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第一章【レイシア編】
新たな動き
しおりを挟む~~とある城にて~~
「ーー何? リビングデッドが全部倒された?」
丁度シンがジェラルドと戦っていた時、暗闇に包まれた場所で不穏な会話が繰り広げられていた。
「そうなの……僕が苦労して生成した1000体の可愛い可愛いゾンビちゃん達が……人間の手によって! 全て土に還ったの……ウフッ……ウフフッ」
黒のローブに包まれた謎の人物が、不気味な笑みを浮かべながら答える。
「ふむ。まさかリビングデッドの為に、人間が討伐隊を組織したのですか?」
「あら。怠惰な人間がそんな面倒な事するかしら?」
ローブの人物の報告に、別の二人の人物が議論を交わす。
一人はタキシード姿で片手にグラスを持ち、優雅に飲み物を飲んでいる。
もう一人は丈の短いネグリジェを身に纏い、セクシーに足を組んでいる。
「違う……若い男の子が一人でやってのけた……あっあんなに幸せそうにゾンビちゃんを殺すなんて……!
あの愉悦に歪んだ表情……! おっ思い出すだけでゾクゾクする……!」
ローブの人物が自分の腕を掴みながら身を震わせる。
「あらぁ……♥️ それは私も見たかったわぁ~」
「おやおや……1000ものアンデッドを倒した上にそれとは……本当に人間なのですか? 闇に堕ちた魔の類いではありませんか?」
謎の人物達が各々多様な反応を見せる。
「そっそれは分からない……ただ、大勢の淫魔を従えてた……
その淫魔達と交わりながら半乱狂に……アアアッ……! がっ我慢できないっ! しっ知りたいっ……彼の事を調べたい……!
身体中を隅々まで調べ尽くしてあの顔をもう一度見たいいぃっ!!
フフッ……フフフフ!」
「いよいよ本当に人間なのか怪しくなって来ましたね……
いずれにせよこのままでは我々の目的が果たせません。
私がその少年の事を調べて来ましょう」
タキシードの人物がスクッと立ち上がり、ロングコートをバサリと羽織った。
「ああ~ん! ズルい! こんな話を聞いちゃったら私も彼に会いたいわぁ~!」
「もし連れて来れそうなら連れて来ますよ。
もし危険そうな人物であれば……計画の邪魔になるやも知れませんので、可哀想ではありますがその少年にはその場で消えて貰いましょう」
ニコリと微笑みながら恐ろしい言葉を口にする。
「でっ出来れば生け捕りにして欲しい……」
「私も生け捕りがいいなぁ~」
「全く……貴女達はいつから淫魔になったのですか……」
話し合いが終わると、コートの人物は闇の中に姿を消したーー
~~~~~~~~~~
その頃シンは、何処かで誰かが自分の話をしているなどとはつゆにも思わず、リザとソフィーヤと共に魔女の秘薬を売っているお店に向かっていた。
「ソフィーは魔女の秘薬を売っている店には行ったことがあるのか?」
「はい。そこのお店の方は色んな珍しい道具や薬を売ってらっしゃって、以前から仲良くさせて頂いております」
以前ならば怪しい薬を売っている怪しい店主とソフィーヤが仲良くしている所など想像もつかないシンだったが、今となってはその事に疑問を抱く余地すらない。
「ねーねー! ソフィーのお友達ってどんな人なのー?」
リザがシンとソフィーヤの間を共に歩きながら、楽しそうに質問する。
リザには羽や尻尾を隠させて、姿を見えるようにしてある。
こうやって三人で歩いているとまるで家族に見られそうだなと、シンは何やら照れ臭い感情を覚えた。
とは言ってもお目当てのお店は人通りのない裏路地にあるらしく、シン達以外には誰も歩いていない。
おまけに魔女の秘薬などという怪しい薬を買いに行く家族など居る筈もなかった。
「店主のビルナさんは私にとって唯一の女性のお友達で、とっても素敵な方なんですよ」
社交的なソフィーヤの唯一の友達という言葉にシンは驚いたが、異常な性癖を持つソフィーヤと感覚の合う女性は中々居ないかもしれないと思い直す。
