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19.幸せな目覚め
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サーシャは眠りから覚める直前の心地よさの中、低い声に耳をくすぐられた。
「……ーシャ。サーシャ」
「んん……?」
大きな温かい手で肩を揺すられる。
「サーシャ、尻尾を離してくれないか」
「え?」
うっすら目を開けると、眼前に黒い模様付きのフカフカの白い毛が見えた。サーシャは抱きまくらのように両手でぎゅっとそれを掴んでいた。
ふわふわの毛先が頬に触れ、お日さまのような、それでいてほんのり甘いムスクの香りがしている。
(え、これって天国なんだべか……)
毛の塊を見つめてぼんやりしていたら、がっしりした手でもふもふから手を引き剥がされた。
「悪いがもう俺は公務に行かねばならん」
「あ……イデオン様?」
「お前は好きなだけ寝ていていい。体がつらいならヨエルの迎えはもう少し後にしてもらおうか?」
「いえ、だ、大丈夫です」
慌てて起き上がると、お尻に今までになく妙な違和感があった。
(そうだ僕……あのまま寝ちゃったのか)
サーシャは昨夜のことを思い出して急に恥ずかしくなってきた。
「そうか。ではすぐに来てもらおう――行ってくる」
そう言ってイデオンが当然のようにサーシャの唇に口付けして去っていった。
寝台に取り残されたサーシャはぽかんとして、その後真っ赤になって両手で口を押さえた。
(え、え、待って待って。イデオン様――なしてこんなに急に優しくなったの?)
「昨日はお酒飲んで……服の紐が解けちゃってイデオン様に怒られて――怖いって言ったら、優しくしてくれた……?」
(ヤバい、嬉しい。もふもふも触らせてもらえた――)
サーシャはぼすんと寝台に倒れた。シーツにはイデオンの香りが残っていた。
それを思い切り吸い込み、胸に手を当ててほぅっと息を吐く。
「――ぬくい……」
全身がだるく重たい。昨夜イデオンに触れられ、舐められた部分がじんじんしていた。自分で自分の胸の出っ張りを寝巻きの上からつついてみた。
「んっ」
サーシャはそこが敏感になっていて触れるだけで気持ちが良いことに驚いた。
(なしてこんなところ、男なのに……)
しかも昨日はお尻でも感じてしまった。おそるおそる、そこがどうなっているのか気になってサーシャは手を伸ばした。あんなに時間をかけてイデオンに舐められ、二人の出したものでぐちゃぐちゃになっていたはずのそこはすっかり綺麗になっていた。ぐっと指に力を入れると昨日ほぐされたばかりのそこはサーシャの細い指をするりと飲み込んだ。
「ふ……んっ」
(やば……なんか、変な気分になってきた。イデオン様が触ってくれた気持ちいいところ、どこかな)
サーシャは指を動かしてそのポイントを探ってみた。
「ん……あっ」
(ここだ……ここきもちいい……)
するとそのときコンコンコン!とノックの音がした。
「ふぁあっ! ひゃ、ひゃい! どうぞ!!」
サーシャはびっくりして指を引き抜き起き上がった。心臓がバクバクして飛び出してしまいそうだ。
いつもどおり無表情なヨエルが部屋に入ってくる。
「おはようございますサーシャ様。お体はいかがですか?」
「お、お、おか、おからだ?」
(体って、胸とかお尻触ってたのバレた!?)
