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第二十三話 戦闘パイロットになる決意
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天馬は香取が義眼だと知って閉口した。
そんな天馬に対して、鹿取はいたく平然とした態度で除隊の理由を言った。
「パイロットが片目を失ったらお終いだ。コンピューター制御により戦闘機を飛ばすだけならば支障はないが、実際に敵と空戦するにはあまりにも不都合がありすぎる……と上司から告げられたというのが除隊の理由だ」
怒りも悲しみもなく、それがパイロットだった自分の限界だったと言わんばかりの口調で。
天馬は唐突に頭を下げた。
「立場を弁えず、失礼な質問をしてしまい申し訳ありませんでした」
頭を下げながら天馬は思う。
この人は根っからのパイロットだ。
話を聞く前は正直なところ、再び前線に出るのを恐れて除隊したのだと訝しんでいた。
だが話を聞く限り、鹿取は除隊したくて除隊したのではない。
一流のパイロットは徹底的に自分を管理し、常に最高のコンディションを保つように心がけるという。
場在戦場。
昔の武士は、いつ如何なるときでも戦場に赴けるように常日頃から己を厳しく律していた。
それが現代のパイロットにも求められる。
父親に幼い頃からパイロットになるための英才教育を受けていた天馬は、他の誰よりも鹿取の心情を理解できた。
軍を除隊させられてもパイロットとして歩んできた自分の行き方を変えることはできない。
だからこそ鹿取は、航空戦闘学校の教官となることを決意したのだろう。
少しでも自分が培ってきた経験を後世に残したい。
これはあくまでも天馬の想像に過ぎなかったが、もしも自分だったら同じことをする。
「白樺、もういいから頭を上げろ」
鹿取に促されて天馬はゆっくりと頭を上げた。鹿取の視線と交錯する。
「白樺……君は将来、航空自衛軍に入隊したいか?」
「はい」
天馬は即答した。
「ドラゴンとも呼ばれている翼竜と戦って死ぬ危険性があってもか?」
「悔いはありません」
天馬の視線を受け止めていた鹿取がふっと笑った。
「お前を見ていると若かりし頃の自分を思い出す。父親の仇を討つために航空自衛軍に入隊した頃のな」
「鹿取教官……もしかして教官も翼竜に父親を」
「ああ……遠い昔に空の上でな」
そう呟く鹿取の横顔はどこか寂しさに満ち溢れていた。
だが、それも一瞬だけ。
すぐに表情をきりりと戻し、天馬に「明日の実習のために今夜はよく休め」と告げた。
鹿取の言葉を聞いて、天馬は思わず「えっ?」と驚愕した。
「お言葉ですが、教官。自分は謹慎処分になるのでは?」
「何のことだ? お前は今まで私から機体の説明を受けていただけだ」
天馬は一歩だけ前に足を踏み出した。
「しかし規則では――」
「くどい!」
鹿取に一喝され、天馬の身体がビクッと強張る。
「君は私から明日の実習で使用する機体の説明を受けていただけだ。それ以外の行動を私は見ていない。見ていないものを罰することはできない」
そのとき、建物の隅からメカニックコース担当教官の一人が近づいてきた。
「鹿取教官、そろそろ照明を落としますがよろしいですか?」
「待っていただいてすみません。話はもう済みましたから結構ですよ」
二人のやりとりを傍から聞いていた天馬は、鹿取の配慮に胸を打たれた。
謹慎処分に値する行動を黙認してもらったばかりでもなく、鹿取は他の教官にも天馬を謹慎させないために口裏を合わせるように頼んでくれたのだ。
メカニックコース担当教官が足早に去っていく姿を見送ると、鹿取は天馬を見ながら入り口に向かって顎をしゃくった。
それだけで天馬は理解した。
用事が済んだのなら早く下校しろというサインだろう。
不意に残りの照明がすべて消えた。
入り口の扉は開放されていたので完全な暗闇にはならなかったが、それでも照明が落ちると鹿取の顔も満足に見えなくなる。
天馬はきちんと背筋を伸ばし、手刀の形に変化させた右手を胸に水平に当てた。
「時間外にもかかわらず、講義をしてくださりありがとうございました。では、これにて失礼いたします」
鹿取の意を汲み、天馬は足早に立ち去ろうとした。
だが鹿取の横を通り過ぎたとき、ふと呼び止められた。
「何でしょうか?」
振り向くと、鹿取は「そう言えば君はBクラスだったな?」と訊いてきた。
「はい。1‐Bは自分のクラスですが」
天馬が答えると、鹿取は顎先に手を添えて神妙な面持ちになった。
「君のクラスに雨野という女子生徒がいるな?」
一拍の間を置いて天馬は頷いた。
「ええ……確かにいますが」
松崎といい鹿取といい、どうやら雨野は教官たちの顔の覚えがよいらしい。
そんなことを天馬が思っていると、鹿取は構わずに話を進めた。
