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17.イジュンとミンジェの事情(2)
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まさかこの部屋に推しを迎える日が来るとは、想像もしていなかった。
ソファに腰掛けたイジュンはグレーのTシャツに黒のパンツ。髪の毛は洗いざらしでノーメイクだけど、そこに存在するだけでただならぬオーラを放っていた。
――うう、近すぎて直視できない……! まるで発光してるみたいに輝いてない?
「あの、お、お茶です。どうぞ……」
お茶を差しだす手がぶるぶる震えた。危うくこぼしそうになったグラスをミンジェが受け取ってイジュンに渡してくれる。
やばい、良い匂いがして目が回りそうだよ!
これは現実なんだよね? 目が覚めたら夢だったとかないよね?
「ありがとうチカ。突然押しかけてごめんね。どうしてもジュンがチカに会いたいって言うから」
「えっっ!? パク・イジュン氏が僕に!?」
――なんで!? なんでイジュンが僕に会いたいわけ!?
すると眉間に皺を寄せたイジュンが口を開く。
「お前が可哀想なオメガがいるから説明だけでもさせてくれって言うから来たんだろ」
「そうだっけ?」
「え……と、もしかしてこの前の滉一さんの話?」
「ああ。この前は滉一さんに弁解出来ずごめん。ジュンの許可なく俺が事情を話すわけにはいかなかったから。あの時ジュンはホテルに缶詰になってて、なかなか連絡が取れなくてここに来るのも遅くなってごめんね」
ミンジェは申し訳なさそうに頭を下げたが、イジュンは気のない風でそっぽを向いた。こっちを見られても僕の目が尊さのあまり潰れてしまいそうなので、横を向いていてもらえる方がありがたい。
「僕もあれからずっと悶々としてたんだ。滉一さんの話していた内容がちっともわからなくて――」
「そうだろうね。じゃあ何から話そうか……ねえ、ジュン」
「お前の好きにしろよ」
――ミンジェはイジュンのことジュンって呼んでるんだ……なんかいいな。
ミンジェがイジュンの恋人かもしれないと知ったときはショックだった。でも、こうしてイケメン二人が並んでいる姿をこの距離で眺めるのは眼福でしかない。
イジュンも、普段画面越しに見るような素っ気ない態度と見せかけてミンジェとの座る距離はぴったりくっつくほど近い。なんとなくお互いに信頼し合っているんだろうなと感じた。
「うーん、じゃあまず俺たちの関係を説明しようか」
僕はソファの向かいのスツールに背筋を伸ばして座った。
「はい、お願いします!」
「――俺とジュンはつがいなんだ」
「……つがい?」
僕がぽかんと口を開けたまま二人を交互に見ていると、イジュンがチッと舌打ちして僕に背中を向けた。どんな髪型に変えても襟足の髪の毛を切ったことがないイジュンが、ブロンドにカラーリングされた襟足の毛を掴んで持ち上げた。反対の手でTシャツの襟元を下に引っ張ったのでうなじがしっかりと見える。
「ここ、タトゥーでわかりにくいけどよく見てみろよ」
「は、はい!」
僕はイジュンに言われて飛び跳ねるように立ち上がる。彼に近寄ってうなじを見た。
――お金も払ってないのにこの距離でイジュンのこと見るなんて、いいのかな!?
「あ……歯型が見えます!」
羅針盤のタトゥーに隠れるように、歯型が見えた。よく見ないとわからないしそもそも髪の毛でいつも覆われていて、このタトゥーが何の柄なのか知っている人すら少ない。
――これがミンジェの噛み痕ってこと……?
「でも、イジュンがミンジェのつがいってどういうことですか? 二人ともアルファなのに」
「あのねチカ、これは絶対に誰にも口外してもらいたくないんだけど」
「もちろん、イジュン氏の秘密は守るよ」
「実は――ジュンはオメガなんだ」
「え……うそ……だってZ-Touchは全員アルファのグループじゃ――」
待って、そういうこと? 本当はオメガだからアルファのミンジェと恋人同士なんだ。
え、つがいっていつから??
