退廃芸術 大展覧会

淀川 乱歩

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第一章

精通の森、催淫の茸_其の弍

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巨根茸(ウママラタケ)

 ……巨根茸(ウママラタケ)は、熱帯雨林の密林(ジャングル)の中の特定の人間の部族の、性的に未成熟の男子の、特定の器官の組織にのみ感染する、特殊な黴(カビ)の事で或(あ)る。
 ……感染は、最初は裸族の未成熟な男性の陰嚢(いんのう)の中の睾丸(こうがん)、つまり精巣(せいそう)が分泌する男性ホルモン、つまりテストステロンが未(ま)だ少ない、主に十五歳以下の少年達の直腸(ちょくちょう)の粘膜(ねんまく)への寄生から始まる。

 ……其の症状は、人間の足指への白癬菌(はくせんきん)と呼ばれる粘膜糸状菌の真菌(カビ)の感染、つまり水虫と同じで、少年の直腸(アヌス)の中が常にムズムズと痒(かゆ)く、直腸と、肛門の粘膜が赤く瘡(かぶれ)る。
 ……其の為、巨根茸(ウママラタケ)に感染した少年達を、現地の部族は猿童(ぼぼちご)と呼ぶ。

 ……巨根茸(ウママラタケ)に感染する裸族には、精通(せいつう)前の少年達は褌(ふんどし)を締(し)めずに、常に素っ裸で生活している。
 ……そして、そんな夜間に裸で眠る少年達の無抵抗な肛門(アヌス)から、童菊蝿(マラバエ)が体内へ侵入し、少年達の直腸(たいない)の粘膜へ産卵する。

 ……童菊蝿(マラバエ)とは、体長が砂粒の様(よう)に小さなキノコバエの仲間で、裸身(はだか)で眠る少年達に気付かれる事無く肛門から体内へ侵入して、数十個もの卵を眠り続ける少年達の直腸の粘膜へ産卵する。
 ……そして、少年達の高い体温で孵化した童菊蝿(マラバエ)の幼虫の、小さな蛆虫達(うじ)が少年達の直腸の粘膜へ、巨根茸(ウママラタケ)を感染させるのだ。

 ……そして、そんな童菊蝿(マラバエ)の蛆(うじ)から少年達に感染した巨根茸(ウママラタケ)は、最初は粘菌(アメーバ)の様に少年達の直腸の粘膜の上から、組織内(たいない)を移動し、やがて少年達の膀胱(ぼうこう)の粘膜を無数の菌糸で覆い尽くし、更に尿道(にょうどう)の内側も菌糸で覆う。
 ……更に、少年達の陰茎(ペニス)の中の海綿体(スポンジ)の組織にも侵入し、無数の菌糸を張り巡らせて組織内を菌糸で完全に充填(じゅうてん)し尽(つ)くして、少年達の陰茎(ペニス)を常に固く勃起(ぼっき)させ続ける。

 ……また、巨根茸(ウママラタケ)の菌糸は、寄生した少年達の幼い陰嚢(いんのう)の中の左右の睾丸(こうがん)の組織内でも繁殖し、村の素っ裸の男の幼児や少年達の陰嚢(ふぐり)を大きく成長させる。
 ……そして、そんな大きく発達した陰嚢の、村の素っ裸の幼児や少年達は、やがて成長して精通(せいつう)し、性的絶頂時(オルガスムス)に射精(しゃせい)が可能になると、一般よりも大量の精液(ザーメン)を射精する様になるのだった。

 ……其の為、巨根茸(ウママラタケ)に感染した裸族の、裸身(はだか)の少年達は常に童菊蕾(アヌス)と膀胱(ぼうこう)と尿道(にょうどう)がムズムズと痒(かゆ)く、部族の素っ裸の少年達は未(ま)だ幼児期から常に、自分の片手で自身の固く勃起(ぼっき)し続けている小さな陰茎(おちんちん)を指で摘(つま)んで、包皮(ほうひ)を柔(やわ)らかく揉(も)み扱(しご)いては、常に自慰(オナニー)を繰り返し続けている。
 ……更に、部族の素っ裸の少年達は陰茎(ペニス)の海綿体内(スポンジ)の巨根茸(ウママラタケ)の菌糸の圧力で、未だ幼児でも陰茎(ペニス)が大きく成長し、素っ裸の少年達は股間に巨根(ファルス)を常に勃起させ続けており、巨根茸(ウママラタケ)の命名の由来となった。

 ……また、巨根茸(ウママラタケ)は少年達の脳の報酬系(ほうしゅうけい)にも菌糸を張り巡らせたので、村の股間の男根(ペニス)を常に勃起させ続けている素っ裸の男の幼児や少年達は、五感の全てが性的な刺激に感じられる、全身が鋭敏(えいびん)な性感帯(せいかんたい)の状態となり、更に少年達の白い下腹部には、薔薇色(ばらいろ)の奇妙な痣(あざ)の催淫斑(サテュリオ)が鮮(あざ)やかに浮かび上がるのだった。
 ……そして、そんな巨根茸(ウママラタケ)の少年への寄生による一連の変化を、牧神症候群(サテュロス・シンドローム)と呼ぶ。

 ……また、部族の男の幼児や少年達の直腸へ寄生し、体内(アヌス)の粘膜を無数の菌糸で覆った巨根茸(ウママラタケ)は、月に一度、何故(なぜ)か満月の夜に子供達の直腸内で、急速に子実体(キノコ)を形成し、明け方近くに其の巨根茸(ウママラタケ)の子実体(キノコ)は、まるで大便の排泄の様に、素っ裸の子供達の肛門を内部から大きく、丸く押し開いて先端を肛門の外へ突き出し、子実体(キノコ)の笠(かさ)を開いて白い胞子を周囲へ散布する。
 ……村の少年達は、村の近くの明け方の森の中で、素っ裸の四つん這いで、一斉に巨根茸(ウママラタケ)の胞子を大気へ散布する。

 ……更に、此の巨根茸(ウママラタケ)の子実体(キノコ)を乾燥させ、粉末に砕いた物は、催淫剤の紫稍花(ししょうか)の原材料の一つとして、高価で取引されている。
 ……巨根茸(ウママラタケ)は、特定の部族の男の幼児や少年達にのみ寄生する風土病だが、其の粉末の成分には、即効性(そっこうせい)の強烈な催淫剤の効果が有るからだ。

 ……なので、村の若衆宿の青年達は、故意に村の少年達の童菊蕾(アヌス)へ巨根茸(ウママラタケ)を感染させていた。
 ……そして、満月の夜の明け方に、素っ裸で四つん這いの男児や少年達の肛門から、笠(かさ)を開いて胞子を大気へ散布した巨根茸(ウママラタケ)を指で摘(つま)んで強引に、素っ裸で四つん這いの少年達の肛門から引き抜き、乾燥させて粉末に砕いて販売していたのだった。


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