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15 翔破-1-
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「よし、動いた!」
巨体がぐんと前に出た衝撃を背中に感じ、カイロウは短く快哉を叫んだ。
手製の飛行機は順調に傾斜を登っていく。
「本当に動くとは思いませんでした……」
リエが冗談とも本気ともとれる口調で言う。
「おいおい、信じてくれていたんじゃないのかい?」
「もちろんですよ。ですが実際に乗ってみると、座り心地も良いとは言えないですし……配線も剥き出しになっているところが……」
「散々な言われようだな。それより怪我はしていないか?」
「ええ、平気です。まだちょっと右腕が痛むくらいですね」
「そうか、それなら――地上が見えてきたぞ」
機体前部のライトが十数メートル先を照らす。
視界が良好なのは銅褐色の霧がここまで入り込んでいないからだ。
あと数秒もしないうちに夜闇と霧が混ざり損ねた、くすんだ空を拝むことになる。
機体は地上に向けて速度を上げた。
彼には複雑なことは分からなかったが、各機関は正常に機能しているようである。
「あとは無事に飛ぶことを祈るだけですね」
とリエが言ったとほぼ同時に、機体が地上へと躍り出た。
傾斜を登攀した勢いで数瞬、宙に浮いた2人は重力から解放されたような奇妙な感覚を味わった。
薄曇りの空が視界いっぱいに広がる。
左手に見える施設が徐々に手前へと引き離されていく。
再び車輪が地面を踏み、巨体をぐらりと左右に揺らす。
速度はぐんぐんと上がり、その勢いに乗じるように機体がゆるやかに上昇をはじめた。
「ド、ドクター!? 飛んでます! 飛んでますよ、これ!?」
眼前の景色が下方に落ちていくのを見て、リエは頓狂な声をあげた。
「そうなるように……造ったからね!」
操縦桿を握る手に力が入る。
機体はわずかに浮上しただけだ。
まだ安心はできない。
もっと高度を上げなければ、敷地と道路を隔てる壁に激突してしまう。
「頼むぞ……飛んでくれよ…………!」
その時、ふと横に目を向けたリエが何かに気付いた。
闇夜にまぎれて何かが滑走路を走っている。
黒く、時に街灯の光を反射して銀色に光る何かが、ぴたりと張り付くように並走していた。
(あれは…………?)
リエはじっと目を凝らした。
浮かび上がった輪郭は人だった。
襤褸切れのようになったコートの隙間からはみ出す金属の塊。
それは腕であり、脚であり、胴でもあった。
その正体を理解した彼女は青ざめた。
「ドクター……あの、死んだ人が…………」
全身の震えを抑えながらリエが指差す。
「何か言ったかい?」
だが駆動音に遮られカイロウにはよく聞き取れなかった。
「死んだ人が追いかけてきています……!」
見間違いなどではない。
あの瞬間を彼女ははっきりと覚えていた。
工場から逃走する際に撥ねた、あの男だ。
「私が轢いてしまった人ですよ!」
「何だって!?」
カイロウがそちらを見やったのはほんの一瞬だった。
滑走路の終わりは数十メートル先だ。
だが機体はまだ充分な高度に達していない。
「なら人殺しにならずに済んで良かったじゃないか!」
それよりも問題は高度だ。
操縦桿を握る彼の手はリエよりも震えていた。
「どうして轢かれた人があんなに走れるんですか?」
「足はあるか?」
「あります、銀色の」
「なら足だけ死んだんだ。足だけが幽霊になったんだ」
「怖いこと言わないでください!」
壁が迫ってくる。
「くそ! もっと高く上がれ!」
カイロウは自分の腹に押し当てるようにして桿を引いた。
それに応えるように機体がさらに高度を上げた。
瞬間、テラもタイミングを合わせたように跳びあがり、車輪にしがみついた。
その重みと衝撃に大きくバランスを崩し、浮き上がったばかりの機体が沈み込む。
「こんなの予定にないぞ!」
なかば自棄になって発した悲鳴が目の前の壁にぶつかって戻って来る前に、
「右です!」
