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「もういいぞ。手を離して、目を開けてくれ」
「はい。……あの?」
三人が妙な雰囲気になっていることに首を傾げる。
「とりあえずスバルが色々危ないことは分かった。イーサンとグレンに何かあって困った時は、俺を頼ってくれ」
「え……」
そんなことあって欲しくないけど、冒険者は危険がつきものだもんな……。
「スバルには俺とグレンの家族もそのうち紹介するつもりだから、もしもの時は俺達の家族やニコラスに知らせてくれ」
「あ、はい……」
「心配ないよ。無理はしないつもりだから」
グレンが俺の頭を撫でる。
俺のステータスのことを聞こうと思ったのに、それどころじゃなくなってしまった。
でも二人がやられて俺だけ助かるなんてことはなさそうだと思うけど、俺はそれを言い出せなかった。
◇
「口座も一緒に開設されてるなんて思いませんでした」
ギルドで売っていたチェーンネックレスに通された俺の名前とランクが彫られたタグを首に下げて、テンション高くイーサンとグレンに話しかけた。
「報酬が結構な額になることも多々あるし、依頼には報酬がつきものだから必要なんだよね」
グレンが笑って教えてくれる。
「そっか。そうですね……でもランク差がありすぎてパーティを組めなかったことは残念でした」
「スバルはGランクだからな。ギルドとしてはSランクの依頼を一緒に受けさせるわけにはいかないんだろ。でも俺達に着いてきてくれな。戦闘には参加させないけど」
イーサンが俺の肩を抱いて、見上げた俺の前髪にキスをする。
ギルドから出て、今は服屋さんに向かっている。
「俺、剣も鍛錬しますし、その前に光魔術が使えるようになったら後ろから回復させて下さい」
「離れてても魔術が届くように特訓しないといけないよ?」
「頑張ります……!」
「スバル、可愛い」
グレンからも前髪にそっとキスされて、俺の顔は赤くなってしまう。
「もう、二人ともこんなところでキスしないで下さい!」
「こんなところじゃなければいいのか?」
「もっとしたいんだけど……」
二人はニヤけながら俺を見る。
俺は憤慨して、二人を睨んだ。
「ダメです! というか、何で俺なんかにキスなんてするんですか!?」
「スバルが魅力的だから」
「愛情表現だよ」
イーサンもグレンも何でもない様子でそんな事を言うので、俺が間違ってるのかと思ってしまう。
けど、そんなはずない。
「俺、男ですよ?」
「だから? 男同士でもスキンシップは普通だろ?」
「え!?」
「ん?」
それから俺はこの世界の性事情や結婚の制度を二人から聞いて焦ったのだった。
「はい。……あの?」
三人が妙な雰囲気になっていることに首を傾げる。
「とりあえずスバルが色々危ないことは分かった。イーサンとグレンに何かあって困った時は、俺を頼ってくれ」
「え……」
そんなことあって欲しくないけど、冒険者は危険がつきものだもんな……。
「スバルには俺とグレンの家族もそのうち紹介するつもりだから、もしもの時は俺達の家族やニコラスに知らせてくれ」
「あ、はい……」
「心配ないよ。無理はしないつもりだから」
グレンが俺の頭を撫でる。
俺のステータスのことを聞こうと思ったのに、それどころじゃなくなってしまった。
でも二人がやられて俺だけ助かるなんてことはなさそうだと思うけど、俺はそれを言い出せなかった。
◇
「口座も一緒に開設されてるなんて思いませんでした」
ギルドで売っていたチェーンネックレスに通された俺の名前とランクが彫られたタグを首に下げて、テンション高くイーサンとグレンに話しかけた。
「報酬が結構な額になることも多々あるし、依頼には報酬がつきものだから必要なんだよね」
グレンが笑って教えてくれる。
「そっか。そうですね……でもランク差がありすぎてパーティを組めなかったことは残念でした」
「スバルはGランクだからな。ギルドとしてはSランクの依頼を一緒に受けさせるわけにはいかないんだろ。でも俺達に着いてきてくれな。戦闘には参加させないけど」
イーサンが俺の肩を抱いて、見上げた俺の前髪にキスをする。
ギルドから出て、今は服屋さんに向かっている。
「俺、剣も鍛錬しますし、その前に光魔術が使えるようになったら後ろから回復させて下さい」
「離れてても魔術が届くように特訓しないといけないよ?」
「頑張ります……!」
「スバル、可愛い」
グレンからも前髪にそっとキスされて、俺の顔は赤くなってしまう。
「もう、二人ともこんなところでキスしないで下さい!」
「こんなところじゃなければいいのか?」
「もっとしたいんだけど……」
二人はニヤけながら俺を見る。
俺は憤慨して、二人を睨んだ。
「ダメです! というか、何で俺なんかにキスなんてするんですか!?」
「スバルが魅力的だから」
「愛情表現だよ」
イーサンもグレンも何でもない様子でそんな事を言うので、俺が間違ってるのかと思ってしまう。
けど、そんなはずない。
「俺、男ですよ?」
「だから? 男同士でもスキンシップは普通だろ?」
「え!?」
「ん?」
それから俺はこの世界の性事情や結婚の制度を二人から聞いて焦ったのだった。
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