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第1章
70.使者の到着
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◆
「なんだと? もういっぺん言ってみろ!」
夜が明けて間もない、いまだ肌寒さが残る朝方。
イオスに向かってゴルドンが放ったひと言に、そのときたまたまそばに居た小角鬼族のラオが怒りを露にしていた。
「だからよお。俺たちはあんたらと別れて、違う場所に行くことにしたって言ったんだわ。そもそもジェネットの町を追い出されちまったんで、ここまで付いてきただけだ。こちとら、そっちの怪しげな冒険者のことを信じたわけじゃねえからな」
「貴様、イオス様に向かって何たる言い草っ!」
そんな言葉を聞き、今にもゴルドンへと飛びかかり胸ぐらを掴みそうになるラオ。
周りで旅の身支度をしていた亜人たちの視線も、いったい何事が起きたのだろうかとそちらのほうに集まり始めていた。
だが、すぐにイオスの手が伸びてきて、ラオの行動を制止する。
「やめておけ、ラオ」
「ぐっ……。で、ですが、イオス様」
「ゴルドンたちがそうすると決めたのなら好きにさせてやれ。最初から言っているが、無理強いする気はない。お前たちはこの先、農奴という立場に置かれるのだ。そうなってしまえば、自ら辞めることができなくなるのだからな」
「それは元より承知のうえ……」
「ラオ。ラプラール殿からも口を酸っぱくするほど言われているはずだ。お前の欠点はすぐにカッとなるところだとな。お前にはラプラール殿の跡をついで亜人たちをまとめ上げる立場になってもらうつもりでいる。だが、その性格を直さなければ俺としても安心して任せられんのだ」
「は、はい。も、申し訳ありません」
農奴というのは領主や荘園主が有する土地を借りて働く農民のことだ。
奴隷とは違い、家庭を持つことだってできるし、財産も所有出来る。ただし、小作人のように自らの意思で主人を変えたり、勝手にほかの土地に移ることができない。
基本的には一生与えられた土地を耕して暮らさなければならず、エルセリアやマガルムークにおいてもそれが当たり前のこととして受け止められていた。
「ふんっ。おめえらももう一度よく考えてみたほうがいいぞ。本当にこいつに付いていって大丈夫なのか」
「そうだ、そうだ。重い税を取られてギリギリ生き永らえるぐらいなら、ゴルドンの兄貴に付いていったほうがよっぽどマシってなもんよ」
ゴルドンの背後に隠れていたジータの口からも追随する声が上がる。
「それにな、俺は戦場で一旗上げるつもりだ。そこで戦功を上げりゃあ、従士に取り立ててもらえるかも知れねえからな」
「ゴルドン……。まさかとは思うが此度の戦争に参加するつもりか?」
「あ? 何か文句でもあんのか?」
「いや。マグルムークの行く末がかかった戦争だ。自分たちの力で何とかしようという気持ちもわからなくはない。ただまあ、あまり無茶な真似はしないほうがいいと思ってな」
「けっ。余計なお世話だってえの。何でもマクシミリアン侯爵は俺たち亜人の味方だっていう話じゃねえかよ。だから俺たちの力でマクシミリアン侯爵を戦争に勝たせてやんのよ。そうなりゃこの先亜人の立場も変わるってもんだろ?」
「そう上手くいけばいいが。後ろに居る者も皆、同じ意見ということか?」
「ああ、そういうこった。まあ、まだ戦争に参加するかどうかは悩んでいる連中も居るみたいだがな。別に俺だって無理やり戦争に参加させるつもりはねえ。本人がどうしても嫌だっていうのなら、そのときにはまた考えればいいだけの話よ」
今更になって戦争に参加するつもりだというゴルドンのことを、ラオのみならずほとんどの者が白い目で見ていた。そうでなくても、この場に居るのは戦争には行くのが嫌で避難してきた者たちばかりだ。ゴルドンの言葉に賛同する亜人が現れないのも当然のことだろう。
だが、40名ほどの亜人がゴルドンの後方には立ち並んでいる。
その者たちは本当に戦争に参加するかどうかはともかくとして、どうやらゴルドンに付いていくことに決めたようで、それなりの数の亜人がイオスの元を離れようとしていた。
「そうか。結局はお前たち自身が判断することだ。それに今ここで俺が止めても無駄だろう。ただ、そうなると俺たちとは袂をわかつことになるが?」
「最初からそう言ってるだろ。残念だったな。あんたの計画どおりにならなくてよ」
「計画とは?」
