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トントントンと腕、腰、脛を木刀で叩かれて、俺はバランスを崩して地面に手をついた。

「全然ダメですね」

隙だらけなのは全身のようで、他の場所も打ち込まれまくっていた。

「スバルは頑張ってるさ」
「でもイーサンの足元にも及ばない……」
「俺は小さい頃から剣を握っているからな」
「でも悔しいです」
「その気持ちが大事だ」
柔らかく微笑むイーサンを見上げて、差し出された手を握った。

「もう少し手合わせして今日は終わりにしよう」
「はいっ」

その後もイーサンの剣を避ける事は出来なくて、でも俺は降参はしなかった。






「そんなに貰えませんっ」
「十万ヴェーヌだよ? 大金貨二枚だよ。今回の報酬なんだから受け取って」
「大金貨が使いづらいなら金貨で渡そうか?」
「いえ、そういう問題じゃなくて……ただ付いて行っただけなのに、十万ヴェーヌも受け取るわけにはいかないと言ってるんです」
「でも五十万ヴェーヌがギルドの報酬で、僕達も個人の分は十万ヴェーヌだから、スバルも同じでいいんじゃないかな」
「俺が二人の取り分と同じなのはおかしいですって」
「お金はあっても困らないだろ? 持ち歩くのが嫌ならギルドに預けるか、グレンの無限収納にしまっておくかでもしたらいいんだし。もらっておいてくれ」
「でも……」
ダンジョン攻略した報酬の分け方で行き違うとは思っていなかった。
一万ヴェーヌでも多いかなと思うくらいなのに、十万ヴェーヌも貰うわけにはいかない。
どうしたら分かってもらえるだろうと悩みながら、ギルドの片隅で困り果てる。

「スバルだって、自分の剣なんかもそのうち欲しくなるんじゃないか? 今から貯めておくのも悪くないだろ?」
「そ、それは……」
剣っていくらくらいするものなんだろうか。高いのは確かなんだろうけど……。
「なら、決まりだね。とりあえず、僕がお金を預かっておくから、欲しいものや必要なものがある時は言ってね」
「え、あ、あの……」
「ん、まだ何かあるか?」
「い、いえ……」

二人の連携には太刀打ち出来なかった。
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