「この件について説明するとまた長くなるんだけど、ジュンは訳あってアルファとして事務所に入ったんだ」
そしてイジュンは練習生としてアルファと同じメニューの厳しいレッスンに参加。そのとき同期だったのがミンジェなのだそうだ。
「俺達は何年も練習生として一緒に過ごして、同じグループでデビューすることも決まってた」
「それがZ-Touch?」
「いや、ジェトチのデビューより前のことで、メンバーも全然違ったんだ」
しかしデビューを目前にして、事務所都合でイジュンを除く四人のデビューが決まった。イジュンの第二性がオメガだと事務所側にとうとうバレてしまったのだ。
それまでつらい練習に耐えていたイジュンにとっては絶望的なことだった。
「俺とジュンは特に仲が良かった。波長が合うっていうのかな――今思えばお互いのフェロモンに惹かれ合ってたんだろう。ジュンだけがデビュー組から外されたのがやりきれなくて、二人でしばらくの間練習もせずに遊び回った。素行の良くない奴らとも関わったし、今報道されたらヤバいこともした。練習生ももちろん恋愛禁止だったから、事務所に反発して男とも女とも寝たよ。そしてヤケになった俺たちはジュンがヒートを起こした晩……どうなったかはわかるよね」
ミンジェが隣に座るイジュンの手を握る。
「ミンジェは――イジュンがオメガだと最初から知ってたの?」
「いや、ホルモン投与のせいではじめはアルファだと思ってたよ。妙に魅力的だなとは思ったけど、この業界カリスマ性のある練習生は珍しくないからね」
事務所にイジュンがオメガだとバレた後、デビュー組にはイジュンの本当の性別が知らされた。事務所の代表としてはオメガとわかった上でイジュンをアルファとしてデビューさせる方針だったらしい。
「だけど、事務所の親会社のお偉いさんがオメガのデビューをよしとしなかったんだ」
――そういうことか……。
するとそこでイジュンが口を挟んだ。
「そのクソ野郎のせいでデビューができなかった俺は、ミンジェにうなじを噛んでくれって頼んだんだ」
ミンジェが先を続ける。
「三ヶ月に一度ヒートが来る体で、トップアイドルにまで登りつめるのはかなり厳しい。ヒート期間中の行動が制限されるからな。だけど、つがいがいれば――」
「そっか、つがいにしかフェロモンが効かなくなるんだ!」
ヒート中にアルファがオメガのうなじを噛むと「つがい」の契約が成立し、未来永劫そのオメガのフェロモンはつがいのアルファにしか効かなくなる。
イジュンが頷いた。
「そういうこと。ヒート中でもつがいのアルファとセックスさえすればかなり症状が抑えられる。そこに抑制剤も飲めば普段どおりイベントやコンサートや撮影を行えるんだよ。しかもミンジェにマーキングして貰えば、俺から香るアルファのフェロモンをみんな俺のものだと勘違いしてくれた」
――だからミンジェとイジュンは付き合ってないけど体だけの関係を続けていたってことか。
「それでどうなったの?」
「その後俺たち二人の関係を事務所の代表に話したんだ。そしたら、つがい同士を同じ事務所には置いておけないけど、俺がデビューを諦めて身を引くならジュンを次のデビュー組にねじ込んでくれるって言ってもらえた」
「俺はお前を犠牲にしてまでデビューするつもりはなかった!」
「わかってるよ。俺が勝手に代表と決めたことだ」
「俺はまだ許してねえからな」
「もういいだろ?」
結局、二人はヒートのときだけ会ってセックスをし体調管理をするという関係に落ち着いたらしい。
そしてミンジェは事務所代表の伝でミストラルコーポレーションに移籍した。ミストラルは本来デートサービス事業がメインではない。ミンジェは本当は映画やドラマのスタントマンの部門にいたのだという。
「だけど俺の不注意で、階段から落ちるシーンの撮影中に肩を怪我してね。これ以上スタントマンは続けるなってジュンに怒られちゃって」
イジュンがフン!と鼻息荒くそっぽを向いた。
「俺ははじめからスタントマンなんて反対だったんだよ! 俺のつがいとしてちゃんとセックスできない身体にでもなったらどうするんだよ」
「でも俺はお前の映画のスタントやるの楽しみだったんだけどな」
たしかに、二人は背格好も近いからちょうどよさそうだ。
「とにかく俺は怪我のせいで部署を移動せざるをえなかった。そしてそれがデート部門だったというわけ」
「俺はそっちも反対なんだよ! 俺が養うからお前は何もするなって何度も言ってるのに」
――あ、イジュンはミンジェが怪我するのは心配だし、他の人とデートするのは嫉妬するから嫌なんだ。
体だけの関係とは言いつつ、なんだかんだミンジェに対して愛情を持っているんだ……。
「お前に養ってもらうためにデビューを諦めたわけじゃないよ。俺にだってプライドはあるんだから。それに、レンタル彼氏はやってみると人間観察ができて演技の勉強にもなるんだよ。俺は今後演劇をやってみたいなと思ってて、脚本も自分で書いてるんだ」
イジュンのようなスターが人ひとり面倒をみるくらいはなんともないだろう。だけど、ミンジェにも叶えたい夢がある――。
「俺もジュンの単なるセフレじゃなくて、何かしたいんだ」
「それはわかるけど、別の仕事だって良いだろ」
「あの、じゃあ……二人は付き合ってるわけじゃないの?」
僕が気になっていたことを尋ねると二人が顔を見合わせる。イジュンの方がさっと赤面した。
――あれ?
