待て! ばか、そうじゃないって!」
「あ、そっ、そうだよね。あはは、ごめん……」
僕は自分で言っておきながら顔から火が出そうになる。
健ちゃんとあんなことするなんて考えられないよ!
「安心して。俺は絶対静音に何があっても手を出さないと誓うから」
「あ……うん」
「今はまだ実感が湧かないかもしれないけど、これから先静音はいろんな男から言い寄られて、そういう目で見られるのが辛くなると思う。だから、俺だけはそういう男達とは違うって思ってて」
「……ありがとう健ちゃん」
僕の家族は冷たかったけど、そういえば健ちゃんは僕のこと気にかけてくれてたっけ。壊れたおもちゃ直してくれたり、転んだら土を払ってくれたり。
「さて、本題に入ろうか」
健ちゃんは真面目な顔でそう言った。
「今回の上野くんの話はざっと聞いたんだけど、襲われたっていうのはあれが初めてで、セックスまではしてないってこと?」
いきなり直接的なことを言われて僕は固まってしまう。
「あ、ごめん。話しにくいよな。あー、でも俺のことは空気とでも思ってくれないとこの先困るから。何でも話して大丈夫だよ」
「あ……うん。わかった。上野とはセックスした。最初にしたのは一ヶ月ちょっと前かな……」
「付き合ってたの?」
「ううん、付き合ってない。上野は彼女がいたし。ただ……あの」
「言いにくい?」
「えっと大丈夫。僕が……したくなった時してもらってた……上野に」
「そうか」
それを聞いて健斗は考え込んでいる。
「静音の体調はどうだった? 上野くんとした後のことだけど」
「あ、それがね! すごく調子が良くて。頭がすっきりして勉強も捗るし気分も良くて」
「やっぱりそうか。で、逆に上野くんの方は調子悪くなってなかった?」
「え! なんでわかるの?」
「ああ、これが今までの西園寺の病気の特徴っていうかね。言い伝えの内容と大体同じだなと思ったんだ」
そうなんだ……。
健斗の説明によると、病気を発症した女性は定期的にセックスすることで精神的にも肉体的にも満たされて体調も良くなる。逆に、病持ちの女性と一度でも性交渉した男性は、その瞬間はかなり強い快楽を得るが、行為後その女性に固執するようになる。
そして、お互いに性交渉が出来ない期間が長くなると身体に不調を来す。病持ちの女性は特に、パニック障害を起こしたりヒステリー症状が酷くなって自傷行為に走ったりする。
男性側は、ひたすら女性とのセックスを求めて脳が性欲に支配され、悪くすると生活に支障が出るほど注意散漫になるという。
1
お気に入りに追加
720
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
孕めないオメガでもいいですか?
月夜野レオン
BL
病院で子供を孕めない体といきなり診断された俺は、どうして良いのか判らず大好きな幼馴染の前から消える選択をした。不完全なオメガはお前に相応しくないから……
オメガバース作品です。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
彼の理想に
いちみやりょう
BL
あの人が見つめる先はいつも、優しそうに、幸せそうに笑う人だった。
人は違ってもそれだけは変わらなかった。
だから俺は、幸せそうに笑う努力をした。
優しくする努力をした。
本当はそんな人間なんかじゃないのに。
俺はあの人の恋人になりたい。
だけど、そんなことノンケのあの人に頼めないから。
心は冗談の中に隠して、少しでもあの人に近づけるようにって笑った。ずっとずっと。そうしてきた。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
幸せの温度
本郷アキ
BL
※ラブ度高めです。直接的な表現もありますので、苦手な方はご注意ください。
まだ産まれたばかりの葉月を置いて、両親は天国の門を叩いた。
俺がしっかりしなきゃ──そう思っていた兄、睦月《むつき》17歳の前に表れたのは、両親の親友だという浅黄陽《あさぎよう》33歳。
陽は本当の家族のように接してくれるけれど、血の繋がりのない偽物の家族は終わりにしなければならない、だってずっと家族じゃいられないでしょ? そんなのただの言い訳。
俺にあんまり触らないで。
俺の気持ちに気付かないで。
……陽の手で触れられるとおかしくなってしまうから。
俺のこと好きでもないのに、どうしてあんなことをしたの? 少しずつ育っていった恋心は、告白前に失恋決定。
家事に育児に翻弄されながら、少しずつ家族の形が出来上がっていく。
そんな中、睦月をストーキングする男が現れて──!?
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
【完結】義兄に十年片想いしているけれど、もう諦めます
夏ノ宮萄玄
BL
オレには、親の再婚によってできた義兄がいる。彼に対しオレが長年抱き続けてきた想いとは。
――どうしてオレは、この不毛な恋心を捨て去ることができないのだろう。
懊悩する義弟の桧理(かいり)に訪れた終わり。
義兄×義弟。美形で穏やかな社会人義兄と、つい先日まで高校生だった少しマイナス思考の義弟の話。短編小説です。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
鬼の愛人
のらねことすていぬ
BL
ヤクザの組長の息子である俺は、ずっと護衛かつ教育係だった逆原に恋をしていた。だが男である俺に彼は見向きもしようとしない。しかも彼は近々出世して教育係から外れてしまうらしい。叶わない恋心に苦しくなった俺は、ある日計画を企てて……。ヤクザ若頭×跡取り
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる