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第二話 運命の出会い
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市街地を離れると急に緑が溢れる雄大な自然の風景が現れ、都会に慣れていた天馬の目には眩しく映った。
二人が歩いていたのはアスファルトで舗装された山道であり、すれ違う人間はおろか自動車の類もない。
空也が言うにはこの時間帯は片道通行に指定されているらしく、午前十時を過ぎるまでは通る車は皆無なのだという。
そんな話をしているとあっという間に数十分が経過し、二人は航空戦闘学校指定の学生寮に到着した。
本当は空港からバスが出ているらしいが、それを聞いたのは学生寮が遠目に見え始めた後であった。
天馬は学生寮を見上げながら、額に薄っすらと滲んだ汗を手の甲で拭った。
清らかな川の近くに建てられていた三階建ての学生寮。素材は鉄筋コンクリート製ではなく、今時珍しい木造式であった。
「ここが学生寮か?」
ぼそりと呟いた天馬に空也が答える。
「驚いたか? 何でも元々は廃校になった小学校だったらしいぜ。それを航空戦闘学校の学生寮に建て直したらしいが、はっきり言って何だこりゃって感じだろ」
空也の言葉に天馬は胸中で同意した。
天馬たちが佇んでいたのは、学生寮のちょうど正門部分であった。
関係者以外の立ち入りを禁止するために頑丈な柵が設えられていたが、今は開放時間なのか柵は左右に開けられている。
空也は天馬の荷物であるボストンバッグを地面に置いた。
「まあ、そんな辛気臭い顔すんなって。学生寮はこんなんだけど、俺たちが入学する航戦の施設は段違いに凄いぜ」
親指を立ててウインクを向けてきた空也を見て、天馬は急激に不安になった。
悲願だった航空戦闘学校の入学試験に合格し、新設された第168航空戦闘学校の入学が決定したときは本当に嬉しかった。
今のご時勢、飛行機のパイロットになることは昔と違ってそんなに難しくない。
だが、それはあくまでも民間機の場合である。
本物のパイロットになるには、やはり航空自衛軍の飛行部隊に所属することだろう。
そしてその航空自衛軍の飛行部隊に所属するためには、航空戦闘学校のパイロット候補生になるのが一番確実であった。
自衛隊時代のような幹部候補生ではないが、それでも試験は難解で三年間の教育課程の分野でも相当な体力と技術を求められる。
だからこそやりがいがあった。
どんな困難な訓練を求められても絶対にやり遂げてみせる。
そう覚悟していたのだが、目の前の学生寮を見ると何故かやる気が低下していく。
「なあ、神田。俺たちは本当に戦闘機に乗れるのか?」
学生寮全体に視線を彷徨わせながら、天馬は途中の自動販売機で購入した缶ジュースをがぶ飲みしている空也に尋ねた。
空也は缶ジュースを飲むのを止めると、口元に付着した水気を指先で拭う。
「神田だなんて他人行儀な呼び方は止めてくれ。俺のことは空也でいい。俺もお前のことは天馬って呼ぶから」
一気にジュースを飲み干した空也は、缶を握り潰して川のほうに投げ捨てた。
「で、戦闘機がどうしたって?」
「だから、俺たちは本当に戦闘機に乗れるのかってことだ」
天馬が生まれ故郷を離れてわざわざこんな孤島に来たのは、今年になって新設された第168航空戦闘学校に入学するためだ。
「当然だろ。第168航空戦闘学校は新設されたばかりで第一期生しかいないんだぜ。他の学校なら二期生にならないと乗れない戦闘機にも頻繁に実習で乗らされるぞ」
それを聞いて天馬は安堵した。
そうでないとこの学校を選んだ意味がない。
嬉しそうな表情を浮かべた天馬に対して、空也は素っ気無く頬を掻く。
「そんなに実習で戦闘機に乗れるのが嬉しいなんてお前も物好きな奴だな。航空自衛軍の飛行部隊にでも入隊する気か?」
「神田……空也は違うのか?」
空也は大きく肩をすくめて見せた。
「ちょっと違うな。航空自衛軍には入隊したいが、別にパイロットでなくてもいい」
と空也が答えた瞬間、周囲に生え茂っている木々を揺らすほどの怒声が響いた。
「ゴミを勝手に捨てるな、馬鹿!」
天馬は声が聞こえてきた方向にすかさず顔を向けた。
怒声を張り上げた人間は、学生寮から出てきた一人の少女であった。
外ハネになったショートカットの髪がふわりと風で揺れ、目つきは怒りのためか逆三角形のように尖っていた。