「俺たちのことを農奴にして、いいように扱き使うつもりだったんだろ? わかってんだぜ、この俺様はなあ」
「何を馬鹿なことを。まあ良い。もう一度言っておくが、この先どうするかはあくまで自分たちで決めるべきことだ。もしこの場にゴルドンと行動を共にしたほうがよさそうだと考え直した者が居るのなら、一緒に付いていっても構わないからな」
そんなイオスの言葉に皆が顔を見合わせる。
だが、しばらく待っても誰も腰を上げようとすらしなかった。
「ちっ。臆病者どもが」
その様子を見たゴルドンが捨て台詞を吐きながら、顔をいらいらしげに歪ませる。
「ラオ。今、聞いたとおりだ。こいつらの分の食料を渡してやれ」
「え? よろしいので? この連中は魔物狩りでも働きが悪かった者ばかりですよ。平等に分前を与えるのさえどうかと思うほどの。それに今は少しでも食料の備蓄が必要なときなのでは?」
「構わん。どうせ明後日辺りには目的の場所にたどり付くはずだ。それまでの食料さえあれば問題ないからな。そのあとは俺が責任を持って、食料を調達してくるつもりだ」
「そうですか。まあ、良い厄介払いが出来たと思えば。お前ら、よかったな。イオス様が慈悲深いお方で」
そう言ってラオがゴルドンたちを伴い、食料をひとまとめにして置いてある場所へと連れていく。
その集団の中には父親の判断に付き従っていると思わしき母親や子供の姿も見えた。
その場に残った亜人たちの顔には、その者たちの行く末を案じるような表情が一様に浮かんでいた。
◇
港町ポートラルゴの端から端までを見渡せる丘。
海から少しだけ離れた、小高く隆起しているその土地にストレイル男爵の屋敷は建てられていた。
現在、その屋敷に招かれているのは俺とラウフローラ、それにバルムンドの3名。といっても、俺はあくまでフローラ姫の護衛役としての同席だったが。
ただ、何故かその俺まで一緒にテーブル席に座って、食事に付き合わされている最中。
テーブルを挟んで俺たちの向かい側の席に座っていたのは、この屋敷の主人であるストレイル男爵と領主であるジークバード伯爵、さらには王都から新しくやってきた使者であるディフリード男爵という面々だった。
というのも、前回の交渉の折に問題が生じたため、今回は事前に顔合わせだけでも済ませようという話だったからだ。
その先日の一件について、エルセリア王国側はアルフォンス男爵が勝手に仕出かしたことで、正式な使者はこのディフリード男爵であるという、責任逃れにしか思えない強弁を押し通そうとしてきている。
ただし、アルフォンス男爵がセレネ公国の王族であるフローラ姫に対して無礼を働いたことには違いないので、エルセリア王国からの正式な謝罪と、罪人としてアルフォンス男爵を処刑するので、それで怒りを収めてほしいとも言ってきているが。
そんなふうに蜥蜴の尻尾切りをしてまで見事に翻意したのは、ジークバード伯爵と中央の間に何かしらの協議が持たれた結果だというのは想像が付く。
アルフォンス男爵が狼藉を働こうとした際に、慌てたジークバード伯爵が裏で話し合いが持たれているようなことを漏らしていたからだ。
それに使者が王都からやってきたにしては、ポートラルゴに到着するのがあまりにも早過ぎる。だとするとアルフォンス男爵との一件が伝わる前に新たな使者を送ってきた可能性が高いだろう。
そして、エルパドールからの情報によれば現在中央の権力を掌握しているのは国王ではなく、ラグナヒルト宰相ではないかという話だ。
もしそうであるなら、あっさりと子飼いの貴族を切り捨ててしまう非情さや、そんな判断を軽々と下せるだけの権力をラグナヒルト宰相が有していることになる。だとすれば、ラグナヒルト宰相こそ要注意人物と見るべきだろう。
いずれにせよ、これ以上問題を大きくする気がない俺たちとしては、そこまでする必要がないとやんわり断っていたが。
「ストレイル卿、このジブという魚は本当に美味ですな。ポートラルゴではこんな旨い魚が食されているなんて、不肖ながら今の今までまるで知りませんでしたぞ」
「ディフリード卿。実を言えば私もつい先日知ったばかりで。こちらにおられるセレネ公国の方々から保存方法を教わるまでは、すぐに腐ってしまうため見向きもしなかった魚なのです。ポートラルゴといえばララミスの酢漬けのほうが有名でしてね」
「ほほう。ララミスの酢漬けですか。あれもなかなかどうして悪くありませんが、こちらのジブの刺し身とやらはまさしく絶品と言って良いかと」
緩い感じの会食形式の顔合わせだ。
