25 / 36
第二十四話 翼竜の幼体
しおりを挟む
向日葵が乗っていたママチャリが、道路脇にひっそりと停車した。
籠の中に入れていたバッグを取り出し、向日葵は周囲を注意深く見渡しながら雑木林の中に足を踏み入れる。
すでに日が落ち始めていたので、辺りは寒気がするほど薄暗い。
雑木林の中に入れば一層その暗闇の恐怖を肌で感じる。
それでも向日葵は臆することなく足を進めていく。
すでに何度も足を運んでいたので道に迷うことはなかった。
それでも向日葵はバッグの中から懐中電灯を取り出し、木の根に足を掬われないように足元を照らす。
数分も経たずに向日葵は目的の場所に到着した。
懐中電灯の細い光を照らすと、一本の樹木の枝に水色のハンカチが結ばれていた。
光を下に落としていく。
照らした樹木の根元には、小さなダンボール箱がひっそりと置かれていた。
「ミント」
目印をつけていた樹木に近づいた向日葵は、ダンボール箱の中身を見下ろしながら声をかけた。
ダンボール箱の中には一匹の動物がいた。だが、子犬でも子猫でもない。
翼竜である。
岩のように硬い外皮には何十もの包帯が巻かれ、暖かなモーフの上で身体を海老のように丸めていた。
「キ、キキキ」
全長15センチほどの小柄な翼竜は、向日葵の顔を見るなり鳴いた。
それは威嚇の鳴き声でもなく、悲哀の鳴き声でもない、甘えるような優しい鳴き声。
向日葵はミントと名付けた翼竜の頭を撫でる。
「お前は凄いね。もう怪我は大丈夫なの?」
ミントは表情を緩ませて微笑んだ。
するとやはり翼竜である。
口元から覗いた歯は鋭利な爪のように尖っており、人間の皮膚など簡単に噛み破れる強靭さがひしひしと感じられた。
「キキキ……キキ」
それでも翼竜は向日葵を傷つける様子は微塵もなかった。
ただ、何かを催促するように鳴き続ける。
「あっ、ごめんね。気がつかなくて」
向日葵は足元に置いていたバッグの中に手を入れた。
そして中からビニール袋に包まれた鳥の唐揚げを取り出す。
「はい、どうぞ」
ダンボール箱の中に入れておいたプラスチックの容器に唐揚げを入れると、ミントは待ちかねていたのか猛然とした勢いでかぶりついた。
頬張った唐揚げを丁寧に租借し、ごくりと胃袋の中に収めていく。
その仕草は凶暴な翼竜とはとても思えなかった。
言えば、野よ犬よりもよっぽど上品に食べる。
美味しそうに唐揚げを食べているミントを見つめながら、向日葵はくすっと笑った。
こんな子が将来は人間を食べるようになるのだろうか。
向日葵はふといたたまれない気持ちに駆られた。
実習の時間で何度も観せられた翼竜の映像。
それは背中に翼を生やした巨大な竜が空を飛び回り、逃げ惑う人間たちを捕食していく残酷な映像だった。
ホラー映画など足元にも及ばないそのリアルな迫力に、観ていた生徒たちは吐き気を覚えたほどだ。
けれども、医療に携わる人間はそんな弱気になることは許されない。
人間は目的が違うだけで『残酷』の感じ方が異なる生物である。
たとえば医者が患者をメスで切り刻もうと、それは病気や怪我を治すために仕方のない行為であり、患者側からすれば残酷どころか頭を下げて願う行為だ。
そして医療に携わる人間は、同じ人間のために残酷な行為を実行する精神力が要求される。
しかし翼竜は違う。
自然界が弱肉強食なのは周知の事実であるが、知恵や理性を持った人間がいまさら自然界の掟に従える訳はない。
だから抗うのである。
抗って抗って人類の天敵となった翼竜を滅ぼそうと、十数年前までは世界中で頻繁に戦争が起っていた。
でも、と向日葵は思う。
「子どもに罪はないものね」
ミントを見ながら向日葵はぼそりと呟く。
その声に反応してミントが顔を上げるが、向日葵は首を振って食事の続きを促した。
ミントは向日葵の言葉を理解したのか、再び唐揚げを食べ始める。
そうだ。子どもには罪はない。それは向日葵が感じた率直な意見だった。
人間だろうと肉食獣だろうと、子どもの頃は純粋で無垢な存在である。
その中で人間は成長するに従い、理性のタガが外れて犯罪を起こす者も確かにいる。
だが、それは誰にでも当てはまり誰にでも当てはまらない。
一方、肉食獣などはすべて本能の元に行動する。
