異世界転移したら二人の獣人に出会って旅に同行することになりました

hina

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「じゃあ、魔法を使ってみよう。簡単な回復魔法をかけてもらおうかな」

早速次の日。今度は魔法の実践だ。
ついに俺も魔法を使ってみることが出来る。うまくいくかな、少し不安。

グレンが風魔術で左手の甲に傷を作った。
「え、痛い痛い」
当事者でもないのに、俺は代弁しながら慌てる。
「大丈夫。集中して、体に流れる魔力を感じて」
「魔力を感じる……?」
「血と共に巡ってるよ。脈を辿ってみるといいかな。それを手のひらに集めるイメージで」
「はい。やってみます」

グレンに言われるまま、血が流れる中に力がないか探ってみる。
巡る血の熱い部分が手に集まるイメージで集中してみたら、手に白い光が灯った。

「治ってと念じてみて」
「治って……」
目を閉じて、グレンの傷を光で包み込んだ。


「うん。よく出来ました」
「え、治ってる?」
「治ってるよ。ありがと、スバル」
「で、出来た! 俺にも使えた!」
「初めてにしては上出来だね」
グレンに頭を撫でられながらも、ガッツポーズをした。

「光が強かったし、魔力も豊富だし、精霊の助けも沢山ありそうだから、練習すれば魔法で深い傷でも治せるようになるかもね」
「本当ですか!? やった! 二人の役に立てる!」
「僕達の役に……? スバル、そんな事考えてたの? 抱き締めていい?」
グレンが目を見開いて、俺に手を伸ばしてきた。
イーサンは辺りの見回りに行ってるからこの場にいない。止めてくれる人がいないわけで。
俺は否を言う前に、グレンに抱きしめられてしまっていた。

「く、苦しい……離してー」
「ごめん、つい嬉しくて」

ぎゅうと抱きしめられて、力は緩んだけどまだ腕の中から開放してくれない。

「グレン、何をしている」

そんな時にタイミング悪くイーサンが戻ってくるわけで。
事情を説明したグレンと替わるようにイーサンにも抱きしめられてしまうのだった。
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