表向きは正式な交渉の席ではなく、この屋敷の主であるストレイル男爵が一番の当事者であるジークバード伯爵と俺たちセレネ公国の要人、そして使者であるディフリード男爵を招いたという形。
そのストレイル男爵とディフリード男爵ふたりは終始なごやかな雰囲気で談笑していたが、ひとりジークバード伯爵だけはラウフローラやバルムンドの様子をうかがいながら、少しだけ気がかりそうな色をその顔に浮かべていた。
「それにしても食文化が栄えているようで羨ましいかぎりです、ディアルガー提督。こちらのワインという酒も喉越しがよく、肉料理とよく合いますな」
「ええ。食欲を増進したり、消化の手助けもするので、我が国では食前食後とよく飲まれている酒です。是非とも、今後エルセリア王国内で取り扱っていただければと」
「勿論、勿論。個人的な意見を申せば、セレネ公国との交易は大歓迎ですよ」
以前ストレイル男爵から話を聞いていたとおり、どうやらディフリード男爵はかなりの食道楽らしい。
そのことが今回の交渉にどれほど影響したかは謎だが、喜色満面に出された料理に舌鼓を打っているディフリード男爵の様子からすると、交易に関してはかなりの好感触であるように思えた。
「ということは、両国の国交樹立にもご賛同いただけるので?」
「そうですなあ。条約に関する細々とした試案書を拝見されてもらいましたが、おおかた問題はなかったかと。当然ながらこの話を持ち帰ったあと陛下の承認を得てという形にはなりますが、使者である私めも一定の権限を頂いておりますので、大筋についてはこのまま合意されると思っていただいて結構ですよ」
「おお。それはそれは……」
「ですが、ひとつだけ難しいかなと思う箇所がありましてな」
やはり、引っ掛かるか。
基本的にはエルセリア王国側に配慮したというか、エルセリア王国からしてみても問題などどこにも見当たらない提案のはず。
条件的にエルセリアのほうも充分に納得がいくものだろうし、交易に関してはエルセリアにとって得になる条件でしかない。
なんせ、この世界では採掘許可証など不必要で、人の住んでいない東大陸まで赴けば、貴重な鉱石や物資などが勝手に取り放題。
食料に関しては生産するための労働力や設備こそ必要なものの、広大に有り余っている土地を活用し、随時地球産やこちらの世界の作物を量産中だ。
そういうわけで、どんな安価で売ったとしても利益が出るのは間違いない。そもそもこちらはそこまで儲けようという気がないのだ。むしろ、エルセリアには良いカモと思ってもらって構わないほど。
とはいえ、変に疑われてしまったら元も子もない。ある程度エルセリアの市場価格に見合った値段設定にしているが。
「難しい箇所、ですか……。それは?」
「ええ。ここポートラルゴの北部にある数十キロ平方メートルほどの未開の土地を我がエルセリア王国から10年間、租借したいという部分ですね」
ディフリード男爵がそんなことを言い出すのも当然予測済みだ。
ジークバード伯爵やストレイル男爵ですらこの提案には難色を示したぐらい。
そもそも租借地というものは、強国が弱い国を恫喝して安い値段で借り受けるケースが多い。それに租借地といえど、借りた側の領土という扱いには違いないのだ。
いくら未開の土地とはいえ、そう易易と自国の領土を貸し与えられるわけがない。
そうはいっても戦勝国が奪い取った土地を、敗戦国に租借地として貸し出した例もあるぐらいだ。結局は利害が一致するかどうかが重要で、まったくあり得ない話でもない。
それにジークバード伯爵にとってみれば自身の領土をセレネ公国が勝手に開発してくれるわけで、将来的には利益の見込める取引でもある。
そういうわけでジークバード伯爵のほうは一応こちらの提案を呑んでくれたのだが、おそらく中央が認めないだろうとの話でもあった。
「なるほど。その件に関してご説明しますと、今後エルセリア王国と交易するにあたり、どうしても新しい港が必要でして。港町ポートラルゴは浅い入り江部分に面していますので我が国の大型船では直接港まで入港出来ないのですよ」
「ふむ。それ自体はわからなくもありませんが」
「ですので、租借地として借り受ける予定の土地をジークバード伯爵と共同開発し、新しい港にする計画です。内陸部にはセレネ公国用の倉庫や居住区域も必要ですので」
「そういうことですか。ですが、さすがに我が国の領土を租借するという話になると、そう簡単には許可できないかと。両国の間に長年友好的な関係が続いているという話ならまだしも……」
