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第八話 そのポーター、キモい存在と出会ってキレる
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エラーってどういうこと!
失敗したって何で!
キーワードを発言ってどうすればいいの!
僕はアテが盛大に外れたことに激しく動揺した。
そんな僕のことを完全に無視し、アリッサさんとユルバさんは僕にじりじりとにじり寄ってくる。
まさに標的ロックオンって感じだ。
一方の僕はどうしようかと大慌てだった。
最初はすべてを捨てて逃げ去ろうかと思ったが、そんなことをすればローラさんが僕の代わりに捕まってあんなことやこんなことをされるかもしれない。
それはそれでちょっと見てみたい気もするが、もしかすると僕のエロティックな想像とはまったくかけ離れて、グロテスクな拷問をされる可能性だってあるかもしれない。
ダメだ、ここで逃げちゃいけない!
僕は単なるポーターだが男としてのプライドは持っている。
僕を本当の意味で男にしてくれたローラさんを見捨てるわけにはいかない。
だったら、どうする。
僕は考えた。
瞬きを何度かする間にこれでもかと考えた。
そのとき、僕の脳裏にある言葉が浮かんだ。
もしかして、キーワードというのは……。
よし、と僕は意を決した。
どうせ何もしなかったら腕と足が1本ずつ胴体とオサラバするのだ。
それなら一か八かの賭けに出るしかない。
僕は身構えると、どこまでも澄み渡る蒼天に向かって叫んだ。
「ナンデヤネエエエエエエエエエエエエエエエエエンッ!」
次の瞬間、脳内に『ピンポーン』という音が鳴った。
『――再始動のキーワードを確認。これより【ツッコミ】の発現者――カンサイのスキルバージョンをアップします』
そして、あの不思議な声が聞こえてくる。
『ですが、その前にある御方からの言い訳があります。しばしお待ちください』
「…………へ?」
と、僕が意表をつかれたように目を丸くした直後だ。
ピタリッ。
この世のすべての時間がピタリと止まった。
そう、文字通り止まったのだ。
青空を流れていた雲。
ざわついていた野次馬。
聖乙女騎士団の女騎士さんたち。
ローラさん。
アリッサさんとユルバさん。
そして白馬の前で両腕を組んでいたクラリスさんが、まるで石化したように止まったのである。
だが、そんな中でも僕だけは自由に動くことができた。
そして僕が「何事!」と周囲を見渡していると、遠くのほうから「お~い」と間延びした声で駆け寄ってくる人物がいた。
一文で言い表そう。
40代から50代と思しき、全裸のデブなおっさんだ。
大事なことなのでもう一度だけ言う。
40代から50代と思しき、全裸でハゲでデブなおっさんだ。
そんなおっさんは身体中の贅肉をこれでもかと揺らし、額から大量の汗を垂れ流しながら「ぜいぜい」と息を切らせて僕の前までやってきた。
「いや~、お待たせお待たせ。ちょっと異世界のアニメを観ていたら遅くなっちゃって……」
次の瞬間、僕は固く握った右拳をおっさんの顔面に叩き込んだ。
「プギョオオオオオオオオオオオオオオ――――ッ!」
おっさんは絶叫しながら吹き飛ぶと、何度も地面を転がった末に止まった。
はっ……しまった!
あまりの気持ち悪い存在を見て、つい無意識に殴りつけてしまった。
そんなことを思っていると、おっさんは大量の鼻血を出しながら僕に全力ダッシュしてくる。
「バッキャローッ、いきなり何しやがる! この俺さまじゃなかったら死んでたところだぞ! このスットコドッコイのへっぽこ野郎が!」
僕はもう一度おっさんに拳を叩き込もうとした。
「おっと待て待て。そう慌てなさんな。ここはクールに話し合おうぜ。なあ?」
毒気を抜かれた僕は、拳を大人しく引っ込める。
とりあえず、僕以外に動けるということはこのおっさんは普通の人間ではないのだろう。
もしかすると、あの不思議な声が言った「あの御方」とやらに関係するのかもしれない。
「……で、あなたは一体誰なんですか?」
「あ、その前にムラムラしてきたからオナニーしていい? ちょうどいいオカズたちがそこら辺に――」
こめかみに血管を浮かべた僕はおっさんの顔面を右手1本でがっしり掴み、そのまま握力に物を言わせて指の力だけで締め上げる。
おっさんの頭蓋がメキメキと軋んでいく。
「痛ててててててててててッ! ちょっ、馬鹿野郎! ガキのくせにアイアンクローなんてかますんじゃねえよ!」
「じゃあ、僕の質問に答えてください。あなたは誰なんですか?」
「わ、わかったから離せ! いや、離してください!」
仕方なく僕はおっさんの頭蓋を握り潰すことを止めた。
パッと手を離すと、おっさんは「まったく、最近のガキはデンジャラスだぜ」と意味不明なことをつぶやく。
「早く答えないとまた殴りますよ?」
僕がその場で殴るフリをすると、おっさんは「わかったわかった」と開いた両手を突き出してくる。
そしておっさんは得意気な顔で自分の正体を明かした。
「ふははは、何を隠そう俺さまはこの世界を管理している神様なのだよ!」
僕はおっさんの顔面に2発目のパンチを叩き込んだ。
失敗したって何で!