ブルー系のタートルセーターにストライプの入ったフレアパンツを穿いており、両手は腰に当てて全身から強烈な威圧感を放っている。
「誰かと思えば渚か。そんなに怒ると血圧が上がって早死にするぞ」
空也の皮肉めいた言葉に渚と呼ばれた少女はふん、と鼻で笑った。
「早死にするのはパイロット候補生のアンタのほう……って話を逸らすな! いいから今投げたゴミを拾ってきなさい!」
渚は川辺近くの草むらに人差し指を向けた。
「はあ~、口うるさい女に見つかっちまったぜ」
渚の迫力に根負けしたのか、空也はぶつぶつと小言を呟きながら自分が投げ捨てた缶ジュースを探し始めた。
そんな二人のやり取りを傍観していた天馬は、ふと渚の後ろに隠れていたもう一人の存在に気がついた。
小柄な体型に日本人形のように端整な顔立ち。
艶やかな光沢を放つ黒髪は腰まで届きそうなほど長く、シルバーフレームの眼鏡をかけていた。
一見すると小学生のように幼くも見えるが哲学者のように知的な印象も窺え、オフホワイトのプルオーバーにデニムスカートを穿いている姿は天馬も一瞬ほうと息を漏らすほど似合っていた。
「ん? そこの君、ここ最近見ない顔ね」
渚は缶ジュースを探している空也から呆然と佇む天馬に視線を移してきた。
「ああ、ついさっきこの島に着いたばかりだ」
「ということは君も航戦の入学生?」
「白樺天馬。部隊コースはパイロットだ」
軽く自己紹介をすると、渚の背中に隠れていた少女がぼそっと囁いた。
「しらかば……てんま?」
特徴的な声色で自分の名前を呼んだ少女に、天馬はどう対応すればいいのか迷った。
学生寮から出てきたということは、この二人も航空戦闘学生の生徒には間違いない。
まさかパイロットコースとは思えないが、これから入学する第168航空戦闘学校には戦闘機に乗るパイロットコースの他にも機体を整備点検するメカニックコースや医療技術を専門に扱うメディックコースが設けられている。
となるとメカニックかメディックのどちらかのコースを志望した生徒だろう。
「向日葵、大丈夫よ。私がいる限り馬鹿な男は誰一人として近づかせないからね」
柔らかな笑みを向日葵と呼んだ少女に向けると、渚は一変して表情をきつく締めて天馬に歩み寄った。
握手を求めたのか右手をそっと差し出してくる。
「初めまして、パイロット候補生さん。私は小見山渚。あっちの子は雨野向日葵。二人ともメディックコースよ。よろしくね」
二人が歩いていたのはアスファルトで舗装された山道であり、すれ違う人間はおろか自動車の類もない。
空也が言うにはこの時間帯は片道通行に指定されているらしく、午前十時を過ぎるまでは通る車は皆無なのだという。
そんな話をしているとあっという間に数十分が経過し、二人は航空戦闘学校指定の学生寮に到着した。
本当は空港からバスが出ているらしいが、それを聞いたのは学生寮が遠目に見え始めた後であった。
天馬は学生寮を見上げながら、額に薄っすらと滲んだ汗を手の甲で拭った。
清らかな川の近くに建てられていた三階建ての学生寮。素材は鉄筋コンクリート製ではなく、今時珍しい木造式であった。
「ここが学生寮か?」
ぼそりと呟いた天馬に空也が答える。
「驚いたか? 何でも元々は廃校になった小学校だったらしいぜ。それを航空戦闘学校の学生寮に建て直したらしいが、はっきり言って何だこりゃって感じだろ」
空也の言葉に天馬は胸中で同意した。
天馬たちが佇んでいたのは、学生寮のちょうど正門部分であった。
関係者以外の立ち入りを禁止するために頑丈な柵が設えられていたが、今は開放時間なのか柵は左右に開けられている。
空也は天馬の荷物であるボストンバッグを地面に置いた。
「まあ、そんな辛気臭い顔すんなって。学生寮はこんなんだけど、俺たちが入学する航戦の施設は段違いに凄いぜ」
親指を立ててウインクを向けてきた空也を見て、天馬は急激に不安になった。
悲願だった航空戦闘学校の入学試験に合格し、新設された第168航空戦闘学校の入学が決定したときは本当に嬉しかった。
今のご時勢、飛行機のパイロットになることは昔と違ってそんなに難しくない。
だが、それはあくまでも民間機の場合である。
本物のパイロットになるには、やはり航空自衛軍の飛行部隊に所属することだろう。
そしてその航空自衛軍の飛行部隊に所属するためには、航空戦闘学校のパイロット候補生になるのが一番確実であった。