「試案書に書かれてある、治安維持以外の兵士を常駐させない、セレネ公国側に明確な条約違反があった場合には、エルセリア王国側はすぐにでも租借地を接収できるという条件下であってもでしょうか?」
「ええ。それでもです」
最初からこの条件だけはおそらく無理だろうと俺たちも諦めていた。
すんなりと話がまとまれば儲けものぐらいの感覚だ。
それでも敢えてこんな条件を盛り込んだのは、最終的に譲歩するふりをして別の条件をエルセリアに呑ませるためだ。
「姫様、いかがいたしましょうか?」
「どうやら租借地の件は諦めるしかなさそうですね。ですが、セレネ公国人の居住権と、居住区域内の領事裁判権だけは何としてでも認めていただかねばなりません」
「ええ。その辺が落とし所ですかね」
バルムンドがいかにも困ったという表情を見せ、ラウフローラに話しかける。
それに対しラウフローラは一定の譲歩を見せていたものの、どうしても譲れない部分があると言って憚らなかった。
「居住についてはここポートラルゴ周辺だけなら構いませんよ。その点はジークバード伯爵と話し合っていただければ。ですが、もうひとつの領事裁判権というのは初めて耳にしますね」
「当たり前の話ですが、セレネ公国とエルセリア王国では法律が少々異なります。領事裁判権というのは、エルセリア王国内においてもセレネ公国の法が優先される権利です。といっても、たった今話に上がったセレネ公国人用の居住区域内に限定した話になりますが。むろん罪人を匿うような目的のものではありませんし、重罪人に関してはエルセリア王国に引き渡すつもりですよ。早い話、両国のちょっとした行き違いをなくすための制度と思っていただければよろしいかと」
「なるほど。ようは治外法権みたいなものですか。うーむ。だが、そうなってくると私の一存だけでは」
「租借地という話に比べれば、こちらもだいぶ譲歩したつもりですが」
「まあ、それはそうかも知れませんが……」
食事もそこそこに、両国間による話し合いがすでに始まっていた。
むろん今回の会食の目的は本来そこであったが。
ただ、ジークバード伯爵だけは相変わらず難しい顔をして黙ったまま。時折、視線がラウフローラやバルムンドを通り過ぎ、ちらちらと俺のことを見ている気がしないでもない。
そんなことを言ってもこの俺もずっと黙ったままだったが。
そもそも100%こちらの要求が通らなくても構わない。
あとはバルムンドに任せておけば、上手いこと相手側の妥協点を見つけたり、譲歩を引きだしてくれるはずだ。
そんなことを考えていた俺はテーブル上に手を伸ばすと、我関せずとばかりにひとりワイングラスを傾け始めた。
◆
「イオス様。本当にこの場所が目的地なのですか?」
「ああ。そうだ」
「ですが、ここには廃墟が見えるだけで……」
「ラプラール殿にはそう見えているだろうが、結界の魔導具が働いて部外者には違う風景を見せているだけなのだよ」
「なるほど。それはまた何とも不思議な」
ゴルドンたちの離脱というトラブルこそあったものの、イオス率いる亜人の集団は病人や怪我人を運ぶという重労働をこなしながらも何とか目的地へとたどり着いていた。
だが、その場で亜人たちが目にしたものは、何十年も前に朽ち果ててしまったような廃墟と、荒れ放題の森林が廃墟の周りに広がっているという、どうみても荘園には見えない光景。
ここが目的地だというイオスの言葉に皆ポカンとしながら、キョロキョロと辺りを見回している様子だった。
「イオス様。それで我々はこのあとどうすれば? だいぶ霧も深くなってきた様子ですが」
「今夜はここで休む。さきほど特別な方法で相手側に連絡したので、明日の朝までには返事がくるはずだ。それまではゆっくりとここで休んでくれ」
「わかりました。聞いたか、皆。ここが目的地だそうだ。今夜はここで休むそうなので荷物を解き、その場に腰を落ち着けてくれ」
「それと遠くには行かないようにな。万が一、魔物が襲ってきたときに対処が難しくなる」
「は……はい。わか、り……ました」
「皆、さぞや疲れていることだとは思うが、ここまでよく頑張ってくれた。霧が深くなってきているが、これは結界によるものだ。心配せずにそのまま眠ってくれ」
そんなイオスの言葉が最後まで聞こえていたかどうか。
直前までイオスと会話していたラプラールやマルカの身体がゆっくりとその場に崩れ落ちていく。
そして霧が濃くなっていく様子と重なるように、ひとり、またひとりと地面に倒れ込んでいく亜人たち。
