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3.婚約破棄計画の打ち合わせ
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その後僕が現在陥っている状況を詳しく説明した。
「なるほど~。チカはジェトチのイジュンが好きで、婚約者と日本に帰って結婚するのが嫌だってことね」
彼はもう最初の優しいイケメン彼氏の顔に戻っていた。プロ彼氏の表情管理すごい。
「それで、俺はどういう役をやればいいのかな?」
「うーん、今考えてるのはミンジェが僕の先輩でルームメイトで、すっごく過保護って設定」
「なるほど」
ミンジェがうなずきながら足を組む。そんな仕草も様になっていてアイドル好きな僕はつい目がいっちゃう。
「で、先輩は後輩の婚約者をチェックしに来る」
「ふふ、それから?」
「婚約者の目を気にせず、後輩の僕にベタベタする。ものを食べさせたり、髪の毛を触ったり。とにかく心配ってかんじで。でも……ちょっとだけセクシーな感じにできる?」
「ん~このサービス、キスはNGだけど手をつなぐまではできるからそれくらいなら大丈夫」
「よかった。僕は頭空っぽで男好きなオメガの馬鹿息子を演じるよ。そうすればきっと婚約者はドン引きして日本に帰るなり婚約破棄してくれるはず」
ミンジェは機嫌の良さそうな顔でうなずいている。どうやら面倒だとか思わず乗ってくれそうだ。
「――面白そう。人の縁談をぶち壊すのが面白いなんて不謹慎だけど、でもこういうの俺好きだよ」
その笑顔は今まで見せていた優しい彼氏の顔とはちょっと違って、少し意地悪そうだった。でもそれが妙に色っぽく見えて僕は不覚にもドキドキしてしまう。
――おいおい、イジュンのためにこうしてお金を払ってレンタル彼氏を利用してるんだぞ。ミンジェにまでときめいてどうするんだ!
「どうしたの、チカ?」
そう言ってミンジェがいつの間にか僕の目の前に顔を近づけ、髪の毛を指で耳に掛けてくれる。その仕草にさらに心臓がバクついて僕は思わず身体を後ろに引いた。
「あ、な、なんでもない!」
「顔赤いよ? これくらいで赤くなってちゃ本番でうまく演技できないんじゃない?」
「それは……っ」
「話はもうこれで全部?」
「うん。あとは本番でちゃんとできれば――」
「じゃあ、デートの続きは外でしよう。本番までにチカの過保護な先輩として君を甘やかすのに慣れておかないとね」
「え……」
彼は席を立ち、僕の手を取って外へ出た。ここ何年か彼氏もつくらずにアイドルを追いかけていたから、こんなイケメンと手をつなぐのも久しぶり――。しかも彼から涼しげな柑橘系のフェロモンが漂ってきて、演技だとわかっていても「もし彼が彼氏だったら?」と想像せずにはいられなかった。
「なるほど~。チカはジェトチのイジュンが好きで、婚約者と日本に帰って結婚するのが嫌だってことね」
彼はもう最初の優しいイケメン彼氏の顔に戻っていた。プロ彼氏の表情管理すごい。
「それで、俺はどういう役をやればいいのかな?」
「うーん、今考えてるのはミンジェが僕の先輩でルームメイトで、すっごく過保護って設定」
「なるほど」
ミンジェがうなずきながら足を組む。そんな仕草も様になっていてアイドル好きな僕はつい目がいっちゃう。
「で、先輩は後輩の婚約者をチェックしに来る」
「ふふ、それから?」
「婚約者の目を気にせず、後輩の僕にベタベタする。ものを食べさせたり、髪の毛を触ったり。とにかく心配ってかんじで。でも……ちょっとだけセクシーな感じにできる?」
「ん~このサービス、キスはNGだけど手をつなぐまではできるからそれくらいなら大丈夫」
「よかった。僕は頭空っぽで男好きなオメガの馬鹿息子を演じるよ。そうすればきっと婚約者はドン引きして日本に帰るなり婚約破棄してくれるはず」
ミンジェは機嫌の良さそうな顔でうなずいている。どうやら面倒だとか思わず乗ってくれそうだ。
「――面白そう。人の縁談をぶち壊すのが面白いなんて不謹慎だけど、でもこういうの俺好きだよ」
その笑顔は今まで見せていた優しい彼氏の顔とはちょっと違って、少し意地悪そうだった。でもそれが妙に色っぽく見えて僕は不覚にもドキドキしてしまう。
――おいおい、イジュンのためにこうしてお金を払ってレンタル彼氏を利用してるんだぞ。ミンジェにまでときめいてどうするんだ!
「どうしたの、チカ?」
そう言ってミンジェがいつの間にか僕の目の前に顔を近づけ、髪の毛を指で耳に掛けてくれる。その仕草にさらに心臓がバクついて僕は思わず身体を後ろに引いた。
「あ、な、なんでもない!」
「顔赤いよ? これくらいで赤くなってちゃ本番でうまく演技できないんじゃない?」
「それは……っ」
「話はもうこれで全部?」
「うん。あとは本番でちゃんとできれば――」
「じゃあ、デートの続きは外でしよう。本番までにチカの過保護な先輩として君を甘やかすのに慣れておかないとね」
「え……」
彼は席を立ち、僕の手を取って外へ出た。ここ何年か彼氏もつくらずにアイドルを追いかけていたから、こんなイケメンと手をつなぐのも久しぶり――。しかも彼から涼しげな柑橘系のフェロモンが漂ってきて、演技だとわかっていても「もし彼が彼氏だったら?」と想像せずにはいられなかった。
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