リエが後ろから手を伸ばして彼の腕をつかんだ。
引っ張られるように桿が右に倒され、機首が大きく傾く。
一瞬、景色が一回転したような錯覚に陥った彼は素早く状況を確認し、障害物の少ないコースを探した。
外周部の道路に沿って高木が林立しているため、再度浮上するためには敷地内を大きく旋回する必要があった。
「逃がさんぞ、叛逆者め……」
鉤爪のようなチタン製の指を車軸にかけ、テラは振り落とされまいと必死にしがみついた。
リエに撥ねられた衝撃で胸部のパーツはひしゃげ、同じく金属製の左腕と肩の接合部にも歪みが生じている。
「あの人、まだ掴まっているみたいですよ! どうするんですか?」
「この飛行機は2人乗りなんだ。降りてもらうしかないだろう」
リエが機転を利かせたおかげで機体はある程度の高度を保っていた。
だがまだ建築物を飛び越えるには至らない。
燃料とタードナイトを反応させて揚力を得る方法もあるが、速度が出過ぎて小回りが利かなくなる。
もっと開けた場所に出るまでは危険な手段だった。
問題となるのは視界だ。
周辺の地形や建築物の高さは把握しているが、地上にいるのと空を飛んでいるのとでは感覚が異なる。
空が霧に覆われていることもあって、建造物の輪郭も朧げにしか見えない。
どうにかテラを振り落としたいのだが、障害物との衝突を恐れて消極的な飛行をせざるを得なかった。
(落としたところで……あの男は今度こそ死ぬだろうな……)
速度のある状態での上空からの落下となれば、衝撃は車に撥ねられたときとは比べものにならない。
今さら彼の安否を気遣っている場合ではないが、確実な方法はないものかと模索する。
ふと地上に目をやると、町の至る場所に光が灯っていた。
小さな光の集まりもあれば、燃え盛るような輝きの集団もある。
クジラ教だ。
信徒が各地で集会を開き、それに群がる者たちが熾した光だ。
その周辺だけは燦然と輝く光源のおかげで遠目でも状況が見て取れた。
巨体がぐんと前に出た衝撃を背中に感じ、カイロウは短く快哉を叫んだ。
手製の飛行機は順調に傾斜を登っていく。
「本当に動くとは思いませんでした……」
リエが冗談とも本気ともとれる口調で言う。
「おいおい、信じてくれていたんじゃないのかい?」
「もちろんですよ。ですが実際に乗ってみると、座り心地も良いとは言えないですし……配線も剥き出しになっているところが……」
「散々な言われようだな。それより怪我はしていないか?」
「ええ、平気です。まだちょっと右腕が痛むくらいですね」
「そうか、それなら――地上が見えてきたぞ」
機体前部のライトが十数メートル先を照らす。
視界が良好なのは銅褐色の霧がここまで入り込んでいないからだ。
あと数秒もしないうちに夜闇と霧が混ざり損ねた、くすんだ空を拝むことになる。
機体は地上に向けて速度を上げた。
彼には複雑なことは分からなかったが、各機関は正常に機能しているようである。
「あとは無事に飛ぶことを祈るだけですね」
とリエが言ったとほぼ同時に、機体が地上へと躍り出た。
傾斜を登攀した勢いで数瞬、宙に浮いた2人は重力から解放されたような奇妙な感覚を味わった。
薄曇りの空が視界いっぱいに広がる。
左手に見える施設が徐々に手前へと引き離されていく。
再び車輪が地面を踏み、巨体をぐらりと左右に揺らす。
速度はぐんぐんと上がり、その勢いに乗じるように機体がゆるやかに上昇をはじめた。
「ド、ドクター!? 飛んでます! 飛んでますよ、これ!?」
眼前の景色が下方に落ちていくのを見て、リエは頓狂な声をあげた。
「そうなるように……造ったからね!」
操縦桿を握る手に力が入る。
機体はわずかに浮上しただけだ。
まだ安心はできない。
もっと高度を上げなければ、敷地と道路を隔てる壁に激突してしまう。
「頼むぞ……飛んでくれよ…………!」
その時、ふと横に目を向けたリエが何かに気付いた。
闇夜にまぎれて何かが滑走路を走っている。
黒く、時に街灯の光を反射して銀色に光る何かが、ぴたりと張り付くように並走していた。
(あれは…………?)