そんな異変に気付く間もなく、イオス以外のすべての亜人が深い深い眠りに落ちていく姿がその場には見受けられた。
「なんだと? もういっぺん言ってみろ!」
夜が明けて間もない、いまだ肌寒さが残る朝方。
イオスに向かってゴルドンが放ったひと言に、そのときたまたまそばに居た小角鬼族のラオが怒りを露にしていた。
「だからよお。俺たちはあんたらと別れて、違う場所に行くことにしたって言ったんだわ。そもそもジェネットの町を追い出されちまったんで、ここまで付いてきただけだ。こちとら、そっちの怪しげな冒険者のことを信じたわけじゃねえからな」
「貴様、イオス様に向かって何たる言い草っ!」
そんな言葉を聞き、今にもゴルドンへと飛びかかり胸ぐらを掴みそうになるラオ。
周りで旅の身支度をしていた亜人たちの視線も、いったい何事が起きたのだろうかとそちらのほうに集まり始めていた。
だが、すぐにイオスの手が伸びてきて、ラオの行動を制止する。
「やめておけ、ラオ」
「ぐっ……。で、ですが、イオス様」
「ゴルドンたちがそうすると決めたのなら好きにさせてやれ。最初から言っているが、無理強いする気はない。お前たちはこの先、農奴という立場に置かれるのだ。そうなってしまえば、自ら辞めることができなくなるのだからな」
「それは元より承知のうえ……」
「ラオ。ラプラール殿からも口を酸っぱくするほど言われているはずだ。お前の欠点はすぐにカッとなるところだとな。お前にはラプラール殿の跡をついで亜人たちをまとめ上げる立場になってもらうつもりでいる。だが、その性格を直さなければ俺としても安心して任せられんのだ」
「は、はい。も、申し訳ありません」
農奴というのは領主や荘園主が有する土地を借りて働く農民のことだ。
奴隷とは違い、家庭を持つことだってできるし、財産も所有出来る。ただし、小作人のように自らの意思で主人を変えたり、勝手にほかの土地に移ることができない。
基本的には一生与えられた土地を耕して暮らさなければならず、エルセリアやマガルムークにおいてもそれが当たり前のこととして受け止められていた。
「ふんっ。おめえらももう一度よく考えてみたほうがいいぞ。本当にこいつに付いていって大丈夫なのか」
「そうだ、そうだ。重い税を取られてギリギリ生き永らえるぐらいなら、ゴルドンの兄貴に付いていったほうがよっぽどマシってなもんよ」
ゴルドンの背後に隠れていたジータの口からも追随する声が上がる。
「それにな、俺は戦場で一旗上げるつもりだ。そこで戦功を上げりゃあ、従士に取り立ててもらえるかも知れねえからな」
「ゴルドン……。まさかとは思うが此度の戦争に参加するつもりか?」
「あ? 何か文句でもあんのか?」
「いや。マグルムークの行く末がかかった戦争だ。自分たちの力で何とかしようという気持ちもわからなくはない。ただまあ、あまり無茶な真似はしないほうがいいと思ってな」
「けっ。余計なお世話だってえの。何でもマクシミリアン侯爵は俺たち亜人の味方だっていう話じゃねえかよ。だから俺たちの力でマクシミリアン侯爵を戦争に勝たせてやんのよ。そうなりゃこの先亜人の立場も変わるってもんだろ?」
「そう上手くいけばいいが。後ろに居る者も皆、同じ意見ということか?」
「ああ、そういうこった。まあ、まだ戦争に参加するかどうかは悩んでいる連中も居るみたいだがな。別に俺だって無理やり戦争に参加させるつもりはねえ。本人がどうしても嫌だっていうのなら、そのときにはまた考えればいいだけの話よ」
今更になって戦争に参加するつもりだというゴルドンのことを、ラオのみならずほとんどの者が白い目で見ていた。そうでなくても、この場に居るのは戦争には行くのが嫌で避難してきた者たちばかりだ。ゴルドンの言葉に賛同する亜人が現れないのも当然のことだろう。
だが、40名ほどの亜人がゴルドンの後方には立ち並んでいる。
その者たちは本当に戦争に参加するかどうかはともかくとして、どうやらゴルドンに付いていくことに決めたようで、それなりの数の亜人がイオスの元を離れようとしていた。
「そうか。結局はお前たち自身が判断することだ。それに今ここで俺が止めても無駄だろう。ただ、そうなると俺たちとは袂をわかつことになるが?」
「最初からそう言ってるだろ。残念だったな。あんたの計画どおりにならなくてよ」
「計画とは?」
「俺たちのことを農奴にして、いいように扱き使うつもりだったんだろ? わかってんだぜ、この俺様はなあ」