「最近、その雨野という生徒が一人で出歩いている姿が頻繁に目撃されている。別に門限を破っているわけではないのだが、行き先が海岸方面だということで少々問題になっていてな。クラス担当の松崎教官にも言ってあるが、こういうことは生徒同士のほうが何かと知っていると思うのだが」
天馬は首を左右に振った。
「残念ですが自分には心当たりがありません。ですが、顔を合わせたらそれとなく訊いてみますよ」
「そうか……あまり生徒たちのプライベートには関与しないようにしているのだが、場所が場所だけに万が一の危険性がないとも限らんからな」
鹿取の言いたいことは分かる。
海岸付近はランニングでよく行っていたから地理には長けていた。
あの近辺は急に崖になっている場所もあるから、うっかり足を踏み外す危険性がないとも限らない。
それが一人ならなおさらである。
「分かりました。今日にでも彼女に訊いてみます」
「そう言ってくれると助かる。だが、無理に聞き出すような真似はするなよ。本人が嫌がったら注意してくれるだけでいい」
「承知しています。では」
天馬は深々と頭を下げると、入り口のほうへ向かった。
屋外に出ると、遠くの山間部の中央に夕陽が隠れる寸前であった。
すでに上空は漆黒に染まり、施設内に点在している外灯に光が灯り出す。
寮に戻る前に着替えなければ。現在、天馬は白色のジャージを着用している。
訓練中に医務室に運ばれたため、制服は司令部一階のロッカーに預けたままだ。
天馬は早足で管制塔の横を通り過ぎ、司令部に向かおうとした。
その途中、天馬の視界は数十メートル先に点在している正面ゲートを捉えた。
「ん?」
天馬はふと足を止めた。
まだ下校時なので正面ゲートは開放されたままであり、施設内から外の様子が覗き見える。
そして一瞬だったが、天馬は自転車に乗った女子生徒が正面ゲートの前を通り過ぎる姿が垣間見えた。
正面ゲートまで一気に天馬は駆け出した。
慌ててゲートを潜り、女子生徒が向かった先に視線を向ける。
だが、女子生徒の姿は影も形もなかった。
「今のは……」
遠目からでも天馬には女子生徒の横顔が認識できた。
腰まで届きそうな流麗な黒髪に小柄な体型。
さすがにフレームの色までは視認できなかったが、確かにその女子生徒は眼鏡をかけていた。
見間違いか?
それとも……。
天馬はゲートの前でしばし立ち尽くしていた。
ふと空を見上げると、茜色の空が漆黒に変わりつつある。
夜の帳が下り始め、もう日が落ちるのに幾ばくの時間もない。
天馬は激しく頭を掻き毟った直後、何かを決心するように大きな溜息をついた。
「しょうがない」
ぽつりと一言だけ漏らした天馬は、女子生徒が向かった先へ走り出した。
そんな天馬に対して、鹿取はいたく平然とした態度で除隊の理由を言った。
「パイロットが片目を失ったらお終いだ。コンピューター制御により戦闘機を飛ばすだけならば支障はないが、実際に敵と空戦するにはあまりにも不都合がありすぎる……と上司から告げられたというのが除隊の理由だ」
怒りも悲しみもなく、それがパイロットだった自分の限界だったと言わんばかりの口調で。
天馬は唐突に頭を下げた。
「立場を弁えず、失礼な質問をしてしまい申し訳ありませんでした」
頭を下げながら天馬は思う。
この人は根っからのパイロットだ。
話を聞く前は正直なところ、再び前線に出るのを恐れて除隊したのだと訝しんでいた。
だが話を聞く限り、鹿取は除隊したくて除隊したのではない。
一流のパイロットは徹底的に自分を管理し、常に最高のコンディションを保つように心がけるという。
場在戦場。
昔の武士は、いつ如何なるときでも戦場に赴けるように常日頃から己を厳しく律していた。
それが現代のパイロットにも求められる。
父親に幼い頃からパイロットになるための英才教育を受けていた天馬は、他の誰よりも鹿取の心情を理解できた。
軍を除隊させられてもパイロットとして歩んできた自分の行き方を変えることはできない。
だからこそ鹿取は、航空戦闘学校の教官となることを決意したのだろう。
少しでも自分が培ってきた経験を後世に残したい。
これはあくまでも天馬の想像に過ぎなかったが、もしも自分だったら同じことをする。
「白樺、もういいから頭を上げろ」
鹿取に促されて天馬はゆっくりと頭を上げた。鹿取の視線と交錯する。
「白樺……君は将来、航空自衛軍に入隊したいか?」
「はい」
天馬は即答した。
「ドラゴンとも呼ばれている翼竜と戦って死ぬ危険性があってもか?」
「悔いはありません」
天馬の視線を受け止めていた鹿取がふっと笑った。
「お前を見ていると若かりし頃の自分を思い出す。父親の仇を討つために航空自衛軍に入隊した頃のな」
「鹿取教官……もしかして教官も翼竜に父親を」
「ああ……遠い昔に空の上でな」
そう呟く鹿取の横顔はどこか寂しさに満ち溢れていた。
だが、それも一瞬だけ。
すぐに表情をきりりと戻し、天馬に「明日の実習のために今夜はよく休め」と告げた。
鹿取の言葉を聞いて、天馬は思わず「えっ?」と驚愕した。
