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◇
「レイリア、抱き締めさせてくれ」
「い、イヤです……」
色々あった一日も日が変わろうとしている。
僕に与えられた部屋に、カイルが入ってきた。
「そうか?」
「う……だって」
「だって?」
「もっとドキドキしちゃうから……」
「私もしてる」
カイルは柔らかく微笑んで、僕の手を取って自分の心臓に当てた。
「分かるか? 同じだな」
「……好き」
ぼ、僕は何を!?
自分の口から思わずこぼれた一言が信じられなくて、慌てて首を左右に振った。
男にモテてもな、なんて思っていたのに、まさか男に……カイルに好きと言うなんて……!
カイルは驚いたように目を大きく見開いていた。
「な、なし! 今のなしです!」
「聞いてしまった。レイリア、嬉しいよ。私も同じ気持ちだ。君が好きだ。愛してる! やはり、抱き締めたい」
「ダメ! ダメです!!」
でもカイルは我慢出来なかったのか一瞬だけぎゅっと抱き締められ、すぐ解放された。
「レイリアが嫌なことは極力したくない。だけど、本当はキスやそれ以上の事もしたい。私がそう思ってる事は心に留めておいてくれ。お休み、レイリア。いい夢を」
「お、お休みなさい……」
カイルが出て行って、静かに扉が閉まる。
僕はどっと疲れて、ベッドに倒れ込んだ。
「はあ~~~っ……」
何言っちゃってるんだ、自分!
どうしてあんな事言っちゃったんだ!?
……本当に気をつけなきゃ……。
凄く疲れていて瞼が自然と閉じてくる。
僕はすうっと眠りに落ちた。
◇
「このペンダントは外さないように。魔力を込めれば私に繋がるから」
「綺麗……」
カイルの手の中にあるペンダントの碧い魔石を見て、ほうっと息を吐いた。
思わず告白してしまった日から数日後。
出掛ける前の玄関ホールで、カイルに通信の魔導具のペンダントをつけてもらおうとしていた。
カイルが僕の後ろにまわり、首筋にカイルの息がかかる。
妙な気分になりそうで、落ち着かない。
これから馬に乗る時も密着するので、あんまり意識しないようにしなきゃ。
すっかりカイルに絆されてるような気がする。
でも惹かれていく心を否定することは難しかった。
「レイリア、抱き締めさせてくれ」
「い、イヤです……」
色々あった一日も日が変わろうとしている。
僕に与えられた部屋に、カイルが入ってきた。
「そうか?」
「う……だって」
「だって?」
「もっとドキドキしちゃうから……」
「私もしてる」
カイルは柔らかく微笑んで、僕の手を取って自分の心臓に当てた。
「分かるか? 同じだな」
「……好き」
ぼ、僕は何を!?
自分の口から思わずこぼれた一言が信じられなくて、慌てて首を左右に振った。
男にモテてもな、なんて思っていたのに、まさか男に……カイルに好きと言うなんて……!
カイルは驚いたように目を大きく見開いていた。
「な、なし! 今のなしです!」
「聞いてしまった。レイリア、嬉しいよ。私も同じ気持ちだ。君が好きだ。愛してる! やはり、抱き締めたい」
「ダメ! ダメです!!」
でもカイルは我慢出来なかったのか一瞬だけぎゅっと抱き締められ、すぐ解放された。
「レイリアが嫌なことは極力したくない。だけど、本当はキスやそれ以上の事もしたい。私がそう思ってる事は心に留めておいてくれ。お休み、レイリア。いい夢を」
「お、お休みなさい……」
カイルが出て行って、静かに扉が閉まる。
僕はどっと疲れて、ベッドに倒れ込んだ。
「はあ~~~っ……」
何言っちゃってるんだ、自分!
どうしてあんな事言っちゃったんだ!?
……本当に気をつけなきゃ……。
凄く疲れていて瞼が自然と閉じてくる。
僕はすうっと眠りに落ちた。
◇
「このペンダントは外さないように。魔力を込めれば私に繋がるから」
「綺麗……」
カイルの手の中にあるペンダントの碧い魔石を見て、ほうっと息を吐いた。
思わず告白してしまった日から数日後。
出掛ける前の玄関ホールで、カイルに通信の魔導具のペンダントをつけてもらおうとしていた。
カイルが僕の後ろにまわり、首筋にカイルの息がかかる。
妙な気分になりそうで、落ち着かない。
これから馬に乗る時も密着するので、あんまり意識しないようにしなきゃ。
すっかりカイルに絆されてるような気がする。
でも惹かれていく心を否定することは難しかった。
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