異世界転移したら二人の獣人に出会って旅に同行することになりました

hina

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「はあ、美味しかった! ご馳走様でした!」
「お腹いっぱいになった?」
「はい! 食べ過ぎました」

夕食に凄く混んでるレストランで海老グラタンとイーサンとグレンが頼んだ色んな料理を少しずつ食べた俺は、満腹で二人とホテルまでの道を行く。

二人はビールをたくさん飲んでいたけど、お酒に強いみたいで酔った様子はない。
俺はまだ飲めないから、オレンジの果実入り炭酸水で喉を潤した。

今日は買い物を沢山した。服もそうだし、寝具も一式だし、靴や木刀まで購入した。
靴を買う時に俺のスニーカーを見た店員さんが「珍しい素材とデザインですね」と言ってきて、凄く焦った。
グレンがうまく誤魔化してくれたけど、この世界にはないものだからなあ。

イーサンとグレンは俺がどこから来たのか聞かないでくれてるけど、薄々勘付いているのかもしれない。

もし俺一人だったら、何の憂いもなくここまでこられなかっただろう。

二人には感謝しかない。


部屋を押さえたホテルは高級宿で、部屋には三人で寝られる大きなベッドが鎮座していて、ここでもかと思った。
浴室に浴槽があったから、ゆっくりお風呂に入れるのは嬉しい。安い宿だとシャワーだけということもあるらしい。
浄化魔術もいいんだけど、それだけだと気になることもあるし。


「明日は別の街に転移するからな。転移陣に酔うかもしれないから、今日はゆっくり休んでな」

イーサンがフードの上から俺の頭を撫でる。

「どこに行くんですか?」
「ここは西大陸の西側に位置しているが、大陸の中央にある街に行く。街の近くに新たなダンジョンが出来たと言われていたから、確かめに行く」
「ダンジョン……! わかりました。お供します」
「そんなに深くはなさそうだとも言われていたけどね」
「多分ボスはまだ倒されてないだろうし、ダンジョンから魔物が出てくることもあるからな。早く潰した方がいいだろ」
「そうだね。でもスバルが仲間になったことだし、慎重にいこう」
「あまり深くなるようなら、撤退は考えておこう」
「ん。深さはボスの強さにも関係してるからね。ボス部屋は一度入ったら倒すまで出られないし」
「ダンジョンにも色々気をつけなきゃいけないことがあるんですね」
「スバルがいた所にはダンジョンなかった?」
「ありませんでした」
「そっか。運が良かったんだね」
「え、えと……はい」

洞窟とかはあったんだけどね。でももちろん、魔物は出ない。


ダンジョンなんてまさしく異世界だと思いながら、俺は月みたいな衛星を見上げた。
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