「それが今日の本題なんだけどね、チカ。俺たち結婚を前提に付き合うことにしたんだ」
「え!?」
「だからね、俺たちだけ幸せになっちゃ悪いだろってジュンを説得してここへ来たんだよ」
「まぁ……兄さんがお前のことを勝手に俺の関係者と勘違いしたせいで婚約がだめになったみたいだからな。俺たちにできることは協力するよ」
ソファに腰掛けたイジュンはグレーのTシャツに黒のパンツ。髪の毛は洗いざらしでノーメイクだけど、そこに存在するだけでただならぬオーラを放っていた。
――うう、近すぎて直視できない……! まるで発光してるみたいに輝いてない?
「あの、お、お茶です。どうぞ……」
お茶を差しだす手がぶるぶる震えた。危うくこぼしそうになったグラスをミンジェが受け取ってイジュンに渡してくれる。
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「えっっ!? パク・イジュン氏が僕に!?」
――なんで!? なんでイジュンが僕に会いたいわけ!?
すると眉間に皺を寄せたイジュンが口を開く。
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「そうだっけ?」
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「ああ。この前は滉一さんに弁解出来ずごめん。ジュンの許可なく俺が事情を話すわけにはいかなかったから。あの時ジュンはホテルに缶詰になってて、なかなか連絡が取れなくてここに来るのも遅くなってごめんね」
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「僕もあれからずっと悶々としてたんだ。滉一さんの話していた内容がちっともわからなくて――」
「そうだろうね。じゃあ何から話そうか……ねえ、ジュン」
「お前の好きにしろよ」
――ミンジェはイジュンのことジュンって呼んでるんだ……なんかいいな。
ミンジェがイジュンの恋人かもしれないと知ったときはショックだった。でも、こうしてイケメン二人が並んでいる姿をこの距離で眺めるのは眼福でしかない。
イジュンも、普段画面越しに見るような素っ気ない態度と見せかけてミンジェとの座る距離はぴったりくっつくほど近い。なんとなくお互いに信頼し合っているんだろうなと感じた。
「うーん、じゃあまず俺たちの関係を説明しようか」
僕はソファの向かいのスツールに背筋を伸ばして座った。
「はい、お願いします!」
「――俺とジュンはつがいなんだ」
「……つがい?」
僕がぽかんと口を開けたまま二人を交互に見ていると、イジュンがチッと舌打ちして僕に背中を向けた。どんな髪型に変えても襟足の髪の毛を切ったことがないイジュンが、ブロンドにカラーリングされた襟足の毛を掴んで持ち上げた。反対の手でTシャツの襟元を下に引っ張ったのでうなじがしっかりと見える。
「ここ、タトゥーでわかりにくいけどよく見てみろよ」
「は、はい!」
僕はイジュンに言われて飛び跳ねるように立ち上がる。彼に近寄ってうなじを見た。
――お金も払ってないのにこの距離でイジュンのこと見るなんて、いいのかな!?
「あ……歯型が見えます!」
羅針盤のタトゥーに隠れるように、歯型が見えた。よく見ないとわからないしそもそも髪の毛でいつも覆われていて、このタトゥーが何の柄なのか知っている人すら少ない。
――これがミンジェの噛み痕ってこと……?
「でも、イジュンがミンジェのつがいってどういうことですか? 二人ともアルファなのに」
「あのねチカ、これは絶対に誰にも口外してもらいたくないんだけど」
「もちろん、イジュン氏の秘密は守るよ」
「実は――ジュンはオメガなんだ」
「え……うそ……だってZ-Touchは全員アルファのグループじゃ――」
待って、そういうこと? 本当はオメガだからアルファのミンジェと恋人同士なんだ。
え、つがいっていつから??
