【R18】超女尊男卑社会〜性欲逆転した未来で俺だけ前世の記憶を取り戻す〜

広東封建

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三章

36-要求

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「―――全く、何を言い出すかと思えば……そんなの決まっているじゃろう。
 儂の生徒らに手出しなどさせる訳がなかろう。そんな得体の知れぬ奴隷なんぞに」

 茉以子の詰問に対し、比奈は堂々と答える。
 その言葉に、茉以子の目が鋭く開かれた。

「比奈ちゃん……それが犯罪行為だということは勿論知っているわよね?」

 茉以子の口調がどんどん強みを帯びていく。
 だが比奈も毅然とした態度で茉以子に立ち向かった。

「儂の務めはこの学園で学ぶ生徒らを守ることじゃ。
 そしてゆくゆくは社会へと羽ばたかせ、世のため人のために役立つ人間となるよう導くのが、我々教育者じゃ。
 奴隷とのまぐわいに堕落する道ではない。
 それに―――Sランクといえどたかがいち奴隷のために、何故儂の生徒らがその身を差し出さねばならんのじゃ」

 比奈も語気を強めて茉以子への反論を述べる。

「本当に愚かな従姉だわ。性法では全ての人間に、己の性欲を満たす権利が認められているわ。
 そこに女であるか奴隷であるかは明記されていないの。
 彼の性欲を妨げるのは立派な犯罪行為よ。
 そうでなくとも……私も貴女も、ここにいる全員、いえ―――日本に住む全ての出産に適した年齢の女が、この先彼とセックスする運命にあるのよ。
 これは笛水様の崇高な理念によって標された、絶対的な決定事項よ。
 貴女の生徒が最初の礎となれるのだから、喜んでその身を差し出すべきだわ」

 まるで妄言のような言葉だが、茉以子の顔からは冗談を言っている素振りは全く感じられない。
 恐らく、性を司る機関のトップに君臨する存在として語っているのだろう。

 もしそれが本当なら―――

 あまりにも突飛かつ、身勝手極まりない話に、比奈の中で沸々と怒りが込み上げてくる。

「愚か者は貴様じゃ! 奴とこの国の女全員が交わるじゃと……?
 おぬしら政府が何を企んでおるのかは知らぬが、そんなふざけた話のために儂の生徒らを実験材料にでも使うつもりか!
 そんなことは儂が断じて許さん!」

 比奈が激しく机を叩き、鬼の形相で茉以子へと噛み付く。

「貴女がどれだけ反対したところで、それは生徒達の幸せを奪う結果にしかならないのだけど……でもそうね。
 勿論今からすぐに比奈ちゃんの生徒全員、という訳ではないわ。
 出産可能な女性全員が彼とセックスするには、まだまだ計画と準備が足りないし……
 ただ―――ある特定の生徒とだけ、彼にどうしてもセックスして貰いたいの」

「ある特定の……じゃと?」

「ええ。比奈ちゃんの学園の生徒は全部調べさせて貰ったけど、中等部にまだ初潮を迎えていない子がいるわね。」

 茉以子がおもむろに手を空中にかざすと、ホログラムの画面が現れる。
 そこにはこの学園に所属する、全ての女子生徒に関するデータが表示されていた。

「彼がその子とセックスしてくれれば、こちらとしてはひとまずの目的が果たされるわ」

 中等部の中でまだ初潮を迎えていない生徒となると、対象は非常に限られる。
 比留川游助と同じクラスでは1名の生徒が、まだだと聞いている。

「話にならん。儂は一人として、儂の生徒をおぬしらの目的とやらの道具として差し出すつもりはない」

 比奈は依然として茉以子に譲歩するつもりは無かった。

「そう……それは残念ね。
 なら―――彼を初等部に連れて行って、女子生徒を一人残らず犯すようけしかける方法に切り替えましょうか」

「なっ―――」

 茉以子の口から、とんでもない脅し文句が飛び出した。
 そんなことが許される筈がない。
 奴隷が初潮前の小学生を犯して回るなど、前代未聞だ。だが―――

(こやつ……儂が譲らねば本気でやるつもりじゃな……!)

 この女ならばやりかねない。
 いや、確実にやってのけるだろう。
 口元は不快なほどに口角を上げているが、その細めた目の奥は微塵も笑っていない。
 その反吐が出そうな作り笑いが、奴の薄汚れた内面を物語っている。

 初潮前の少女にとってもセックスは身近なものであり、早熟な子達は二次性徴後の性欲増大を受ける前にセックスを経験する者も少なくない。
 勿論法律は女性の快楽に最も重きを置いているため、性交に年齢制限は設けられていないし、本人が興味を持てば何歳からでもセックスすることが許されている。
 それどころか保護者には性に興味を示した子供に対して、自由にセックスをさせる義務がある。

 だがもし仮に初潮前の少女が游助とセックスをし、他では得られない程の強烈な快楽を味わわされれば、人体への影響は計り知れないだろう。
 性欲が増大した後なら、ある程度自分の身体的欲求と心理的欲求の分別がつき、脳への影響も少ない。
 だが初潮前に麻薬にも勝る快楽を覚え込まされれば、全ての思考が快楽に塗りつぶされてしまってもおかしくない。

 更にその状態で初潮を迎えてしまったら―――

 その時少女達の思考に、人としての尊厳が残っている可能性は限りなく低いだろう。
 二次性徴の性欲増大とは比較にならない、人格を失うほどの性欲爆発が少女らの身体に襲い掛かる恐れが十二分にある。

 故にその危険性から、比奈は游助に対して絶対に他の生徒に手を出すなと、固く約束させたのだ。

 そんなことは政府の人間も重々分かっている筈だが、当の性務大臣は逆にそれを推し進めようとしている。

 一体何の目的があって初潮前の少女と游助を交わらせようとしているのかは謎だが、このままでは生徒達がまるでDランク奴隷のように理性を失った野獣に堕とされてしまう。

 そしてこの女―――喜久川茉以子はその手段を選ばない。

 比奈は奥歯を『ギリリ』と噛み締め、反論の言葉を飲んだ。

「そう。それが賢明な判断よ。別に難しいことじゃないわ。
 ただ単に、これからSランクの彼がある女の子にちょっかいを掛けても、ちょっとばかし知らない振りをしていて欲しいだけ。
 そうすれば今まで通り、生徒達は皆平和な学園生活を送れる。
 その子も少~し早く気持ちいいことを味わえるだけだから、気にすることなんて何にもないわ」

(こやつ……抜け抜けとよく言いおるわ……!
 じゃが―――被害を最小限に留めるには、茉以子の要求を飲む以外ない……
 全く―――凛! それに礼子め!
 儂の学園になんちゅう厄介事を持ち込んでくれよった!)

 悔しそうに拳を握る比奈を、茉以子は満足気な笑顔で見つめる。

 そして先程茉以子が表示した画面には、灰原乙音の名前と顔写真が映し出されていた―――
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