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第一章【レイシア編】
再出発
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「こちらがシン君のギルドカードになります。
クエストを受けられる際はこのギルドカードを必ず提示してください。
身分証にもなっているので、一応再発行も出来ますがなるべく失くさないでくださいね」
受付嬢から既知の説明を受け、シンは素直にコクリと頷く。
長年かけてやっとの思いでたどり着いたFランクから、またもや最低のGランクに戻ってしまった事に喪失感が否めないが。
「そんなガッカリした顔しない!
最初は皆Gランクからなんだ。君ならすぐにランクも上がるさ」
落ち込んでいるシンに対し、レイシアがなぐさめの言葉をかける。
お世辞ではなく本気でレイシアがそう思っている事が言葉から伝わり、シンの顔に明るさが戻った。
(まあたった1時間で以前のレベルに戻れたのだから、ランクもすぐに上がるだろう。
早くランクを上げたければたくさん淫魔とセックスすればいいのだから、幸せなことこの上ない)
新しく得た人生と能力に希望を見出だし、シンは前を向くことにした。
「それでは今日はどんなクエストを受けられますか?
本当は初めてのクエストはお使いや薬草集めなんかをオススメしてるのだけど……
シン君のレベルなら討伐クエストでも大丈夫そうですね!」
初めてだというのにずいぶんハードルが上がってしまったようだ。
ただゴブリン程度の狩りなら慣れてるし、お使いクエストや採集クエストでは大した稼ぎにならない。
「あ、じゃあゴブリンの討伐クエストはありますか?」
元々討伐クエストを受けるつもりだったし、ここは今の自分の力を試す意味でもゴブリンあたりがちょうど良いだろう。
「そうですね。今ある依頼ですと東の森に住み着いているゴブリンの群れの討伐依頼が出ています。
数もそこまで多くないようですし、初めてでもシン君のレベルなら難なく達成できると思いますよ」
それはちょうど良い腕試しになりそうだ。
シンが二つ返事で決めると、受付嬢がクエスト依頼の張り紙をはがし、受注の手続きを取った。
「それじゃあ気を付けてね。
それなりに強いとは言っても、初めての討伐クエストなんだから無理しちゃだめだよ」
まるで初めてのおつかいにいくかのようにレイシアに手を取られてながら言い聞かされ、シンは気恥ずかしさがこらえきれず二人の美女に見送られながら早足でクエストへと向かったーー
「ーーっと、クエストの場所は確かこの辺りだったよな……」
シンは目的の場所である、ゴブリンの棲む東の森に到着した。
低俗の魔物が棲み家にしている森で、ゴブリン以外にもコボルトやジャイアントビーなどが生息する。
稀にオークが現れることもあるが、街から比較的近い場所なこともあってそこまで危険性はない。
森の奥には東の峡谷があり、オーク達はそこを根城にしている。
シンがオークロードに殺されたのもその場所だ。
シンは嫌な記憶を振り払うように頭をブンブンと振り、目的であるゴブリンの群れを探す。
「ーーいた! 相手は……5、6匹ってところか」
木陰の向こうにゴブリンの姿を発見し、シンは息をひそめて草の茂みに隠れる。
(さてどうするか……
奇襲をかけて剣で倒す……いやいやそれでは剣士の頃と変わらない。
俺はもう降魔術師なんだ。ここはデーモンを呼び寄せて戦わせよう)
つい反射的に自ら戦おうとしたところを思いとどまる。
一番の目的はクエスト報酬だが、今回は降魔術を試すという目的もある。
シンは剣に添えた手をほどき、淫魔を呼び寄せたときと同じように手を前に突き出した。