自分が生きるために他者を捕食する。
それは人間から見れば残酷かもしれないが、肉食獣たちにとっては至極当たり前の本能なのである。
向日葵はミントの頭を優しく撫で続けた。
ミントは嫌がる素振り見せず、成すがままにされている。
どうやら翼竜も頭を撫でられると喜ぶようだ。
「怪我が治るまで私が面倒見てあげるね」
マラソンの途中に偶然見つけてしまった翼竜の幼体。
おそらく、入学式前日から島を襲った豪雨によって運ばれてきたのだろう。
そのせいか、見つけたときには全身血だらけで衰弱していた。
無数の裂傷や打撲が目立ち、よく流れ着いた海岸からこの場所まで移動できたと感心したほどである。
やはり翼竜は生命力にも優れている。
ミントが将来第何種の翼竜に生長するかは分からないが、このまま成長すればいずれは人間を襲うようになるだろう。
だからこそ今だけ。
怪我が完治するまで面倒を見る。
その後は誰にも見つからないように海岸からそっと海に流そう。
幼体とはいえミントは翼竜である。
怪我が完全に完治すれば、背中に生えている翼を駆使してどこにでも飛んで行けるだろう。
気がつくと、ミントは与えた唐揚げをすべて食べ尽くしていた。
食欲も順調に戻ってきている。
よい兆候だ。
これならば後一週間ほど面倒を見れば怪我は完治するかもしれない。
次に向日葵はバッグの中から紙パックの牛乳を取り出した。
蓋を開け、空になった容器の中に牛乳を満たしていく。
この牛乳をミントが飲んだら寮に帰ろう。
すでに日は完全に落ちて上空は漆黒に包まれていた。
雑木林の中も同様、数メートル先も満足に視認できないほどの濃い闇がどこまでも広がっている。
懐中電灯で照らしてはいるが、向日葵の背筋に冷気が這う。
もし目の前にミントがいなかったら、絶対にこの雑木林には足を踏み入れなかっただろう。
「ミント……そろそろ私は戻るね」
向日葵は立ち上がり、牛乳を飲んでいるミントに別れを告げた。
「キキ、キキキ」
声だけ聞けば猿の鳴き声に近いかもしれない。
何度かここに足を運んでいるうちに、向日葵は鳴き声のアクセントでミントの心情を何となく読み取れるようになっていた。
もちろん、何の根拠もないただの憶測である。
それでも向日葵は思った。
ミントは寂しがっている。
甘えるような鳴き声と潤んだ瞳からそれが痛いくらいに感じ取れた。
「また明日来るからね」
名残惜しそうに向日葵は頭を撫でた。
まさにそのとき、
向日葵は振り返り、ミントを照らしていた懐中電灯の光を薄暗い闇の中に向けた。
「だ、誰?」
掠れるような声で向日葵は、光を照らした方角に向かって問いかける。
確かに向日葵には聞こえた。
後方でガサッと草木を踏みしめる人間の靴音を。
「誰ですか?」
一度目よりもやや高いトーンで向日葵は誰何する。
すると、光を照らした闇の奥から徐々に近づいてくる人影があった。
「あ……」
向日葵は見た。
懐中電灯の光が照らした人影は、白色のジャージを着た少年。
白樺天馬だった。
籠の中に入れていたバッグを取り出し、向日葵は周囲を注意深く見渡しながら雑木林の中に足を踏み入れる。
すでに日が落ち始めていたので、辺りは寒気がするほど薄暗い。
雑木林の中に入れば一層その暗闇の恐怖を肌で感じる。
それでも向日葵は臆することなく足を進めていく。
すでに何度も足を運んでいたので道に迷うことはなかった。
それでも向日葵はバッグの中から懐中電灯を取り出し、木の根に足を掬われないように足元を照らす。
数分も経たずに向日葵は目的の場所に到着した。
懐中電灯の細い光を照らすと、一本の樹木の枝に水色のハンカチが結ばれていた。
光を下に落としていく。
照らした樹木の根元には、小さなダンボール箱がひっそりと置かれていた。
「ミント」
目印をつけていた樹木に近づいた向日葵は、ダンボール箱の中身を見下ろしながら声をかけた。
ダンボール箱の中には一匹の動物がいた。だが、子犬でも子猫でもない。
翼竜である。
岩のように硬い外皮には何十もの包帯が巻かれ、暖かなモーフの上で身体を海老のように丸めていた。
「キ、キキキ」
全長15センチほどの小柄な翼竜は、向日葵の顔を見るなり鳴いた。
それは威嚇の鳴き声でもなく、悲哀の鳴き声でもない、甘えるような優しい鳴き声。