「え、べべべつに、僕朝からえっちなことしようとしたわけでなくて――ただお尻がいずいから確認してたっていうか――」
一瞬眉を寄せたヨエルはサーシャのことを察して頷くと穏やかに言う。
「落ち着いてくださいサーシャ様。発情期中なので妙な気分になっても不思議ではありませんから」
「え? そ、そうなの……?」
「まず薬湯を飲みましょう。これを飲んだら西棟へ移って頂きます」
ヨエルは持ってきたティーポットからカップに薬湯を注いだ。サーシャは渡された薬湯を飲む。結婚式のときに飲んだのと同じ、ミントの味がするお茶だ。
(そっか……発情期だから体がだるいんだ。胸とお尻がじんじんするのもそのせいなんだべか)
「それで、昨夜は問題ありませんでしたか? 衣装が苦しかったとお聞きしましたが」
「え? なしてヨウちゃんがそんなこと知ってるの?」
「陛下が侍女にそうおっしゃったんだそうですよ」
「そうなの……」
(イデオン様、そんなことわざわざ伝えてくれたんだ)
「……ーシャ。サーシャ」
「んん……?」
大きな温かい手で肩を揺すられる。
「サーシャ、尻尾を離してくれないか」
「え?」
うっすら目を開けると、眼前に黒い模様付きのフカフカの白い毛が見えた。サーシャは抱きまくらのように両手でぎゅっとそれを掴んでいた。
ふわふわの毛先が頬に触れ、お日さまのような、それでいてほんのり甘いムスクの香りがしている。
(え、これって天国なんだべか……)
毛の塊を見つめてぼんやりしていたら、がっしりした手でもふもふから手を引き剥がされた。
「悪いがもう俺は公務に行かねばならん」
「あ……イデオン様?」
「お前は好きなだけ寝ていていい。体がつらいならヨエルの迎えはもう少し後にしてもらおうか?」
「いえ、だ、大丈夫です」
慌てて起き上がると、お尻に今までになく妙な違和感があった。
(そうだ僕……あのまま寝ちゃったのか)
サーシャは昨夜のことを思い出して急に恥ずかしくなってきた。
「そうか。ではすぐに来てもらおう――行ってくる」
そう言ってイデオンが当然のようにサーシャの唇に口付けして去っていった。
寝台に取り残されたサーシャはぽかんとして、その後真っ赤になって両手で口を押さえた。
(え、え、待って待って。イデオン様――なしてこんなに急に優しくなったの?)
「昨日はお酒飲んで……服の紐が解けちゃってイデオン様に怒られて――怖いって言ったら、優しくしてくれた……?」
(ヤバい、嬉しい。もふもふも触らせてもらえた――)
サーシャはぼすんと寝台に倒れた。シーツにはイデオンの香りが残っていた。
それを思い切り吸い込み、胸に手を当ててほぅっと息を吐く。
「――ぬくい……」
全身がだるく重たい。昨夜イデオンに触れられ、舐められた部分がじんじんしていた。自分で自分の胸の出っ張りを寝巻きの上からつついてみた。
「んっ」
サーシャはそこが敏感になっていて触れるだけで気持ちが良いことに驚いた。
(なしてこんなところ、男なのに……)
しかも昨日はお尻でも感じてしまった。おそるおそる、そこがどうなっているのか気になってサーシャは手を伸ばした。あんなに時間をかけてイデオンに舐められ、二人の出したものでぐちゃぐちゃになっていたはずのそこはすっかり綺麗になっていた。ぐっと指に力を入れると昨日ほぐされたばかりのそこはサーシャの細い指をするりと飲み込んだ。
「ふ……んっ」
(やば……なんか、変な気分になってきた。イデオン様が触ってくれた気持ちいいところ、どこかな)
サーシャは指を動かしてそのポイントを探ってみた。
「ん……あっ」
(ここだ……ここきもちいい……)
するとそのときコンコンコン!とノックの音がした。
「ふぁあっ! ひゃ、ひゃい! どうぞ!!」
サーシャはびっくりして指を引き抜き起き上がった。心臓がバクバクして飛び出してしまいそうだ。
いつもどおり無表情なヨエルが部屋に入ってくる。
「おはようございますサーシャ様。お体はいかがですか?」
「お、お、おか、おからだ?」
(体って、胸とかお尻触ってたのバレた!?)
「え、べべべつに、僕朝からえっちなことしようとしたわけでなくて――ただお尻がいずいから確認してたっていうか――」
一瞬眉を寄せたヨエルはサーシャのことを察して頷くと穏やかに言う。
「落ち着いてくださいサーシャ様。発情期中なので妙な気分になっても不思議ではありませんから」
「え? そ、そうなの……?」
「まず薬湯を飲みましょう。これを飲んだら西棟へ移って頂きます」
ヨエルは持ってきたティーポットからカップに薬湯を注いだ。サーシャは渡された薬湯を飲む。結婚式のときに飲んだのと同じ、ミントの味がするお茶だ。
(そっか……発情期だから体がだるいんだ。胸とお尻がじんじんするのもそのせいなんだべか)
「それで、昨夜は問題ありませんでしたか? 衣装が苦しかったとお聞きしましたが」
「え? なしてヨウちゃんがそんなこと知ってるの?」
「陛下が侍女にそうおっしゃったんだそうですよ」
「そうなの……」
(イデオン様、そんなことわざわざ伝えてくれたんだ)
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