キーワードを発言ってどうすればいいの!
僕はアテが盛大に外れたことに激しく動揺した。
そんな僕のことを完全に無視し、アリッサさんとユルバさんは僕にじりじりとにじり寄ってくる。
まさに標的ロックオンって感じだ。
一方の僕はどうしようかと大慌てだった。
最初はすべてを捨てて逃げ去ろうかと思ったが、そんなことをすればローラさんが僕の代わりに捕まってあんなことやこんなことをされるかもしれない。
それはそれでちょっと見てみたい気もするが、もしかすると僕のエロティックな想像とはまったくかけ離れて、グロテスクな拷問をされる可能性だってあるかもしれない。
ダメだ、ここで逃げちゃいけない!
僕は単なるポーターだが男としてのプライドは持っている。
僕を本当の意味で男にしてくれたローラさんを見捨てるわけにはいかない。
だったら、どうする。
僕は考えた。
瞬きを何度かする間にこれでもかと考えた。
そのとき、僕の脳裏にある言葉が浮かんだ。
もしかして、キーワードというのは……。
よし、と僕は意を決した。
どうせ何もしなかったら腕と足が1本ずつ胴体とオサラバするのだ。
それなら一か八かの賭けに出るしかない。
僕は身構えると、どこまでも澄み渡る蒼天に向かって叫んだ。
「ナンデヤネエエエエエエエエエエエエエエエエエンッ!」
次の瞬間、脳内に『ピンポーン』という音が鳴った。
『――再始動のキーワードを確認。これより【ツッコミ】の発現者――カンサイのスキルバージョンをアップします』
そして、あの不思議な声が聞こえてくる。
『ですが、その前にある御方からの言い訳があります。しばしお待ちください』
「…………へ?」
と、僕が意表をつかれたように目を丸くした直後だ。
ピタリッ。
この世のすべての時間がピタリと止まった。
そう、文字通り止まったのだ。
青空を流れていた雲。
ざわついていた野次馬。
聖乙女騎士団の女騎士さんたち。
ローラさん。
アリッサさんとユルバさん。
そして白馬の前で両腕を組んでいたクラリスさんが、まるで石化したように止まったのである。
だが、そんな中でも僕だけは自由に動くことができた。
そして僕が「何事!」と周囲を見渡していると、遠くのほうから「お~い」と間延びした声で駆け寄ってくる人物がいた。
一文で言い表そう。
40代から50代と思しき、全裸のデブなおっさんだ。
大事なことなのでもう一度だけ言う。
40代から50代と思しき、全裸でハゲでデブなおっさんだ。
そんなおっさんは身体中の贅肉をこれでもかと揺らし、額から大量の汗を垂れ流しながら「ぜいぜい」と息を切らせて僕の前までやってきた。
「いや~、お待たせお待たせ。ちょっと異世界のアニメを観ていたら遅くなっちゃって……」
次の瞬間、僕は固く握った右拳をおっさんの顔面に叩き込んだ。
「プギョオオオオオオオオオオオオオオ――――ッ!」
おっさんは絶叫しながら吹き飛ぶと、何度も地面を転がった末に止まった。
はっ……しまった!
あまりの気持ち悪い存在を見て、つい無意識に殴りつけてしまった。
そんなことを思っていると、おっさんは大量の鼻血を出しながら僕に全力ダッシュしてくる。
「バッキャローッ、いきなり何しやがる! この俺さまじゃなかったら死んでたところだぞ! このスットコドッコイのへっぽこ野郎が!」
僕はもう一度おっさんに拳を叩き込もうとした。
「おっと待て待て。そう慌てなさんな。ここはクールに話し合おうぜ。なあ?」
毒気を抜かれた僕は、拳を大人しく引っ込める。
とりあえず、僕以外に動けるということはこのおっさんは普通の人間ではないのだろう。
もしかすると、あの不思議な声が言った「あの御方」とやらに関係するのかもしれない。
「……で、あなたは一体誰なんですか?」
「あ、その前にムラムラしてきたからオナニーしていい? ちょうどいいオカズたちがそこら辺に――」
こめかみに血管を浮かべた僕はおっさんの顔面を右手1本でがっしり掴み、そのまま握力に物を言わせて指の力だけで締め上げる。
おっさんの頭蓋がメキメキと軋んでいく。
「痛ててててててててててッ! ちょっ、馬鹿野郎! ガキのくせにアイアンクローなんてかますんじゃねえよ!」
「じゃあ、僕の質問に答えてください。あなたは誰なんですか?」
「わ、わかったから離せ! いや、離してください!」
仕方なく僕はおっさんの頭蓋を握り潰すことを止めた。
パッと手を離すと、おっさんは「まったく、最近のガキはデンジャラスだぜ」と意味不明なことをつぶやく。
「早く答えないとまた殴りますよ?」
僕がその場で殴るフリをすると、おっさんは「わかったわかった」と開いた両手を突き出してくる。
そしておっさんは得意気な顔で自分の正体を明かした。
「ふははは、何を隠そう俺さまはこの世界を管理している神様なのだよ!」
僕はおっさんの顔面に2発目のパンチを叩き込んだ。
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