向日葵はミントと名付けた翼竜の頭を撫でる。
「お前は凄いね。もう怪我は大丈夫なの?」
ミントは表情を緩ませて微笑んだ。
するとやはり翼竜である。
口元から覗いた歯は鋭利な爪のように尖っており、人間の皮膚など簡単に噛み破れる強靭さがひしひしと感じられた。
「キキキ……キキ」
それでも翼竜は向日葵を傷つける様子は微塵もなかった。
ただ、何かを催促するように鳴き続ける。
「あっ、ごめんね。気がつかなくて」
向日葵は足元に置いていたバッグの中に手を入れた。
そして中からビニール袋に包まれた鳥の唐揚げを取り出す。
「はい、どうぞ」
ダンボール箱の中に入れておいたプラスチックの容器に唐揚げを入れると、ミントは待ちかねていたのか猛然とした勢いでかぶりついた。
頬張った唐揚げを丁寧に租借し、ごくりと胃袋の中に収めていく。
その仕草は凶暴な翼竜とはとても思えなかった。
言えば、野よ犬よりもよっぽど上品に食べる。
美味しそうに唐揚げを食べているミントを見つめながら、向日葵はくすっと笑った。
こんな子が将来は人間を食べるようになるのだろうか。
向日葵はふといたたまれない気持ちに駆られた。
実習の時間で何度も観せられた翼竜の映像。
それは背中に翼を生やした巨大な竜が空を飛び回り、逃げ惑う人間たちを捕食していく残酷な映像だった。
ホラー映画など足元にも及ばないそのリアルな迫力に、観ていた生徒たちは吐き気を覚えたほどだ。
けれども、医療に携わる人間はそんな弱気になることは許されない。
人間は目的が違うだけで『残酷』の感じ方が異なる生物である。
たとえば医者が患者をメスで切り刻もうと、それは病気や怪我を治すために仕方のない行為であり、患者側からすれば残酷どころか頭を下げて願う行為だ。
そして医療に携わる人間は、同じ人間のために残酷な行為を実行する精神力が要求される。
しかし翼竜は違う。
自然界が弱肉強食なのは周知の事実であるが、知恵や理性を持った人間がいまさら自然界の掟に従える訳はない。
だから抗うのである。
抗って抗って人類の天敵となった翼竜を滅ぼそうと、十数年前までは世界中で頻繁に戦争が起っていた。
でも、と向日葵は思う。
「子どもに罪はないものね」
ミントを見ながら向日葵はぼそりと呟く。
その声に反応してミントが顔を上げるが、向日葵は首を振って食事の続きを促した。
ミントは向日葵の言葉を理解したのか、再び唐揚げを食べ始める。
そうだ。子どもには罪はない。それは向日葵が感じた率直な意見だった。
人間だろうと肉食獣だろうと、子どもの頃は純粋で無垢な存在である。
その中で人間は成長するに従い、理性のタガが外れて犯罪を起こす者も確かにいる。
だが、それは誰にでも当てはまり誰にでも当てはまらない。
一方、肉食獣などはすべて本能の元に行動する。
自分が生きるために他者を捕食する。
それは人間から見れば残酷かもしれないが、肉食獣たちにとっては至極当たり前の本能なのである。
向日葵はミントの頭を優しく撫で続けた。
ミントは嫌がる素振り見せず、成すがままにされている。
どうやら翼竜も頭を撫でられると喜ぶようだ。
「怪我が治るまで私が面倒見てあげるね」
マラソンの途中に偶然見つけてしまった翼竜の幼体。
おそらく、入学式前日から島を襲った豪雨によって運ばれてきたのだろう。
そのせいか、見つけたときには全身血だらけで衰弱していた。
無数の裂傷や打撲が目立ち、よく流れ着いた海岸からこの場所まで移動できたと感心したほどである。
やはり翼竜は生命力にも優れている。
ミントが将来第何種の翼竜に生長するかは分からないが、このまま成長すればいずれは人間を襲うようになるだろう。
だからこそ今だけ。
怪我が完治するまで面倒を見る。
その後は誰にも見つからないように海岸からそっと海に流そう。
幼体とはいえミントは翼竜である。
怪我が完全に完治すれば、背中に生えている翼を駆使してどこにでも飛んで行けるだろう。
気がつくと、ミントは与えた唐揚げをすべて食べ尽くしていた。
食欲も順調に戻ってきている。
よい兆候だ。
これならば後一週間ほど面倒を見れば怪我は完治するかもしれない。
次に向日葵はバッグの中から紙パックの牛乳を取り出した。
