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「仕方ありませんね。交際を認めます。でもギルドメンバーにはなるべく言いふらさないように」
「有難う御座います、レイさん!」
FTO月蝕ギルドホームの一室。
僕達三人はソファに座って話をしていた。隣同士の僕と優真とテーブルを挟んで向かいに座ったあともう一人、長い黒髪に青い瞳の男性は月蝕サブマスのレイさん。優真とギルドの共同管理をしているインテリ系のお兄さんだ。
何でも優真とは幼馴染で、同じ高校に通っているそうだ。
優真はαばかりの名門私立高に通っているので、レイさんももれなくαだろう。
Ωクラスのある僕の学校とは、同じ私立でも何もかも違いそうだ。
「ゲーム内でデートするとなると完全に隠し通すことは無理でしょうから、節度を守って付き合って下さいね。反感を買うようなことは慎んで下さい」
「ずっと俺の個人ホームに籠ろうか」
「一緒に綺麗な景色を見たりしたいです……」
「あー……そうだな。おねだりを聞かないわけにはいかないな」
「空くんの手の平の上ですね」
くくくとレイさんが笑って、優真は握っていた僕の手をより強くぎゅっとした。
優真の個人ホームに籠るとなればまたエロいことをされかねないから、僕だって必死だ。
昨今のVRは感覚も伝わるから、ゲーム内でも困るのだ。
大人のグッズもあるらしいけど、十八歳以下では手に入れられないし、ゲームの中では濡れないので、挿入が厳しいのも大問題なのだ。
「今度私とも現実で会いましょう。縁の秘密を教えてあげますよ」
「何だろう、楽しみです!」
「レイ、俺の空に変なこと吹き込むなよ」
「さあ。どうしましょうか」
「タチが悪い」
こうしてサブマスの許可を得た優真と僕はゲーム内でも交際をスタートさせたのだった。
◇
「見応えあったな」
「作品数、多かったよね。優真は気に入った作品あった?」
夏休みにリアルで何度も会って、突発ヒートも二人で乗り越えて、今日ようやく当初の目的だった美術館に行くことが出来た。手にはしっかり記念に買った美術展の柄違いのマグカップの入った袋を提げている。
「俺はあの──」
この後はまた別邸に行ってまた、その……身体を重ねる予定だ。
初めて会ったあの日の翌日、僕のフェロモンは安定して家に帰ることが出来た。突発ヒートはすぐ落ち着くみたいで、胎の奥でαの精を受けたらさらに効果抜群らしいので、僕は病院に避妊薬を貰いに行って、ヒートに備えていた。
優真は噛みたがるけどまだネックガードは外していない。このまま交際が続けばそのうちと思っているので、暫くはお預けだ。
ゲーム内でもリアルでも僕達の交際は順調で、日々色んな感動を共有している。
僕が高校を卒業したら、優真と部屋を探して一緒に住もうと約束もした。
そんなこんなで、僕は今幸せを噛み締めている。
VRMMOを始めて心底良かったと思ってます。
「有難う御座います、レイさん!」
FTO月蝕ギルドホームの一室。
僕達三人はソファに座って話をしていた。隣同士の僕と優真とテーブルを挟んで向かいに座ったあともう一人、長い黒髪に青い瞳の男性は月蝕サブマスのレイさん。優真とギルドの共同管理をしているインテリ系のお兄さんだ。
何でも優真とは幼馴染で、同じ高校に通っているそうだ。
優真はαばかりの名門私立高に通っているので、レイさんももれなくαだろう。
Ωクラスのある僕の学校とは、同じ私立でも何もかも違いそうだ。
「ゲーム内でデートするとなると完全に隠し通すことは無理でしょうから、節度を守って付き合って下さいね。反感を買うようなことは慎んで下さい」
「ずっと俺の個人ホームに籠ろうか」
「一緒に綺麗な景色を見たりしたいです……」
「あー……そうだな。おねだりを聞かないわけにはいかないな」
「空くんの手の平の上ですね」
くくくとレイさんが笑って、優真は握っていた僕の手をより強くぎゅっとした。
優真の個人ホームに籠るとなればまたエロいことをされかねないから、僕だって必死だ。
昨今のVRは感覚も伝わるから、ゲーム内でも困るのだ。
大人のグッズもあるらしいけど、十八歳以下では手に入れられないし、ゲームの中では濡れないので、挿入が厳しいのも大問題なのだ。
「今度私とも現実で会いましょう。縁の秘密を教えてあげますよ」
「何だろう、楽しみです!」
「レイ、俺の空に変なこと吹き込むなよ」
「さあ。どうしましょうか」
「タチが悪い」
こうしてサブマスの許可を得た優真と僕はゲーム内でも交際をスタートさせたのだった。
◇
「見応えあったな」
「作品数、多かったよね。優真は気に入った作品あった?」
夏休みにリアルで何度も会って、突発ヒートも二人で乗り越えて、今日ようやく当初の目的だった美術館に行くことが出来た。手にはしっかり記念に買った美術展の柄違いのマグカップの入った袋を提げている。
「俺はあの──」
この後はまた別邸に行ってまた、その……身体を重ねる予定だ。
初めて会ったあの日の翌日、僕のフェロモンは安定して家に帰ることが出来た。突発ヒートはすぐ落ち着くみたいで、胎の奥でαの精を受けたらさらに効果抜群らしいので、僕は病院に避妊薬を貰いに行って、ヒートに備えていた。
優真は噛みたがるけどまだネックガードは外していない。このまま交際が続けばそのうちと思っているので、暫くはお預けだ。
ゲーム内でもリアルでも僕達の交際は順調で、日々色んな感動を共有している。
僕が高校を卒業したら、優真と部屋を探して一緒に住もうと約束もした。
そんなこんなで、僕は今幸せを噛み締めている。
VRMMOを始めて心底良かったと思ってます。
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