リエはじっと目を凝らした。
浮かび上がった輪郭は人だった。
襤褸切れのようになったコートの隙間からはみ出す金属の塊。
それは腕であり、脚であり、胴でもあった。
その正体を理解した彼女は青ざめた。
「ドクター……あの、死んだ人が…………」
全身の震えを抑えながらリエが指差す。
「何か言ったかい?」
だが駆動音に遮られカイロウにはよく聞き取れなかった。
「死んだ人が追いかけてきています……!」
見間違いなどではない。
あの瞬間を彼女ははっきりと覚えていた。
工場から逃走する際に撥ねた、あの男だ。
「私が轢いてしまった人ですよ!」
「何だって!?」
カイロウがそちらを見やったのはほんの一瞬だった。
滑走路の終わりは数十メートル先だ。
だが機体はまだ充分な高度に達していない。
「なら人殺しにならずに済んで良かったじゃないか!」
それよりも問題は高度だ。
操縦桿を握る彼の手はリエよりも震えていた。
「どうして轢かれた人があんなに走れるんですか?」
「足はあるか?」
「あります、銀色の」
「なら足だけ死んだんだ。足だけが幽霊になったんだ」
「怖いこと言わないでください!」
壁が迫ってくる。
「くそ! もっと高く上がれ!」
カイロウは自分の腹に押し当てるようにして桿を引いた。
それに応えるように機体がさらに高度を上げた。
瞬間、テラもタイミングを合わせたように跳びあがり、車輪にしがみついた。
その重みと衝撃に大きくバランスを崩し、浮き上がったばかりの機体が沈み込む。
「こんなの予定にないぞ!」
なかば自棄になって発した悲鳴が目の前の壁にぶつかって戻って来る前に、
「右です!」
リエが後ろから手を伸ばして彼の腕をつかんだ。
引っ張られるように桿が右に倒され、機首が大きく傾く。
一瞬、景色が一回転したような錯覚に陥った彼は素早く状況を確認し、障害物の少ないコースを探した。
外周部の道路に沿って高木が林立しているため、再度浮上するためには敷地内を大きく旋回する必要があった。
「逃がさんぞ、叛逆者め……」
鉤爪のようなチタン製の指を車軸にかけ、テラは振り落とされまいと必死にしがみついた。
リエに撥ねられた衝撃で胸部のパーツはひしゃげ、同じく金属製の左腕と肩の接合部にも歪みが生じている。
「あの人、まだ掴まっているみたいですよ! どうするんですか?」
「この飛行機は2人乗りなんだ。降りてもらうしかないだろう」
リエが機転を利かせたおかげで機体はある程度の高度を保っていた。
だがまだ建築物を飛び越えるには至らない。
燃料とタードナイトを反応させて揚力を得る方法もあるが、速度が出過ぎて小回りが利かなくなる。
もっと開けた場所に出るまでは危険な手段だった。
問題となるのは視界だ。
周辺の地形や建築物の高さは把握しているが、地上にいるのと空を飛んでいるのとでは感覚が異なる。
空が霧に覆われていることもあって、建造物の輪郭も朧げにしか見えない。
どうにかテラを振り落としたいのだが、障害物との衝突を恐れて消極的な飛行をせざるを得なかった。
(落としたところで……あの男は今度こそ死ぬだろうな……)
速度のある状態での上空からの落下となれば、衝撃は車に撥ねられたときとは比べものにならない。
今さら彼の安否を気遣っている場合ではないが、確実な方法はないものかと模索する。
ふと地上に目をやると、町の至る場所に光が灯っていた。
小さな光の集まりもあれば、燃え盛るような輝きの集団もある。
クジラ教だ。
信徒が各地で集会を開き、それに群がる者たちが熾した光だ。
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