【R18】弱小剣士が降魔術師になって人生やり直し~淫魔に毎日搾られて最強に~

広東封建

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第一章【レイシア編】

殺人

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「ーーあの爆発で生きているなんて、しぶとい親子だなぁ全く」

『ザシュッ!』

 レイシアは涼しい顔で剣を引き抜くと、モルダーの体から大量の血が吹き出した。

「後は娘の方も息の根を止めてと……あ、この女はシンに殺して貰った方が良いかな」

「な、何をしているんですかレイシアさん……?」

 倒れているメレーヌに剣を向けようとしているレイシアに対し、シンは未だに何が起こったのか理解出来ないでいる。

「何ってーーあの親子が生きていて色々報告されたらまずいだろ?」

「だ、だからって何で……レイシアさんが……あの優しいレイシアさんが、ひ、人を殺すなんて……!!」

 目の前に起こった光景を、14年間シンが見てきたレイシアが起こしたとは到底信じられなかった。

「それじゃあ何だい、シンは私がこの男に煮るなり焼くなり好きにされる所を見たいって言うのかい?」

「そっそれは……」

 シンはモルダーとメレーヌの言葉を思い出し、思わず閉口する。
 確かにモルダー親子が生きていれば、この後シン達はどんな酷い仕打ちを受けるか分からない。
 だが、だからと言ってレイシアが何の躊躇いもなく人を殺し、更には少女まで手に掛けようとしている事実は受け入れ難かった。

「くくっ。ごめんごめん。ちょっと意地悪言っちゃったね。冗談だよシン。
 さあ……さっさとその女を君の手で殺してくれないか、シン」

(い、一体これの何が冗談なんだ……?)

 この状況で何故笑っていられるのか理解出来ず、レイシアの不気味さにシンは思わずたじろいだ。

「そ、そうだ! 敵の位置は……!?」

 シンは更なる襲撃を危惧し、慌てて周囲を見渡す。

「敵は来ないよ」

 そんなシンに対し、レイシアは短く言い放った。

「それは……どういう意味ですか」

 シンは最悪の予感に顔を強張らせる。

「それは勿論馬車を爆破したのが私だからさ」

 その予感は的中し、レイシアの口から衝撃の事実が語られた。

「私はね……ずっとこの親子を殺そうと計画していたんだ。ずうっとね」

(何が何だか分からない。殺す? 計画?)

「この親子は裏で人を監禁したり、人身売買に手を染めたりと非道な連中なんだ」

(だからってどうしてレイシアさんが……)

「私はこの親子を殺す機会をずっと狙っていたんだよ。
 そしてようやくAランクに到達し、彼等の護衛の依頼を受けることが出来たんだ。
 その任務を他ならぬシンと受けられて、本当に嬉しいよ。
 それで昨晩、こっそり忍び込んで彼等が乗る馬車に火薬を仕込んで置いたのさ。
 いやあここに来るまで大変だったよ。彼等は用心深いし警備も厳重だしーー」

(…………)

 笑顔で語るレイシアを見ながら、シンはただ呆然と立ち尽くした。

「ーー違う……貴女は僕が知っているレイシアさんじゃない。目を覚ましてください、レイシアさん」

 シンはおもむろに剣を抜き取り、メレーヌに剣を向けるレイシアの前に立ち塞がった。

「それは……残念ながら君が私の事を知らないからだよ。私はずっと彼等を憎んで生きてきた」

「違う! 僕は知っている! レイシアさんはこんな事をするような人じゃない! 僕は貴女という剣士に憧れ、ずっと見てきたんだ……! 10年以上も……!」

 シンは自分が剣士だった頃からずっと憧れてきたレイシアの姿を思い出しながら叫んだ。

(あの強く優しく、誰もが憧れる剣士だったレイシアさんが、こんな事をする筈がない!
 きっと何者かに操られているんだ!)

 シンはそう信じて疑わなかった。
 対するレイシアは意味深に目を細めながらシンを見つめ、ゆっくりと口を開いた。


「そうか……やはり君はそうだったか……
 ああ、私も君の事をよーーく知っているよ。剣を私に向けてどうする気だい?

『万年Fランク剣士』のシン君」


「ーーは?」


 レイシアが知る筈の無い呼び名を口にし、シンの頭に衝撃が走った。その時だったーー

「匂いの場所はこの辺りですね……おや? やれやれ……やっと見付かりましたか」

 突然謎の男がシン達の目の前に現れた。

「貴方ですか? 1000のリビングデッドを葬り去ったという少年は」

「は? え? あ……そ、そうですけど」

 立て続けに理解の及ばない出来事が襲い掛かり、シンは思考が鈍った状態で謎の男からの質問に答えた。

「ーーッ!?」

 その瞬間、シンは何かに気付いて咄嗟に剣を男の方に向けた。

「この気配……お前、魔族か!?」

 シンは降魔術師ならではの察知能力で、目の前の男に漂う魔族のオーラを感知した。

「シン、この魔族は君が召喚したのかい?」

「いえ、そうではありません……」

 男から漂う只ならぬ雰囲気に、レイシアも男へ剣を向ける。

「おやおや……やはり簡単に連れ帰らせてはくれないようですね」

 自分に剣を向ける二人に対し、男はやれやれといった様子でコートを脱ぎ捨てる。
 コートの下からはタイトなタキシードが現れ、男は暢気に手に持ったグラスに口を付け、優雅にその味を楽しんでいる。
 そしてその口からは鋭利な牙がはみ出していた。

「お前は……吸血鬼か……?」

 シンはその風貌に何者なのかを察し、男にたずねる。

「ふっふっ。ええそうですとも。私はヴァンパイアの中でも最上位に君臨するノーライフキング。
 名は『クドラウス』と申します。以後お見知りおきを」

 男は丁寧な物腰でシン達に自己紹介を行った。

「そんな……まさか……」

「ノーライフキング……だって?」

 その名にシンとレイシアは戦慄した。

「1000年前に人間と魔王軍との戦いで恐れられた魔王軍幹部の、あのノーライフキング……?」

 かつて、人間と魔族は互いの領域を巡って争っていた。
 その戦いは500年続いたと言われ、人魔大戦として今も語り継がれ、その名を知らぬ者は居ない。
 そしてにその戦争の歴史の中で名を馳せた、恐るべき魔族の名を目の前の男が口にした事に、シン達は顔を凍らせたーー
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