コレクト王国物語

星鹿カナン

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旅人編 第一章

ジャック、カロンの村へ

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Side:???


 アリアの案内にジャックが付いて行くと、大きな壁と堀に囲まれた、カロンの村だと思われる集落みたいなものが見えてきました。


「ジャックさん、見えてきましたよ。
 あれが、カロンの村です。」


 ジャックが、アリアに続いて堀に架けられた橋の一つを渡っていると、村の方から槍を持った大柄の人物が二人の方へ駆け寄ってきました。


「おおーい!
 アリアちゃん、無事か?
 うーむ、元気そうでなによりだがな!」


「ランバおじさん、声が大きいよ。
 もう夜も遅いんだから、もっと静かにしないと、ご近所さんに迷惑だよ?」


「アリアちゃんが帰ってくるのが、遅いからだぞ。
 これに懲りたら、今度からは日が暮れるよりも前に帰ってくるようにするんだぞ。
 っと、それで、そちらさんは何者なんだ?」


「はーい、気を付けます。
 えっと、それでね、このお兄さんはね、ジャックさん、っていって、アルレの森でね、道に迷ってた旅人さんなんだよ。」


「えっと、はじめまして。
 僕は、あの森の中で、道に迷って困っていたところを偶然アリアに助けられた、ジャックという者です。
 野営の仕方が分からなくて、・・・出来れば屋根のあるところで休みたかったので、アリアのオススメもあって、この村に案内されて来ました。」


 ジャックはいつも通り、怪しさ満載の自己紹介をしてしまいました。


「ほぉーう。
 アルレの森で迷子に、ねぇ・・・・・・。
 ううーむ・・・だーが、アリアちゃんが連れてきてるんだしなぁ。
 んんーんむ・・・・・・」


 そのせいか、早速ランバに疑いの目を向けられてしまいました。

 しかし、ランバはランバで、幼少の頃より、宿に来る客やギルドの酒場、村の大衆食堂の利用者などを見続け、人を見る目を養っているアリアが、安全だと判断した者を、自分の何となくの感覚で怪しい、と断じることには抵抗を覚えてもいました。


「ランバおじさん、・・・大丈夫だよ。
 ジャックさんは。」


「はぁ、そうか。
 まぁ、アリアちゃんがそう言うならそうなんだろ。
 いいぞ、入っても。
 その代わり、村のヤツと揉めたり、わざと大きな問題を起こしたりはするなよ。」


 アリアによる証言は、高く評価されたのか、ランバは、ジャックを村に入れることに決めたようです。
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