蓋を開け、空になった容器の中に牛乳を満たしていく。
この牛乳をミントが飲んだら寮に帰ろう。
すでに日は完全に落ちて上空は漆黒に包まれていた。
雑木林の中も同様、数メートル先も満足に視認できないほどの濃い闇がどこまでも広がっている。
懐中電灯で照らしてはいるが、向日葵の背筋に冷気が這う。
もし目の前にミントがいなかったら、絶対にこの雑木林には足を踏み入れなかっただろう。
「ミント……そろそろ私は戻るね」
向日葵は立ち上がり、牛乳を飲んでいるミントに別れを告げた。
「キキ、キキキ」
声だけ聞けば猿の鳴き声に近いかもしれない。
何度かここに足を運んでいるうちに、向日葵は鳴き声のアクセントでミントの心情を何となく読み取れるようになっていた。
もちろん、何の根拠もないただの憶測である。
それでも向日葵は思った。
ミントは寂しがっている。
甘えるような鳴き声と潤んだ瞳からそれが痛いくらいに感じ取れた。
「また明日来るからね」
名残惜しそうに向日葵は頭を撫でた。
まさにそのとき、
向日葵は振り返り、ミントを照らしていた懐中電灯の光を薄暗い闇の中に向けた。
「だ、誰?」
掠れるような声で向日葵は、光を照らした方角に向かって問いかける。
確かに向日葵には聞こえた。
後方でガサッと草木を踏みしめる人間の靴音を。
「誰ですか?」
一度目よりもやや高いトーンで向日葵は誰何する。
すると、光を照らした闇の奥から徐々に近づいてくる人影があった。
「あ……」
向日葵は見た。
懐中電灯の光が照らした人影は、白色のジャージを着た少年。
白樺天馬だった。
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
転生少女は大戦の空を飛ぶ
モラーヌソルニエ
ファンタジー
薄っぺらいニワカ戦闘機オタク(歴史的知識なし)が大戦の狭間に転生すると何が起きるでしょう。これは現代日本から第二次世界大戦前の北欧に転生した少女の空戦史である。カクヨムでも掲載しています。
―異質― 邂逅の編/日本国の〝隊〟、その異世界を巡る叙事詩――《第一部完結》
EPIC
SF
日本国の混成1個中隊、そして超常的存在。異世界へ――
とある別の歴史を歩んだ世界。
その世界の日本には、日本軍とも自衛隊とも似て非なる、〝日本国隊〟という名の有事組織が存在した。
第二次世界大戦以降も幾度もの戦いを潜り抜けて来た〝日本国隊〟は、異質な未知の世界を新たな戦いの場とする事になる――
日本国陸隊の有事官、――〝制刻 自由(ぜいこく じゆう)〟。
歪で醜く禍々しい容姿と、常識外れの身体能力、そしてスタンスを持つ、隊員として非常に異質な存在である彼。
そんな隊員である制刻は、陸隊の行う大規模な演習に参加中であったが、その最中に取った一時的な休眠の途中で、不可解な空間へと導かれる。そして、そこで会った作業服と白衣姿の謎の人物からこう告げられた。
「異なる世界から我々の世界に、殴り込みを掛けようとしている奴らがいる。先手を打ちその世界に踏み込み、この企みを潰せ」――と。
そして再び目を覚ました時、制刻は――そして制刻の所属する普通科小隊を始めとする、各職種混成の約一個中隊は。剣と魔法が力の象徴とされ、モンスターが跋扈する未知の世界へと降り立っていた――。
制刻を始めとする異質な隊員等。
そして問題部隊、〝第54普通科連隊〟を始めとする各部隊。
元居た世界の常識が通用しないその異世界を、それを越える常識外れな存在が、掻き乱し始める。
〇案内と注意
1) このお話には、オリジナル及び架空設定を多数含みます。
2) 部隊規模(始めは中隊規模)での転移物となります。
3) チャプター3くらいまでは単一事件をいくつか描き、チャプター4くらいから単一事件を混ぜつつ、一つの大筋にだんだん乗っていく流れになっています。
4) 主人公を始めとする一部隊員キャラクターが、超常的な行動を取ります。ぶっ飛んでます。かなりなんでも有りです。
5) 小説家になろう、カクヨムにてすでに投稿済のものになりますが、そちらより一話当たり分量を多くして話数を減らす整理のし直しを行っています。
織田信長IF… 天下統一再び!!
