フィッツバーグ侯爵子息は婚約者の王太子と関わらないことにした

hina

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僕はミラン・フィッツバーグ。フィッツバーグ侯爵家の三男で十五歳。
でも精神年齢は十八歳。

それはなぜか。
僕は三年ほど時間の巻き戻りを経験したのだ。


思い返すのは、断罪された時のこと────。






「ミラン・フィッツバーグ! 神子ティアに対する無礼の数々と、ティアを二階の窓から突き落とそうとした事、到底許せるものではない! よってお前との婚約を破棄し、北の修道院に送ることとする!」
「そんな! 誤解です! 僕の話を聞いてください!」
「どうせ言い訳だろう! 今更何を言ったところで決定は覆らない。修道院からは一生出られないから覚悟するんだな」

ネイシス様が高らかに宣言する。

僕は王太子殿下ネイシス様の婚約者で、度々ネイシス様に近付こうとする神子を窘めてきた。
でも窓から突き落とそうとしたことはない。ただ一ヶ月くらい前、窓の近くで神子にぶつかってしまったことならあるけれど、何事もなかった。
それを今更持ち出されても、僕にはどうしていいのやら。

僕は疲れてしまった。
いくら頑張ってもネイシス様には顧みられず、冷たくされ。

ただ愛されたかっただけなのに。

北の修道院はそれはそれは厳しい環境だと聞く。

優しい家族にも迷惑をかけてしまうし、僕なんて……。


その日僕は断罪された学院の年末のパーティーを抜け出し、待っていた家の馬車に乗らず、徒歩で学院を出てあてもなくふらふらと街を歩き、夜の川に身を投げた。






そしてそっと目を開ければ、なぜか三年前に戻っていた。

今の時点でネイシス様との婚約は破棄されていないけど、もうネイシス様と神子に関わるのはやめようと思う。
ほっといても神子と仲良くするはずのネイシス様とは婚約解消になるだろう。

同性同士でも子供が出来る世界、でもネイシス様の好みが神子みたいな人だっただけ……ただそれだけ。

だから僕は僕でもうネイシス様には縛られないことにする。
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