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hina

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発情期で二キロ近く痩せた。
朝日さんと発情期を過ごした方が良かったかなあと、何回か思った。
αと過ごす発情期は満たされて幸せなんだろうか……。発情は軽く済むのか、気になる……けど。

実家のある北陸から都内の寮に戻ってきた僕は、荷物を片付けながら、明日にせまった朝日さんとの約束を思った。

朝日さんも都内の高校に通っていて、なんと都内で一人暮らししているらしい。
いきなりお家デートしようと言われて、住所を教えられたけど、良いんだろうか……何より。

「都心の一等地……何かやな予感しかしない」

ふうーとため息をついて、両手で頬を押さえた。
小さく首を振って、余計なことを考えないように目を瞑った。

目を開けて、片付けを再開する。

小型端末にメッセージが届いたので見てみると、会う約束をした日にリアルの連絡先を交換した朝日さんだった。

〈無事寮に着いた?〉
〈はい。今荷物の片付けしてました〉
〈そっか。お疲れ様。今日もFTOで会える?〉
〈今日は移動で疲れたし、明日に備えて早く寝るので、ごめんなさい〉
〈わかった。ゆっくり休んでね。明日が待ち遠しいよ〉
〈緊張します……〉
〈はは。リラックスしてもらえるように頑張るよ〉
〈どうしても緊張はするかも〉
〈実は俺も〉


朝日さんも気持ちは一緒だと思うと、ちょっと安心した。








「虎くん……会いたかった」
「朝日さん……」

やっぱり朝日さんはlink.の旭だった。

「丹羽旭(にわあさひ)です。あさひは、九に日の旭が正式な漢字なんだ。虎くんの本名は?」
「奈良龍之介です。龍の漢字は複雑な方です」
「じゃあ、龍って呼ぶね」


住所を頼りにたどり着いたのはM区の高級そうな中層マンションだった。

あえてlink.の事は調べないようにしていたけど、FTOで聞こえていた声も、link.の旭の声も、インターホンから聞こえてきた声も全部同じだった。

もちろん、今聞いてる声も。


「もっと驚かれるかと思った……俺のこと知らないわけじゃないよね……?」
「link.の旭ですよね」
「うん」
「テレビでやってたlink.のデート企画を見たんです。その時からもしかしたら……って思ってて……」

リビングに通されて、濃紺色のソファに座るように促される。

「そうだったんだ。……龍の事は俺が守るから、俺と付き合って下さい」
「え……」
「デートしてから言おうと思ってたんだけど、我慢出来なかった……」
「ちょっと考えさせて下さい……」
「うん。返事は待つよ。俺のことももっと知って欲しいし」

すぐに返事は出来ないけど、葡萄のような爽やかな香りの旭さんのフェロモンを吸い込んで、あぁ、好きだな……と改めて感じていた。
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