「ーーいでよデーモン」
『ボンッ』
シンが控えめに呪文を唱えると、目の前にレッサーデーモンが一体現れた。
「レッサーデーモンか。となると今の降魔術レベルに応じたランクの魔族が自動的に呼び寄せられるのかもしれない」
先ほど呼び寄せた淫魔も低級のサキュバスってことになるが、低級であれほどの快楽だったのだから、高位のサキュバスを召喚できるようになったら一体どうなってしまうのか想像もつかず、シンは期待と恐ろしさに身震いした。
「レッサーデーモン、あのゴブリン達を倒せ!」
シンは沸き上がる性欲を抑えつつ、レッサーデーモンに命令を下す。
「グオアアア!!」
シンから命令を受けたレッサーデーモンは雄叫びを上げながら、いきなりゴブリンの群れへと突っ込んでいった。
どうやら低級のデーモンには難しい戦術は扱えないらしい。
「グギャギャ!? ギャギャギャギャ!」
目の前の敵にまっすぐ襲いかかるレッサーデーモンに対し、ゴブリン達もすぐに敵襲に気付いて応戦する。
対するゴブリン達も複数で群れを組んでいるが、連携を取って戦おうとはしてこない。
我先にと現れた敵に襲いかかっている。
「グオアア!」
『ザシュ!』
「グギャアーッ!」
次々に襲いかかってくるゴブリンをものともせず、レッサーデーモンの爪がさく裂する。
低級魔族のレッサーデーモンとはいっても、相手は最下級魔物のゴブリンだ。
基本的に魔族は魔物よりも上位に位置するため、ゴブリンではレッサーデーモンといえど相手にならないようだ。
一匹、また一匹とデーモンの攻撃に倒れる。
気付けばその場にいたゴブリン達をものの数分で倒してしまった。
「す、すごい……もうクエストを完了してしまった。
他にはいないようだしどうしようかな……」
最悪自分も戦うことを想定していたがすんなり終わってしまい、降魔術の力はこれほどなのかとシンは驚く。
役目を終えたレッサーデーモンは次の命令を待つように待機している。
自分が呼び寄せた魔族の力に半ば恐ろしさを感じつつも、これならばかなり狩りの効率が上がる。
シンはなにも働かずしてレッサーデーモンが倒したゴブリンから素材だけを回収し始めた。
ゴブリンがドロップした小さな魔石を全て拾い、ゴブリンの死骸から牙をナイフで切り落とす。
小さな魔石や魔物の素材は冒険者ギルドが買い取ってくれるし、ゴブリンの牙はクエスト達成の証拠となる。
これだけあればクエスト報酬と合わせて今日の宿代には充分だ。
「時間もまだまだあるし、もう少し狩りを続けるか」
今後の事を考えると淫魔とセックスした後の食費もかかるし、強くなれば欲しい防具もある。
折角森まで来たのだから稼げるだけ稼ごう。
幸先の良いスタートに、シンはウキウキと次の獲物の捜索に当たったーー
クエストを受けられる際はこのギルドカードを必ず提示してください。
身分証にもなっているので、一応再発行も出来ますがなるべく失くさないでくださいね」
受付嬢から既知の説明を受け、シンは素直にコクリと頷く。
長年かけてやっとの思いでたどり着いたFランクから、またもや最低のGランクに戻ってしまった事に喪失感が否めないが。
「そんなガッカリした顔しない!
最初は皆Gランクからなんだ。君ならすぐにランクも上がるさ」
落ち込んでいるシンに対し、レイシアがなぐさめの言葉をかける。
お世辞ではなく本気でレイシアがそう思っている事が言葉から伝わり、シンの顔に明るさが戻った。
(まあたった1時間で以前のレベルに戻れたのだから、ランクもすぐに上がるだろう。
早くランクを上げたければたくさん淫魔とセックスすればいいのだから、幸せなことこの上ない)
新しく得た人生と能力に希望を見出だし、シンは前を向くことにした。
「それでは今日はどんなクエストを受けられますか?
