百鬼淫行

其の七 褌蟹（またかぶり）

其の七 褌蟹（またかぶり）の三

　……更に、其の海士の少年は、妖怪に無抵抗に性器を吸い扱かれ続けながら、兄に性器を吸われて、生まれて初めて射精させられた時の事を思い出していた。
　……兄に初めて鶏姦されてからは、少年と兄は秘密の洞窟の中で、毎日愛し合っていた。

　……少年達、海士一家の住んでいた場所は、小さな湾が複雑に入り込んだ海岸線と、大小の島が無数に点在する多島海だった。
　……秘密の洞窟は、そんな無人島の中の一つに有った。其の島の小さな川を、少年と兄は海から上流へと小船で遡（さかのぼ）って行った。
　……川の突き当たりは大きな滝で、少年と兄は慎重に、其の滝の裏側に船を入れた。滝の裏側には、岩壁に穴が一つ開いていて、二人は其の狭い真っ暗な穴の中に船で入って行った。

　……真っ暗な穴が突然終わると、二人の船は地下の広い空洞に出た。二人の頭の上の、岩の天井の小さな穴から日光が一本、細い光の柱となって暗い地底湖の、静かな水面に射し込んでいた。
　……其の、上からの明かりで地底湖の水は中央部が青白く、神秘的な色に光り、水面で反射した陽光が、ゆらゆらと天井の岩肌に光の波紋を描いていた。
　……少年と兄は、船を薄暗い地底湖の一番奥へと進めた。途中、天井からの光で眩（まぶ）しい湖の中央部を横切り、突き当たりには岩壁が崩れて上陸出来る、狭い岸辺になっていた。
　……其処には、岩壁の小さな穴から真水が、ちょろちょろと一条の小さな滝となって流れ落ちていた。
　……少年と兄は、其の岸辺に上陸し、乗って来た船の船首を岸の上に二人で引き上げた。
　……そして、兄弟は小さな滝の水で裸身を洗い、白い下帯（ふんどし）を脱いで滝の水で濯（すす）いだ。