華瑠羅
歴史・時代
日本の歴史上最も有名な『本能寺の変』の当日から物語は足早に流れて行く展開です。
この作品は「もし」という概念で物語が進行していきます。
主人公【織田信長】が死んで、若返って蘇り再び活躍するという作品です。
※この物語はフィクションです。
猿の内政官 ~天下統一のお助けのお助け~
橋本洋一
歴史・時代
この世が乱れ、国同士が戦う、戦国乱世。
記憶を失くした優しいだけの少年、雲之介(くものすけ)と元今川家の陪々臣(ばいばいしん)で浪人の木下藤吉郎が出会い、二人は尾張の大うつけ、織田信長の元へと足を運ぶ。織田家に仕官した雲之介はやがて内政の才を発揮し、二人の主君にとって無くてはならぬ存在へとなる。
これは、優しさを武器に二人の主君を天下人へと導いた少年の物語
※架空戦記です。史実で死ぬはずの人物が生存したり、歴史が早く進む可能性があります
歴史改変戦記 「信長、中国を攻めるってよ」
高木一優
SF
タイムマシンによる時間航行が実現した近未来、大国の首脳陣は自国に都合の良い歴史を作り出すことに熱中し始めた。歴史学者である私の書いた論文は韓国や中国で叩かれ、反日デモが起る。豊臣秀吉が大陸に侵攻し中華帝国を制圧するという内容だ。学会を追われた私に中国の女性エージェントが接触し、中国政府が私の論文を題材として歴史介入を行うことを告げた。中国共産党は織田信長に中国の侵略を命じた。信長は朝鮮半島を蹂躙し中国本土に攻め入る。それは中華文明を西洋文明に対抗させるための戦略であった。
もうひとつの歴史を作り出すという思考実験を通じて、日本とは、中国とは、アジアとは何かを考えるポリティカルSF歴史コメディー。
西涼女侠伝
水城洋臣
歴史・時代
無敵の剣術を会得した男装の女剣士。立ち塞がるは三国志に名を刻む猛将馬超
舞台は三國志のハイライトとも言える時代、建安年間。曹操に敗れ関中を追われた馬超率いる反乱軍が涼州を襲う。正史に残る涼州動乱を、官位無き在野の侠客たちの視点で描く武侠譚。
役人の娘でありながら剣の道を選んだ男装の麗人・趙英。
家族の仇を追っている騎馬民族の少年・呼狐澹。
ふらりと現れた目的の分からぬ胡散臭い道士・緑風子。
荒野で出会った在野の流れ者たちの視点から描く、錦馬超の実態とは……。
主に正史を参考としていますが、随所で意図的に演義要素も残しており、また武侠小説としてのテイストも強く、一見重そうに見えて雰囲気は割とライトです。
三國志好きな人ならニヤニヤ出来る要素は散らしてますが、世界観説明のノリで注釈も多めなので、知らなくても楽しめるかと思います(多分)
涼州動乱と言えば馬超と王異ですが、ゲームやサブカル系でこの2人が好きな人はご注意。何せ基本正史ベースだもんで、2人とも現代人の感覚としちゃアレでして……。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
四代目 豊臣秀勝
克全
歴史・時代
アルファポリス第5回歴史時代小説大賞参加作です。
読者賞を狙っていますので、アルファポリスで投票とお気に入り登録してくださると助かります。
史実で三木城合戦前後で夭折した木下与一郎が生き延びた。
秀吉の最年長の甥であり、秀長の嫡男・与一郎が生き延びた豊臣家が辿る歴史はどう言うモノになるのか。
小牧長久手で秀吉は勝てるのか?
朝日姫は徳川家康の嫁ぐのか?
朝鮮征伐は行われるのか?
秀頼は生まれるのか。
秀次が後継者に指名され切腹させられるのか?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる