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19 夜明け(終)

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「こちら2番艦。7番艦からの応答なし。3番艦は当該区域の調査結果を報告せよ」

「3番艦より全艦へ。7番艦を海底にて発見した。座標を送る。人間に侵入され沈没した模様だ。生存者はいないと考えられる」

「了解した。当該艦はそのまま遺棄。これより代替艦の建造を開始する。完成予定は270年後だ」

「では完成までこの地域は本艦が管理しよう。各々、管轄区域を拡張、再設定してほしい。当艦だけでは負担が大きい」

「よしよし、任せろ。それぞれが現行より領域を9パーセント拡大することでバランスは保てるぞ」

「了解した。航行ルートの再設定を行う」

「了解。航行ルート再設定」

「こちら4番艦。承知した。航行ルートの再設定および管轄区域の更新完了」

「3番艦より全艦へ。これより当該区域において第6ピリオドを開始する。地表の損壊が激しく、大気も安定していない。

おそらく沈没した際の余波によるものだろう。よってフェイズ0を設定し、地上の条件が整い次第、種を投下する」






 夜が訪れる瞬間がある。

 日没ではない。

 低い、獣の唸り声のような音が響き渡る。

 けれども快哉を叫び、あるいは恐れる者はここにはいない。

 今がまさに、生と死の転換期であるからだ。

 荒れた大地は風になぶられ、やがて平らかになる。

 生命は息を吹き返し、瞬く間に地上にはびこる。

 曇った空がついに晴れ、芽吹いた緑があまねく広がる。

 美しい。

 実に美しい。

 これが世界なのだ。

 しかしそれは永遠ではない。

 いつか楽園から蒔かれた種が。

 文明を起こし、文化を築き、世界を変える。

 彼らは長い年月をかけて繁栄し、そしてたった一瞬のうちに滅び去る。

 醜い!

 実に醜い!

 しかし他に方法がないのである。

 生まれては死に、栄えては滅ぶ。

 そんな不毛な循環を、それらは悠々と泳ぎながら俯察するのである。







   終

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