君が好き。

hina

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部屋の外が騒がしい。
程なくして部屋のドアがノックされ、カイルと思しき声がした。

「レイリア? お待たせ。全て終わったよ。鍵を開けて出ておいで」
「カイル……?」
ペンダントに魔力を流してカイルに繋げると、「私だよ、開けてくれ」と呼びかけられる。
ドアを開けると騎士服姿のカイル。後ろにはロビンや僕を助けてくれたウェイターにカイルについてきたのだろう騎士もいる。

カイルは僕を見るときつく抱き締めてくれた。

「く、苦しい……」
「怖くなかったか? もう大丈夫だ。ダロムは捕まったからな。しばらく奴は牢生活だろう。出てきても監視がつくし、レイリアには近付けさせない」
「あの人、うちの店出禁になったから! いつでも追い返せるよ!」

ロビンが朗らかに言った。

「そうなんだ。良かった……!」

「だがレイリア、ペンダントはこれからも外すなよ」
「え、あ、はい」

カイルに放されたと思ったら、両肩に手を置かれて顔を覗き込まれた。
僕を心から心配しているようだった。

「レイリアの無事も確認出来たし、私は後処理もあるので騎士団に戻らなければならないが、今日は早めに迎えに来る。だが、無理はするなよ」
「うん」

またふわっとカイルに包まれて、安心して吐息が漏れる。

ロビン達に見られてることは気にならないほど、その瞬間僕は心がほぐれていたんだと後から気がついてちょっと心が動いたりした。




「レイリア。私のレイリア。誰にも触れさせたくない」
「カイル、僕、腕を掴まれただけで何もされなかったよ?」
「そうだったな。だが、強い力で掴まれたんだろう? あの男、始末してやりたい……」

夜。僕の部屋に来たカイルは僕をぎゅうぎゅうと抱き締めて、僕の首筋に額を擦り付けた。

「確か左腕だったな?」
「うん……」
そう言うとカイルが身体を離し左腕を取って摩ってきた。

「その場にいればダロムを一発殴ってやれたのに」
「はは……やめて、カイルが痛い思いすることない」

ベッドに導かれて、二人で端に腰掛ける。

「レイリア、口付けていいか?」
「うん……聞かないでして欲しい」

始めはそっと触れるだけだった。
でも離れて一呼吸おいた後、もう一度されたキスは呼吸を奪うようなものだった。
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