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◇
「え、貸切温泉風呂、一緒に入らないの?」
「手を出してしまいそうだからな。一時間じゃ足りなくなる……私は大浴場に入ってくるよ」
「明日も?」
「この街にいる間はな」
ホテルの貸切温泉風呂をカイルが一時間だけ予約してくれていたのに、一緒に入れないなんて悲しい。
「レイリア、ベッドで甘やかすから我慢してくれ」
「一緒に入りたかった……」
「屋敷に帰ったら入れるさ。レイリアが自分のアパートに帰ってしまったのが痛いな。定期的に通ってはくれてるが、早く結婚してまた屋敷に住んで欲しい」
「僕、その言葉本気にするよ?」
「是非してくれ。レイリア、私の大切な人……」
触れるだけのキスをするカイルにぎゅっと抱きつく。
切なくて愛しくて、でも幸せで胸がいっぱいだ。
その後一緒に入れると思っていたのに、一人で入った貸切温泉風呂は気持ち良かったけど、凄く寂しかった。
◇
波の音が耳に心地良い。
雨も降ってないし風も強くなくて、海岸の散策にはいい天気だった。
「走りたくなっちゃう」
「どこまででも追いかけていきたい」
「ふふ、僕はカイルには敵わないよ」
「レイリア」
「ん?」
カイルが僕の手を取ってそっと撫でた。
ふと足を止めて、見つめられる。
「どうしたの?」
カイルが上着のポケットから小さな布張りの箱を取り出して、パカッと開いた。
中には小ぶりのピアスが。
きらきら輝く透明な澄んだ石が眩しい。
「一生君を幸せにすると誓う。愛してる。どうか私と結婚して下さい」
「カイルの粘り勝ちだね……はい。これからもよろしくお願いします」
「レイリア……!」
カイルが僕を持ち上げてその場でくるくると回った。
「結婚って昨日もだけどいつも言ってたもんね」
「はは、そうだな」
「ピアス、あけてくれる?」
「もちろん」
「痛いかな?」
「大丈夫だよ」
「ん……」
深い口付けを受けて、力が抜けた。
「幸せだ、レイリア」
「僕も……。ありがとう、カイル……」
「え、貸切温泉風呂、一緒に入らないの?」
「手を出してしまいそうだからな。一時間じゃ足りなくなる……私は大浴場に入ってくるよ」
「明日も?」
「この街にいる間はな」
ホテルの貸切温泉風呂をカイルが一時間だけ予約してくれていたのに、一緒に入れないなんて悲しい。
「レイリア、ベッドで甘やかすから我慢してくれ」
「一緒に入りたかった……」
「屋敷に帰ったら入れるさ。レイリアが自分のアパートに帰ってしまったのが痛いな。定期的に通ってはくれてるが、早く結婚してまた屋敷に住んで欲しい」
「僕、その言葉本気にするよ?」
「是非してくれ。レイリア、私の大切な人……」
触れるだけのキスをするカイルにぎゅっと抱きつく。
切なくて愛しくて、でも幸せで胸がいっぱいだ。
その後一緒に入れると思っていたのに、一人で入った貸切温泉風呂は気持ち良かったけど、凄く寂しかった。
◇
波の音が耳に心地良い。
雨も降ってないし風も強くなくて、海岸の散策にはいい天気だった。
「走りたくなっちゃう」
「どこまででも追いかけていきたい」
「ふふ、僕はカイルには敵わないよ」
「レイリア」
「ん?」
カイルが僕の手を取ってそっと撫でた。
ふと足を止めて、見つめられる。
「どうしたの?」
カイルが上着のポケットから小さな布張りの箱を取り出して、パカッと開いた。
中には小ぶりのピアスが。
きらきら輝く透明な澄んだ石が眩しい。
「一生君を幸せにすると誓う。愛してる。どうか私と結婚して下さい」
「カイルの粘り勝ちだね……はい。これからもよろしくお願いします」
「レイリア……!」
カイルが僕を持ち上げてその場でくるくると回った。
「結婚って昨日もだけどいつも言ってたもんね」
「はは、そうだな」
「ピアス、あけてくれる?」
「もちろん」
「痛いかな?」
「大丈夫だよ」
「ん……」
深い口付けを受けて、力が抜けた。
「幸せだ、レイリア」
「僕も……。ありがとう、カイル……」
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