(それにしてもソフィーの友達と言うからには、変な薬も扱っている位だし、そのビルナって人も異常な性癖の持ち主なのだろうか……)
シンは今から向かう店に様々な期待や不安を胸に、ソフィーヤの案内に付いていったーー
「ーーこの店ですご主人様」
裏路地の一際奥まった場所でソフィーヤが立ち止まると、目の前の店を指差した。
店には『エロスの園』と書かれた看板が掲げられており、紫やピンクの装飾が見るからに妖しげな雰囲気を纏っている。
「わー楽しそうな店ー!」
リザの感性にはハマったようで、期待に目を輝かせている。
「ええ。リザ様もきっと気に入るお店だと思いますよ」
シンは楽しそうにドアを押す二人の後に隠れるように、恐る恐るエロスの園に入店した。
シンが店内を見渡すと、そこには極限までに淫靡な空間が広がっていた。
店内はムーディーな灯りに照らされ、甘いお香の香りが充満している。
棚には明らかに男のソレを型どった棒や、明らかに女のアレを模した柔らかそうな物体が置かれている。
壁には卑猥な行為を楽しむ裸の男女の絵が至るところに飾られ、その手前には怪しい色の液体が入った小瓶が大量に並べられている。
更には店の奥には鞭や縄、猿ぐつわ、三角木馬といった拷問や特殊なプレイを楽しむ為の道具が所狭しと展示されていた。
まさに『エロスの園』という名に相応しい空間に、シンは生唾をごくりと飲み込んだ。
「いらっしゃい……ってあら? ソフィーヤじゃない。今日は珍しく女連れ?」
店のカウンターに座る女が三人を迎えた。
女は派手な色の下着の上に、スケスケのベビードールを一枚着ただけの、まるで遊女のように破廉恥な格好をしていた。
椅子に片足を乗せて大きく股を開き、口には長いパイプを咥えてプカプカと白い煙を吐いている。
一見だらしなく見えるが、綺麗にウェーブしたブロンドの髪と大きく露出した谷間、そして艶やかな肌に細い腰回りは、男の欲情を否応なく掻き立てる。
「こんにちはビルナさん。今日は新しい男性のお客様をご紹介しに来ました。
こちらのリザ様は彼の使いの淫魔です」
「ど、どうも。シンです」
「この店すっっご~~い! 夢の国みた~~い♥️」
ソフィーヤがシンとリザを紹介すると、シンは滾る性欲を抑えながらビルナに挨拶をする。
リザはその隣で無邪気な子供のように、辺りを見渡しながら感激していた。
これ程までに卑猥な物に囲まれた場所は、リザにとっては楽園そのものだった。
勿論人並み以上の性欲を持つシンやソフィーヤにとっても、この店の雰囲気は欲望を心の底から沸き上がらせる甘美な世界だった。
「あら……可愛い坊やじゃない。
ひょっとしてソフィーヤの新しいペットかしら?
そんなに硬くならなくていいのよ坊や。ここで硬くしていいのはペニスだけよ。
なぁ~んにも我慢する必要なんてないんだから、怖がらずに好きなだけ欲望を晒け出しなさい。
理性なんて快楽以外の余計な物を求める、馬鹿な人間の愚かな思考よ」
どうやらソフィーヤは他の男達と何度もこの店に足を運んでいるらしい。
ビルナはシンの事を、ソフィーヤが新たに手懐けた少年だと思っているようだ。
ビルナはあどけない少年を淫猥な世界に引きずり込むように、いやらしい言葉で艶かしく誘惑する。
「うふふ。シン様は私の"ご主人様"なんですよ、ビルナさん。
シン様は私を極上の快楽の世界に導いてくれた、とっても淫乱で素晴らしいお方なんです」
そんなビルナの勘違いをソフィーヤが訂正する。
「へぇ……私に並ぶ街一番のスケベで少年たらしの、あのソフィーヤにご主人様とはねぇ……
それもこんなに可愛らしい男の子がもうエロスの素晴らしさに目覚めているなんて。
一体どんな凄いペニスを持った坊やなのかしら」
ビルナに熱い視線を送られると、シンは女豹に目をつけられた小兎のように体と股間を硬直させたーー
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