「何を馬鹿なことを。まあ良い。もう一度言っておくが、この先どうするかはあくまで自分たちで決めるべきことだ。もしこの場にゴルドンと行動を共にしたほうがよさそうだと考え直した者が居るのなら、一緒に付いていっても構わないからな」
そんなイオスの言葉に皆が顔を見合わせる。
だが、しばらく待っても誰も腰を上げようとすらしなかった。
「ちっ。臆病者どもが」
その様子を見たゴルドンが捨て台詞を吐きながら、顔をいらいらしげに歪ませる。
「ラオ。今、聞いたとおりだ。こいつらの分の食料を渡してやれ」
「え? よろしいので? この連中は魔物狩りでも働きが悪かった者ばかりですよ。平等に分前を与えるのさえどうかと思うほどの。それに今は少しでも食料の備蓄が必要なときなのでは?」
「構わん。どうせ明後日辺りには目的の場所にたどり付くはずだ。それまでの食料さえあれば問題ないからな。そのあとは俺が責任を持って、食料を調達してくるつもりだ」
「そうですか。まあ、良い厄介払いが出来たと思えば。お前ら、よかったな。イオス様が慈悲深いお方で」
そう言ってラオがゴルドンたちを伴い、食料をひとまとめにして置いてある場所へと連れていく。
その集団の中には父親の判断に付き従っていると思わしき母親や子供の姿も見えた。
その場に残った亜人たちの顔には、その者たちの行く末を案じるような表情が一様に浮かんでいた。
◇
港町ポートラルゴの端から端までを見渡せる丘。
海から少しだけ離れた、小高く隆起しているその土地にストレイル男爵の屋敷は建てられていた。
現在、その屋敷に招かれているのは俺とラウフローラ、それにバルムンドの3名。といっても、俺はあくまでフローラ姫の護衛役としての同席だったが。
ただ、何故かその俺まで一緒にテーブル席に座って、食事に付き合わされている最中。
テーブルを挟んで俺たちの向かい側の席に座っていたのは、この屋敷の主人であるストレイル男爵と領主であるジークバード伯爵、さらには王都から新しくやってきた使者であるディフリード男爵という面々だった。
というのも、前回の交渉の折に問題が生じたため、今回は事前に顔合わせだけでも済ませようという話だったからだ。
その先日の一件について、エルセリア王国側はアルフォンス男爵が勝手に仕出かしたことで、正式な使者はこのディフリード男爵であるという、責任逃れにしか思えない強弁を押し通そうとしてきている。
ただし、アルフォンス男爵がセレネ公国の王族であるフローラ姫に対して無礼を働いたことには違いないので、エルセリア王国からの正式な謝罪と、罪人としてアルフォンス男爵を処刑するので、それで怒りを収めてほしいとも言ってきているが。
そんなふうに蜥蜴の尻尾切りをしてまで見事に翻意したのは、ジークバード伯爵と中央の間に何かしらの協議が持たれた結果だというのは想像が付く。
アルフォンス男爵が狼藉を働こうとした際に、慌てたジークバード伯爵が裏で話し合いが持たれているようなことを漏らしていたからだ。
それに使者が王都からやってきたにしては、ポートラルゴに到着するのがあまりにも早過ぎる。だとするとアルフォンス男爵との一件が伝わる前に新たな使者を送ってきた可能性が高いだろう。
そして、エルパドールからの情報によれば現在中央の権力を掌握しているのは国王ではなく、ラグナヒルト宰相ではないかという話だ。
もしそうであるなら、あっさりと子飼いの貴族を切り捨ててしまう非情さや、そんな判断を軽々と下せるだけの権力をラグナヒルト宰相が有していることになる。だとすれば、ラグナヒルト宰相こそ要注意人物と見るべきだろう。
いずれにせよ、これ以上問題を大きくする気がない俺たちとしては、そこまでする必要がないとやんわり断っていたが。
「ストレイル卿、このジブという魚は本当に美味ですな。ポートラルゴではこんな旨い魚が食されているなんて、不肖ながら今の今までまるで知りませんでしたぞ」
「ディフリード卿。実を言えば私もつい先日知ったばかりで。こちらにおられるセレネ公国の方々から保存方法を教わるまでは、すぐに腐ってしまうため見向きもしなかった魚なのです。ポートラルゴといえばララミスの酢漬けのほうが有名でしてね」
「ほほう。ララミスの酢漬けですか。あれもなかなかどうして悪くありませんが、こちらのジブの刺し身とやらはまさしく絶品と言って良いかと」
緩い感じの会食形式の顔合わせだ。
表向きは正式な交渉の席ではなく、この屋敷の主であるストレイル男爵が一番の当事者であるジークバード伯爵と俺たちセレネ公国の要人、そして使者であるディフリード男爵を招いたという形。
