百鬼淫行

淀川 乱歩

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其の八 百壱鬼夜行 

其の八 百壱鬼夜行の十 地下迷宮陵辱地獄変

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 ……昔々の、其の、また昔(むかし)。
 ……遠い異国の暗き森の奥に、其の朽(く)ちかけた城はひっそりと佇(たたず)んでいた。
 ……年中、昼夜消える事の無い、濃い白き霧の下に広がる広大な湿地帯の、無数の底なし沼に守られて、其の古い城は遥か太古より、人知れず佇んでいたのだった。

 ……白き霧の中、底なし沼を避けながら数日程、其の湿地帯を進むと、突然現れる高き灰色の石の城壁。
 ……何故か、其の城には入り口が無く、巨大な底なし沼の中央の濁った暗い緑色の水面から突き出した巨大な岩の、島の表面を完全に覆って、異常に高い城壁が垂直に立っていたのだ。
 ……まるで牢獄の様に、人間達の接近を拒む其の無人の古城には、幾つもの謎が太古より隠されていたのだった。
 ……人間が地上に姿を現す、遥か以前から存在し続けていた其の古城には、根元の巨大な岩の中を縦横に刳(く)り抜いて、地下迷宮が古城の根の様に、下へ下へと無数に広がっていたのだ。
 ……太古に、天空の彼方より飛来せし其の巨大隕石は、現在の位置に一片の羽毛の様に音も無く舞い降り、底なし沼の中にゆっくりと沈んで行ったと云う。
 ……そして、そんな太古に落下した隕石の島の地下迷宮には、周囲の村の神隠しの子供達が淫靡(みだら)な錬金術で不老不死に変えられ、全ての記憶を消去されて地下の迷宮の闇の中を、全裸で永遠に彷徨(さまよ)い続けていたのだった。
 ……真っ暗な地下迷宮の中に無数に潜む、異形の魔物達の生きている性玩具(にえ)として、淫らに陵辱(おか)され続ける為に。
 ……全裸の少年少女達は真っ暗な闇の中、幼い性的絶頂(オルガズム)を無限に繰り返し続けながら、可愛いらしく喘(あえ)いでいたのだった。
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