本当は初めてのクエストはお使いや薬草集めなんかをオススメしてるのだけど……
シン君のレベルなら討伐クエストでも大丈夫そうですね!」
初めてだというのにずいぶんハードルが上がってしまったようだ。
ただゴブリン程度の狩りなら慣れてるし、お使いクエストや採集クエストでは大した稼ぎにならない。
「あ、じゃあゴブリンの討伐クエストはありますか?」
元々討伐クエストを受けるつもりだったし、ここは今の自分の力を試す意味でもゴブリンあたりがちょうど良いだろう。
「そうですね。今ある依頼ですと東の森に住み着いているゴブリンの群れの討伐依頼が出ています。
数もそこまで多くないようですし、初めてでもシン君のレベルなら難なく達成できると思いますよ」
それはちょうど良い腕試しになりそうだ。
シンが二つ返事で決めると、受付嬢がクエスト依頼の張り紙をはがし、受注の手続きを取った。
「それじゃあ気を付けてね。
それなりに強いとは言っても、初めての討伐クエストなんだから無理しちゃだめだよ」
まるで初めてのおつかいにいくかのようにレイシアに手を取られてながら言い聞かされ、シンは気恥ずかしさがこらえきれず二人の美女に見送られながら早足でクエストへと向かったーー
「ーーっと、クエストの場所は確かこの辺りだったよな……」
シンは目的の場所である、ゴブリンの棲む東の森に到着した。
低俗の魔物が棲み家にしている森で、ゴブリン以外にもコボルトやジャイアントビーなどが生息する。
稀にオークが現れることもあるが、街から比較的近い場所なこともあってそこまで危険性はない。
森の奥には東の峡谷があり、オーク達はそこを根城にしている。
シンがオークロードに殺されたのもその場所だ。
シンは嫌な記憶を振り払うように頭をブンブンと振り、目的であるゴブリンの群れを探す。
「ーーいた! 相手は……5、6匹ってところか」
木陰の向こうにゴブリンの姿を発見し、シンは息をひそめて草の茂みに隠れる。
(さてどうするか……
奇襲をかけて剣で倒す……いやいやそれでは剣士の頃と変わらない。
俺はもう降魔術師なんだ。ここはデーモンを呼び寄せて戦わせよう)
つい反射的に自ら戦おうとしたところを思いとどまる。
一番の目的はクエスト報酬だが、今回は降魔術を試すという目的もある。
シンは剣に添えた手をほどき、淫魔を呼び寄せたときと同じように手を前に突き出した。
「ーーいでよデーモン」
『ボンッ』
シンが控えめに呪文を唱えると、目の前にレッサーデーモンが一体現れた。
「レッサーデーモンか。となると今の降魔術レベルに応じたランクの魔族が自動的に呼び寄せられるのかもしれない」
先ほど呼び寄せた淫魔も低級のサキュバスってことになるが、低級であれほどの快楽だったのだから、高位のサキュバスを召喚できるようになったら一体どうなってしまうのか想像もつかず、シンは期待と恐ろしさに身震いした。
「レッサーデーモン、あのゴブリン達を倒せ!」
シンは沸き上がる性欲を抑えつつ、レッサーデーモンに命令を下す。
「グオアアア!!」
シンから命令を受けたレッサーデーモンは雄叫びを上げながら、いきなりゴブリンの群れへと突っ込んでいった。
どうやら低級のデーモンには難しい戦術は扱えないらしい。
「グギャギャ!? ギャギャギャギャ!」
目の前の敵にまっすぐ襲いかかるレッサーデーモンに対し、ゴブリン達もすぐに敵襲に気付いて応戦する。
対するゴブリン達も複数で群れを組んでいるが、連携を取って戦おうとはしてこない。
我先にと現れた敵に襲いかかっている。
「グオアア!」
『ザシュ!』
「グギャアーッ!」
次々に襲いかかってくるゴブリンをものともせず、レッサーデーモンの爪がさく裂する。
低級魔族のレッサーデーモンとはいっても、相手は最下級魔物のゴブリンだ。
基本的に魔族は魔物よりも上位に位置するため、ゴブリンではレッサーデーモンといえど相手にならないようだ。
一匹、また一匹とデーモンの攻撃に倒れる。
気付けばその場にいたゴブリン達をものの数分で倒してしまった。
「す、すごい……もうクエストを完了してしまった。
他にはいないようだしどうしようかな……」
最悪自分も戦うことを想定していたがすんなり終わってしまい、降魔術の力はこれほどなのかとシンは驚く。
役目を終えたレッサーデーモンは次の命令を待つように待機している。
自分が呼び寄せた魔族の力に半ば恐ろしさを感じつつも、これならばかなり狩りの効率が上がる。
シンはなにも働かずしてレッサーデーモンが倒したゴブリンから素材だけを回収し始めた。
ゴブリンがドロップした小さな魔石を全て拾い、ゴブリンの死骸から牙をナイフで切り落とす。
小さな魔石や魔物の素材は冒険者ギルドが買い取ってくれるし、ゴブリンの牙はクエスト達成の証拠となる。
これだけあればクエスト報酬と合わせて今日の宿代には充分だ。
「時間もまだまだあるし、もう少し狩りを続けるか」
今後の事を考えると淫魔とセックスした後の食費もかかるし、強くなれば欲しい防具もある。
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