そのストレイル男爵とディフリード男爵ふたりは終始なごやかな雰囲気で談笑していたが、ひとりジークバード伯爵だけはラウフローラやバルムンドの様子をうかがいながら、少しだけ気がかりそうな色をその顔に浮かべていた。
「それにしても食文化が栄えているようで羨ましいかぎりです、ディアルガー提督。こちらのワインという酒も喉越しがよく、肉料理とよく合いますな」
「ええ。食欲を増進したり、消化の手助けもするので、我が国では食前食後とよく飲まれている酒です。是非とも、今後エルセリア王国内で取り扱っていただければと」
「勿論、勿論。個人的な意見を申せば、セレネ公国との交易は大歓迎ですよ」
以前ストレイル男爵から話を聞いていたとおり、どうやらディフリード男爵はかなりの食道楽らしい。
そのことが今回の交渉にどれほど影響したかは謎だが、喜色満面に出された料理に舌鼓を打っているディフリード男爵の様子からすると、交易に関してはかなりの好感触であるように思えた。
「ということは、両国の国交樹立にもご賛同いただけるので?」
「そうですなあ。条約に関する細々とした試案書を拝見されてもらいましたが、おおかた問題はなかったかと。当然ながらこの話を持ち帰ったあと陛下の承認を得てという形にはなりますが、使者である私めも一定の権限を頂いておりますので、大筋についてはこのまま合意されると思っていただいて結構ですよ」
「おお。それはそれは……」
「ですが、ひとつだけ難しいかなと思う箇所がありましてな」
やはり、引っ掛かるか。
基本的にはエルセリア王国側に配慮したというか、エルセリア王国からしてみても問題などどこにも見当たらない提案のはず。
条件的にエルセリアのほうも充分に納得がいくものだろうし、交易に関してはエルセリアにとって得になる条件でしかない。
なんせ、この世界では採掘許可証など不必要で、人の住んでいない東大陸まで赴けば、貴重な鉱石や物資などが勝手に取り放題。
食料に関しては生産するための労働力や設備こそ必要なものの、広大に有り余っている土地を活用し、随時地球産やこちらの世界の作物を量産中だ。
そういうわけで、どんな安価で売ったとしても利益が出るのは間違いない。そもそもこちらはそこまで儲けようという気がないのだ。むしろ、エルセリアには良いカモと思ってもらって構わないほど。
とはいえ、変に疑われてしまったら元も子もない。ある程度エルセリアの市場価格に見合った値段設定にしているが。
「難しい箇所、ですか……。それは?」
「ええ。ここポートラルゴの北部にある数十キロ平方メートルほどの未開の土地を我がエルセリア王国から10年間、租借したいという部分ですね」
ディフリード男爵がそんなことを言い出すのも当然予測済みだ。
ジークバード伯爵やストレイル男爵ですらこの提案には難色を示したぐらい。
そもそも租借地というものは、強国が弱い国を恫喝して安い値段で借り受けるケースが多い。それに租借地といえど、借りた側の領土という扱いには違いないのだ。
いくら未開の土地とはいえ、そう易易と自国の領土を貸し与えられるわけがない。
そうはいっても戦勝国が奪い取った土地を、敗戦国に租借地として貸し出した例もあるぐらいだ。結局は利害が一致するかどうかが重要で、まったくあり得ない話でもない。
それにジークバード伯爵にとってみれば自身の領土をセレネ公国が勝手に開発してくれるわけで、将来的には利益の見込める取引でもある。
そういうわけでジークバード伯爵のほうは一応こちらの提案を呑んでくれたのだが、おそらく中央が認めないだろうとの話でもあった。
「なるほど。その件に関してご説明しますと、今後エルセリア王国と交易するにあたり、どうしても新しい港が必要でして。港町ポートラルゴは浅い入り江部分に面していますので我が国の大型船では直接港まで入港出来ないのですよ」
「ふむ。それ自体はわからなくもありませんが」
「ですので、租借地として借り受ける予定の土地をジークバード伯爵と共同開発し、新しい港にする計画です。内陸部にはセレネ公国用の倉庫や居住区域も必要ですので」
「そういうことですか。ですが、さすがに我が国の領土を租借するという話になると、そう簡単には許可できないかと。両国の間に長年友好的な関係が続いているという話ならまだしも……」
「試案書に書かれてある、治安維持以外の兵士を常駐させない、セレネ公国側に明確な条約違反があった場合には、エルセリア王国側はすぐにでも租借地を接収できるという条件下であってもでしょうか?」