自衛隊時代のような幹部候補生ではないが、それでも試験は難解で三年間の教育課程の分野でも相当な体力と技術を求められる。
だからこそやりがいがあった。
どんな困難な訓練を求められても絶対にやり遂げてみせる。
そう覚悟していたのだが、目の前の学生寮を見ると何故かやる気が低下していく。
「なあ、神田。俺たちは本当に戦闘機に乗れるのか?」
学生寮全体に視線を彷徨わせながら、天馬は途中の自動販売機で購入した缶ジュースをがぶ飲みしている空也に尋ねた。
空也は缶ジュースを飲むのを止めると、口元に付着した水気を指先で拭う。
「神田だなんて他人行儀な呼び方は止めてくれ。俺のことは空也でいい。俺もお前のことは天馬って呼ぶから」
一気にジュースを飲み干した空也は、缶を握り潰して川のほうに投げ捨てた。
「で、戦闘機がどうしたって?」
「だから、俺たちは本当に戦闘機に乗れるのかってことだ」
天馬が生まれ故郷を離れてわざわざこんな孤島に来たのは、今年になって新設された第168航空戦闘学校に入学するためだ。
「当然だろ。第168航空戦闘学校は新設されたばかりで第一期生しかいないんだぜ。他の学校なら二期生にならないと乗れない戦闘機にも頻繁に実習で乗らされるぞ」
それを聞いて天馬は安堵した。
そうでないとこの学校を選んだ意味がない。
嬉しそうな表情を浮かべた天馬に対して、空也は素っ気無く頬を掻く。
「そんなに実習で戦闘機に乗れるのが嬉しいなんてお前も物好きな奴だな。航空自衛軍の飛行部隊にでも入隊する気か?」
「神田……空也は違うのか?」
空也は大きく肩をすくめて見せた。
「ちょっと違うな。航空自衛軍には入隊したいが、別にパイロットでなくてもいい」
と空也が答えた瞬間、周囲に生え茂っている木々を揺らすほどの怒声が響いた。
「ゴミを勝手に捨てるな、馬鹿!」
天馬は声が聞こえてきた方向にすかさず顔を向けた。
怒声を張り上げた人間は、学生寮から出てきた一人の少女であった。
外ハネになったショートカットの髪がふわりと風で揺れ、目つきは怒りのためか逆三角形のように尖っていた。
ブルー系のタートルセーターにストライプの入ったフレアパンツを穿いており、両手は腰に当てて全身から強烈な威圧感を放っている。
「誰かと思えば渚か。そんなに怒ると血圧が上がって早死にするぞ」
空也の皮肉めいた言葉に渚と呼ばれた少女はふん、と鼻で笑った。
「早死にするのはパイロット候補生のアンタのほう……って話を逸らすな! いいから今投げたゴミを拾ってきなさい!」
渚は川辺近くの草むらに人差し指を向けた。
「はあ~、口うるさい女に見つかっちまったぜ」
渚の迫力に根負けしたのか、空也はぶつぶつと小言を呟きながら自分が投げ捨てた缶ジュースを探し始めた。
そんな二人のやり取りを傍観していた天馬は、ふと渚の後ろに隠れていたもう一人の存在に気がついた。
小柄な体型に日本人形のように端整な顔立ち。
艶やかな光沢を放つ黒髪は腰まで届きそうなほど長く、シルバーフレームの眼鏡をかけていた。
一見すると小学生のように幼くも見えるが哲学者のように知的な印象も窺え、オフホワイトのプルオーバーにデニムスカートを穿いている姿は天馬も一瞬ほうと息を漏らすほど似合っていた。
「ん? そこの君、ここ最近見ない顔ね」
渚は缶ジュースを探している空也から呆然と佇む天馬に視線を移してきた。
「ああ、ついさっきこの島に着いたばかりだ」
「ということは君も航戦の入学生?」
「白樺天馬。部隊コースはパイロットだ」
軽く自己紹介をすると、渚の背中に隠れていた少女がぼそっと囁いた。
「しらかば……てんま?」
特徴的な声色で自分の名前を呼んだ少女に、天馬はどう対応すればいいのか迷った。
学生寮から出てきたということは、この二人も航空戦闘学生の生徒には間違いない。
まさかパイロットコースとは思えないが、これから入学する第168航空戦闘学校には戦闘機に乗るパイロットコースの他にも機体を整備点検するメカニックコースや医療技術を専門に扱うメディックコースが設けられている。
となるとメカニックかメディックのどちらかのコースを志望した生徒だろう。
「向日葵、大丈夫よ。私がいる限り馬鹿な男は誰一人として近づかせないからね」
柔らかな笑みを向日葵と呼んだ少女に向けると、渚は一変して表情をきつく締めて天馬に歩み寄った。
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