「お言葉ですが、教官。自分は謹慎処分になるのでは?」
「何のことだ? お前は今まで私から機体の説明を受けていただけだ」
天馬は一歩だけ前に足を踏み出した。
「しかし規則では――」
「くどい!」
鹿取に一喝され、天馬の身体がビクッと強張る。
「君は私から明日の実習で使用する機体の説明を受けていただけだ。それ以外の行動を私は見ていない。見ていないものを罰することはできない」
そのとき、建物の隅からメカニックコース担当教官の一人が近づいてきた。
「鹿取教官、そろそろ照明を落としますがよろしいですか?」
「待っていただいてすみません。話はもう済みましたから結構ですよ」
二人のやりとりを傍から聞いていた天馬は、鹿取の配慮に胸を打たれた。
謹慎処分に値する行動を黙認してもらったばかりでもなく、鹿取は他の教官にも天馬を謹慎させないために口裏を合わせるように頼んでくれたのだ。
メカニックコース担当教官が足早に去っていく姿を見送ると、鹿取は天馬を見ながら入り口に向かって顎をしゃくった。
それだけで天馬は理解した。
用事が済んだのなら早く下校しろというサインだろう。
不意に残りの照明がすべて消えた。
入り口の扉は開放されていたので完全な暗闇にはならなかったが、それでも照明が落ちると鹿取の顔も満足に見えなくなる。
天馬はきちんと背筋を伸ばし、手刀の形に変化させた右手を胸に水平に当てた。
「時間外にもかかわらず、講義をしてくださりありがとうございました。では、これにて失礼いたします」
鹿取の意を汲み、天馬は足早に立ち去ろうとした。
だが鹿取の横を通り過ぎたとき、ふと呼び止められた。
「何でしょうか?」
振り向くと、鹿取は「そう言えば君はBクラスだったな?」と訊いてきた。
「はい。1‐Bは自分のクラスですが」
天馬が答えると、鹿取は顎先に手を添えて神妙な面持ちになった。
「君のクラスに雨野という女子生徒がいるな?」
一拍の間を置いて天馬は頷いた。
「ええ……確かにいますが」
松崎といい鹿取といい、どうやら雨野は教官たちの顔の覚えがよいらしい。
そんなことを天馬が思っていると、鹿取は構わずに話を進めた。
「最近、その雨野という生徒が一人で出歩いている姿が頻繁に目撃されている。別に門限を破っているわけではないのだが、行き先が海岸方面だということで少々問題になっていてな。クラス担当の松崎教官にも言ってあるが、こういうことは生徒同士のほうが何かと知っていると思うのだが」
天馬は首を左右に振った。
「残念ですが自分には心当たりがありません。ですが、顔を合わせたらそれとなく訊いてみますよ」
「そうか……あまり生徒たちのプライベートには関与しないようにしているのだが、場所が場所だけに万が一の危険性がないとも限らんからな」
鹿取の言いたいことは分かる。
海岸付近はランニングでよく行っていたから地理には長けていた。
あの近辺は急に崖になっている場所もあるから、うっかり足を踏み外す危険性がないとも限らない。
それが一人ならなおさらである。
「分かりました。今日にでも彼女に訊いてみます」
「そう言ってくれると助かる。だが、無理に聞き出すような真似はするなよ。本人が嫌がったら注意してくれるだけでいい」
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天馬は深々と頭を下げると、入り口のほうへ向かった。
屋外に出ると、遠くの山間部の中央に夕陽が隠れる寸前であった。
すでに上空は漆黒に染まり、施設内に点在している外灯に光が灯り出す。
寮に戻る前に着替えなければ。現在、天馬は白色のジャージを着用している。
訓練中に医務室に運ばれたため、制服は司令部一階のロッカーに預けたままだ。
天馬は早足で管制塔の横を通り過ぎ、司令部に向かおうとした。
その途中、天馬の視界は数十メートル先に点在している正面ゲートを捉えた。
「ん?」
天馬はふと足を止めた。
まだ下校時なので正面ゲートは開放されたままであり、施設内から外の様子が覗き見える。
そして一瞬だったが、天馬は自転車に乗った女子生徒が正面ゲートの前を通り過ぎる姿が垣間見えた。
正面ゲートまで一気に天馬は駆け出した。
慌ててゲートを潜り、女子生徒が向かった先に視線を向ける。
だが、女子生徒の姿は影も形もなかった。
「今のは……」
遠目からでも天馬には女子生徒の横顔が認識できた。
腰まで届きそうな流麗な黒髪に小柄な体型。
さすがにフレームの色までは視認できなかったが、確かにその女子生徒は眼鏡をかけていた。
見間違いか?
それとも……。
天馬はゲートの前でしばし立ち尽くしていた。
ふと空を見上げると、茜色の空が漆黒に変わりつつある。
夜の帳が下り始め、もう日が落ちるのに幾ばくの時間もない。
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