「ええ。それでもです」
最初からこの条件だけはおそらく無理だろうと俺たちも諦めていた。
すんなりと話がまとまれば儲けものぐらいの感覚だ。
それでも敢えてこんな条件を盛り込んだのは、最終的に譲歩するふりをして別の条件をエルセリアに呑ませるためだ。
「姫様、いかがいたしましょうか?」
「どうやら租借地の件は諦めるしかなさそうですね。ですが、セレネ公国人の居住権と、居住区域内の領事裁判権だけは何としてでも認めていただかねばなりません」
「ええ。その辺が落とし所ですかね」
バルムンドがいかにも困ったという表情を見せ、ラウフローラに話しかける。
それに対しラウフローラは一定の譲歩を見せていたものの、どうしても譲れない部分があると言って憚らなかった。
「居住についてはここポートラルゴ周辺だけなら構いませんよ。その点はジークバード伯爵と話し合っていただければ。ですが、もうひとつの領事裁判権というのは初めて耳にしますね」
「当たり前の話ですが、セレネ公国とエルセリア王国では法律が少々異なります。領事裁判権というのは、エルセリア王国内においてもセレネ公国の法が優先される権利です。といっても、たった今話に上がったセレネ公国人用の居住区域内に限定した話になりますが。むろん罪人を匿うような目的のものではありませんし、重罪人に関してはエルセリア王国に引き渡すつもりですよ。早い話、両国のちょっとした行き違いをなくすための制度と思っていただければよろしいかと」
「なるほど。ようは治外法権みたいなものですか。うーむ。だが、そうなってくると私の一存だけでは」
「租借地という話に比べれば、こちらもだいぶ譲歩したつもりですが」
「まあ、それはそうかも知れませんが……」
食事もそこそこに、両国間による話し合いがすでに始まっていた。
むろん今回の会食の目的は本来そこであったが。
ただ、ジークバード伯爵だけは相変わらず難しい顔をして黙ったまま。時折、視線がラウフローラやバルムンドを通り過ぎ、ちらちらと俺のことを見ている気がしないでもない。
そんなことを言ってもこの俺もずっと黙ったままだったが。
そもそも100%こちらの要求が通らなくても構わない。
あとはバルムンドに任せておけば、上手いこと相手側の妥協点を見つけたり、譲歩を引きだしてくれるはずだ。
そんなことを考えていた俺はテーブル上に手を伸ばすと、我関せずとばかりにひとりワイングラスを傾け始めた。
◆
「イオス様。本当にこの場所が目的地なのですか?」
「ああ。そうだ」
「ですが、ここには廃墟が見えるだけで……」
「ラプラール殿にはそう見えているだろうが、結界の魔導具が働いて部外者には違う風景を見せているだけなのだよ」
「なるほど。それはまた何とも不思議な」
ゴルドンたちの離脱というトラブルこそあったものの、イオス率いる亜人の集団は病人や怪我人を運ぶという重労働をこなしながらも何とか目的地へとたどり着いていた。
だが、その場で亜人たちが目にしたものは、何十年も前に朽ち果ててしまったような廃墟と、荒れ放題の森林が廃墟の周りに広がっているという、どうみても荘園には見えない光景。
ここが目的地だというイオスの言葉に皆ポカンとしながら、キョロキョロと辺りを見回している様子だった。
「イオス様。それで我々はこのあとどうすれば? だいぶ霧も深くなってきた様子ですが」
「今夜はここで休む。さきほど特別な方法で相手側に連絡したので、明日の朝までには返事がくるはずだ。それまではゆっくりとここで休んでくれ」
「わかりました。聞いたか、皆。ここが目的地だそうだ。今夜はここで休むそうなので荷物を解き、その場に腰を落ち着けてくれ」
「それと遠くには行かないようにな。万が一、魔物が襲ってきたときに対処が難しくなる」
「は……はい。わか、り……ました」
「皆、さぞや疲れていることだとは思うが、ここまでよく頑張ってくれた。霧が深くなってきているが、これは結界によるものだ。心配せずにそのまま眠ってくれ」
そんなイオスの言葉が最後まで聞こえていたかどうか。
直前までイオスと会話していたラプラールやマルカの身体がゆっくりとその場に崩れ落ちていく。
そして霧が濃くなっていく様子と重なるように、ひとり、またひとりと地面に倒れ込んでいく亜人たち。
そんな異変に気付く間もなく、イオス以外のすべての亜人が深い深い眠りに落ちていく姿がその場には見受けられた。
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