退廃芸術 大展覧会

第一章

濡れ子寺の絵馬（えま）

　……濡（ぬ）れ子とは、人間の目には見え無い、幼（おさな）い人間の兄弟や姉妹の色情霊（エンティティー）で、皮膚に触れる感触では十歳以下の人間の、素っ裸の男児や女児の感触のみが存在すると云（い）う。
　……濡れ子は、男児二人や、男児と女児や、女児二人など、性別や年齢の組み合わせは様々（さまざま）で、正確な正体は不明のままらしい。

　……一説には、性的な子供の餓鬼や、和風の淫魔で特殊な座敷童子（ざしきわらし）ではないかとの説も存在する。
　……そして、そんな濡れ子達には、精通鬼と云う別名も有り、特に思春期の十歳前後の人間の少年に取り憑く描写の絵馬は多い。

　……濡れ子の絵馬は、稚児草子の様に、或（あ）る宗教施設に大量に、非公開で密かに保存されていると云う。
　……しかも、其の掠（かす）れて消えかけた絵馬の数が、数千枚にも及ぶと云う。


　……どの絵馬も、幼い人間の男児や女児が素っ裸や、寝巻きや浴衣を半分脱がされ、下半身を大きく露出させられて、目には見え無い霊体を表現する線のみの姿で、人間の子供の幼い生殖器（セックス）を素っ裸の濡れ子達が悪戯（いたずら）している光景が描かれていると云う。
　……そして、そんな絵馬の絵の上の、文字の説明では、人間の目には見え無い、線画で描かれた濡れ子達に、布団で寝ている人間の子供は、掛け布団を全て剥ぎ取られ、着物の帯を解かれ、着物の裾（すそ）を左右に大きく開かれ、両足を左右に大きく開かされて、無防備に晒された股間の幼い生殖器と、乳首や陰嚢（ふぐり）や肛門（アヌス）を線画の透明な、素っ裸で四つん這いの濡れ子達の、指や舌で愛撫（あいぶ）されているのだ。

　……説明文には、実は濡れ子達は、金縛りにして自分の意思では身動き出来無い、無抵抗な人間の子供を、念力で人形（マリオネット）の様に自在に操って、子供自身の手で自分の腰の帯を解かせ、寝巻きや浴衣の前の裾を左右に大きく開かせたり、少し年長の少年達は褌（ふんどし）も解かせて、子供の幼い恥部（セックス）を完全に無防備に、露出（むきだし）にさせて仕舞うのだと云う。
　……そして、最初は子供自身の手で手淫（オナニー）を繰り返させ、何度も性的絶頂（オーガズム）を繰り返させて、羞恥心を麻痺させ、次第に性的な快感に目覚めさせて行くのだと。

　……絵馬の子供達は、両目を固く閉じて、両頬を真っ赤に染め、唇を丸く大きく開いて、明らかに強い性的快感を覚えている表情が、可愛（あい）らしく描かれている。
　……そして、そんな絵馬の、少し年長の少年達は必ず、股間で勃起（ぼっき）した陰茎（ペニス）の先端から、白い液体を噴いているので、特に、そんな少年達の絵馬は、稚児精通（おぼこびらき）の稚児絵と呼ばれていると云う。

　……そして、更に、絵馬の文字には、濡れ子達が金縛りで肉人形にした人間の子供達を、四十八手の体位（すがた）で次々と抱くと云う。
　……特に、人間の少年達は、仰向けに寝て両足をＭの字に左右に大きく開いたり、俯（うつぶ）せに寝かされたり、四つん這いの体位（たいせい）で、濡れ子の少年達の固く勃起（ぼっき）した巨根（ペニス）を、交代で幼い童菊蕾（アヌス）の中へ挿入（そうにゅう）されると云う。

　……そして、濡れ子の少年達の巨根（ウタマロ）を大きく深々と、直腸（ちょくちょう）の中で抽挿（ちゅうそう）され続けて肛門姦（アナル・セックス）されては、一晩中、性的絶頂（オルガスムス）を繰り返し続け、而（しか）も栄光の手の呪いで、犯されている子供以外の人間達は誰一人として目を覚まさずに、深く眠り続けたままだとも云う。
　……然（しか）も、夜が明けて、東の空が白み始めると、濡れ子達は消え、同時に濡れ子達に一晩中、凌辱（りょうじょく）され続けた人間の子供の、濡れ子達との性行為（セックス）の記憶も完全に消えて仕舞うのだとも。



稚児草紙(ちごぞうし)とは？ 意味や使い方
コトバンク
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斎宮と滝口の武士，平致光（むねみつ）の秘戯を描いた《小柴垣草紙》（鎌倉時代）などとともに，絵巻の中で異色のジャンルをなす。
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