「この件について説明するとまた長くなるんだけど、ジュンは訳あってアルファとして事務所に入ったんだ」
そしてイジュンは練習生としてアルファと同じメニューの厳しいレッスンに参加。そのとき同期だったのがミンジェなのだそうだ。
「俺達は何年も練習生として一緒に過ごして、同じグループでデビューすることも決まってた」
「それがZ-Touch?」
「いや、ジェトチのデビューより前のことで、メンバーも全然違ったんだ」
しかしデビューを目前にして、事務所都合でイジュンを除く四人のデビューが決まった。イジュンの第二性がオメガだと事務所側にとうとうバレてしまったのだ。
それまでつらい練習に耐えていたイジュンにとっては絶望的なことだった。
「俺とジュンは特に仲が良かった。波長が合うっていうのかな――今思えばお互いのフェロモンに惹かれ合ってたんだろう。ジュンだけがデビュー組から外されたのがやりきれなくて、二人でしばらくの間練習もせずに遊び回った。素行の良くない奴らとも関わったし、今報道されたらヤバいこともした。練習生ももちろん恋愛禁止だったから、事務所に反発して男とも女とも寝たよ。そしてヤケになった俺たちはジュンがヒートを起こした晩……どうなったかはわかるよね」
ミンジェが隣に座るイジュンの手を握る。
「ミンジェは――イジュンがオメガだと最初から知ってたの?」
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ヒート中にアルファがオメガのうなじを噛むと「つがい」の契約が成立し、未来永劫そのオメガのフェロモンはつがいのアルファにしか効かなくなる。
イジュンが頷いた。
「そういうこと。ヒート中でもつがいのアルファとセックスさえすればかなり症状が抑えられる。そこに抑制剤も飲めば普段どおりイベントやコンサートや撮影を行えるんだよ。しかもミンジェにマーキングして貰えば、俺から香るアルファのフェロモンをみんな俺のものだと勘違いしてくれた」
――だからミンジェとイジュンは付き合ってないけど体だけの関係を続けていたってことか。
「それでどうなったの?」
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「俺はお前を犠牲にしてまでデビューするつもりはなかった!」
「わかってるよ。俺が勝手に代表と決めたことだ」
「俺はまだ許してねえからな」
「もういいだろ?」
結局、二人はヒートのときだけ会ってセックスをし体調管理をするという関係に落ち着いたらしい。
そしてミンジェは事務所代表の伝でミストラルコーポレーションに移籍した。ミストラルは本来デートサービス事業がメインではない。ミンジェは本当は映画やドラマのスタントマンの部門にいたのだという。
「だけど俺の不注意で、階段から落ちるシーンの撮影中に肩を怪我してね。これ以上スタントマンは続けるなってジュンに怒られちゃって」
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「俺ははじめからスタントマンなんて反対だったんだよ! 俺のつがいとしてちゃんとセックスできない身体にでもなったらどうするんだよ」
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「とにかく俺は怪我のせいで部署を移動せざるをえなかった。そしてそれがデート部門だったというわけ」
「俺はそっちも反対なんだよ! 俺が養うからお前は何もするなって何度も言ってるのに」
――あ、イジュンはミンジェが怪我するのは心配だし、他の人とデートするのは嫉妬するから嫌なんだ。
体だけの関係とは言いつつ、なんだかんだミンジェに対して愛情を持っているんだ……。
「お前に養ってもらうためにデビューを諦めたわけじゃないよ。俺にだってプライドはあるんだから。それに、レンタル彼氏はやってみると人間観察ができて演技の勉強にもなるんだよ。俺は今後演劇をやってみたいなと思ってて、脚本も自分で書いてるんだ」
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「俺もジュンの単なるセフレじゃなくて、何かしたいんだ」
「それはわかるけど、別の仕事だって良いだろ」
「あの、じゃあ……二人は付き合ってるわけじゃないの?」
僕が気になっていたことを尋ねると二人が顔を見合わせる。イジュンの方がさっと赤面した。
――あれ?
「それが今日の本題なんだけどね、チカ。俺たち結婚を前提に付き合うことにしたんだ」
「え!?」
「だからね、俺たちだけ幸せになっちゃ悪いだろってジュンを説得してここへ来たんだよ」
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