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えーっと……。装備変更の決定はどこだろう。
僕は奈良龍之介。
Ωの高校一年生。
夏休みに入り、親友の颯くんに勧められて、VRMMOゲーム、フェアリーテイルオンライン──FTOを始めた。
そのゲームの中で、操作方法に悩んでいた。
だだっ広い草原の真ん中、チュートリアルを思い出してみたけれど、何となくで流していたから、いまいちやり方がおぼつかない。
ヘルプに載ってるかな? 適当に触ってみるしかないかなあ……。
しばらく立ち尽くしていると、突如声をかけられた。
「どうしたの?」
振り返って声がした方を見てみると、美形なお兄さんがいた。
ミルクティーみたいな薄茶色の髪に薄いミントグリーンの瞳。
背が高くて、太くはないけどしっかりと筋肉のある身体つき。
身長が百六十五センチしかなくて、細い棒のような僕とは何もかもが違う。
それに、どこかで見たことあるような……?
どこで見たんだろう。
「大丈夫?」
「え、あ、はい。ちょっと操作方法が分からなくて困ってました」
「操作方法? 教えようか?」
「すみません。お願いできますか?」
「うん。で、何がわからないの?」
「装備変更したいんですけど、どこで決定をしたらいいのかなって……」
「ああ。それなら、装備変更した後に────」
◇
「はあ……かっこよかったな。もっと仲良くなりたいな」
実家の自分の部屋でヘッドセットを外した僕は、ソファにぽすんと横になってため息を吐いた。
知り合った彼の名前は朝日さん。操作方法を教えてもらった後、クエストで草原に生息する兎を捕獲する朝日さんと一緒に草原のモンスターを倒したり、はじまりの街に戻ってレストランで一緒に食事もしたし、フレンドにもなった。
二個上だという彼は夏休みでもリアルが色々と忙しいらしく、ログインは基本的には深夜になってしまうと言っていた。
合わせるのは大変かな……と考えながら、ヘッドセットを充電器に置いた。
朝日さんと一緒に遊ぶとしても、足を引っ張らないようにもう少しFTOをやり込んだ方がいいかもしれない。
颯くんに頼んでもうちょっとゲームのことを教えてもらおうと、僕はローテーブルに置いてあった小型端末を取ってメッセージを打ち始めた。
僕は奈良龍之介。
Ωの高校一年生。
夏休みに入り、親友の颯くんに勧められて、VRMMOゲーム、フェアリーテイルオンライン──FTOを始めた。
そのゲームの中で、操作方法に悩んでいた。
だだっ広い草原の真ん中、チュートリアルを思い出してみたけれど、何となくで流していたから、いまいちやり方がおぼつかない。
ヘルプに載ってるかな? 適当に触ってみるしかないかなあ……。
しばらく立ち尽くしていると、突如声をかけられた。
「どうしたの?」
振り返って声がした方を見てみると、美形なお兄さんがいた。
ミルクティーみたいな薄茶色の髪に薄いミントグリーンの瞳。
背が高くて、太くはないけどしっかりと筋肉のある身体つき。
身長が百六十五センチしかなくて、細い棒のような僕とは何もかもが違う。
それに、どこかで見たことあるような……?
どこで見たんだろう。
「大丈夫?」
「え、あ、はい。ちょっと操作方法が分からなくて困ってました」
「操作方法? 教えようか?」
「すみません。お願いできますか?」
「うん。で、何がわからないの?」
「装備変更したいんですけど、どこで決定をしたらいいのかなって……」
「ああ。それなら、装備変更した後に────」
◇
「はあ……かっこよかったな。もっと仲良くなりたいな」
実家の自分の部屋でヘッドセットを外した僕は、ソファにぽすんと横になってため息を吐いた。
知り合った彼の名前は朝日さん。操作方法を教えてもらった後、クエストで草原に生息する兎を捕獲する朝日さんと一緒に草原のモンスターを倒したり、はじまりの街に戻ってレストランで一緒に食事もしたし、フレンドにもなった。
二個上だという彼は夏休みでもリアルが色々と忙しいらしく、ログインは基本的には深夜になってしまうと言っていた。
合わせるのは大変かな……と考えながら、ヘッドセットを充電器に置いた。
朝日さんと一緒に遊ぶとしても、足を引っ張らないようにもう少しFTOをやり込んだ方がいいかもしれない。
颯くんに頼んでもうちょっとゲームのことを教えてもらおうと、僕はローテーブルに置いてあった小型端末を取ってメッセージを打ち始めた。
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