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◇
「瑠衣を待ってる間に屋台で焼きそばとたこ焼き買ってきたよ!」
「おー! 食べよ食べよ!」
「二人と合流出来て良かったー」
「鍛錬場凄い人だったよね」
「うん。潰されるかと思った」
「瑠衣ならあり得る」
千寿と義政と鍛錬場から少し離れた裏庭で合流できた僕は、ベンチに三人で座って、千寿が買ってきてくれた焼きそばとたこ焼きを受け取って、まずはたこ焼きのパックを開けた。
「まだ熱々!」
「うまっ。やっぱ屋台のたこ焼きは美味いな」
「焼きそばもありますぜ!」
「屋台混んでた?」
「お昼にはまだ早いし、ちょっと並んだくらいかな」
文化祭と違って魔法祭の屋台は生徒が運営するものじゃないけど、一般客もいるのでそれなりに盛況らしい。
たこ焼きを食べ切った僕は、焼きそばに手を付ける。
「この後どうする? 鍛錬場また見に行く?」
「潰されたくないなあ」
「今日は自由行動してても怒られないし、教室で待機しよう」
「うん、わかった。しょうがないね。過密状態はツラいし」
「魔法を見るのは楽しいし勉強になるんだけどね」
「うん」
「そうだな」
僕は自販機で買ったペットボトルの炭酸を飲んで、ひと息ついた。
「はあ。美味しい。千寿、ありがとね」
「俺からも感謝のしるしに後でいいものをやろう」
義政がしたり顔で千寿を見る。
「えっ、なんだろう」
「楽しみにしておいて」
「はぁい」
それが当たりつきアイスでもう一本もらったアイスだったって千寿から聞いたのは、後日のこと。
義政らしいなあ。
◇
「今日どうだった?」
「楽しかったよ。みんなも楽しんでたし、大成功、だったんじゃないかな……」
「じゃあ、いい?」
「やだって言ったら?」
「瑠衣は約束を破るのか?」
「そもそも約束してないと思うんだけど……」
「瑠衣のケチ」
「とは言っても僕のファーストキスなんだけど……」
すっかり外は暗くなった放課後。色々と忙しかったんだろう泰雅は、人のいない校舎に僕を呼び出した。
「そっか。嬉しい」
廊下の明かりの下で、泰雅が僕に近付く。
僕は近付いたぶん、離れようか迷って、結局動かなかった。
泰雅は頑張った。
それは認めようと思う。
「瑠衣、目閉じて」
「ん……」
目を閉じるとすぐに柔らかい感触が唇を覆った。
「はぁ……幸せ。瑠衣……」
包み込むようにふわっと抱きしめられて、もう一度泰雅の顔が近付いてくる。
僕は容赦なく泰雅の唇を手で制すと、泰雅が僕の手をぺろりと舐めた。
「な、なにす……!」
「瑠衣。お願い、キスさせて」
「もうしただろ!」
「足りない」
「知らないよ!」
泰雅と分かり合える日は来るのだろうか。
純粋に疑問だ。
「瑠衣を待ってる間に屋台で焼きそばとたこ焼き買ってきたよ!」
「おー! 食べよ食べよ!」
「二人と合流出来て良かったー」
「鍛錬場凄い人だったよね」
「うん。潰されるかと思った」
「瑠衣ならあり得る」
千寿と義政と鍛錬場から少し離れた裏庭で合流できた僕は、ベンチに三人で座って、千寿が買ってきてくれた焼きそばとたこ焼きを受け取って、まずはたこ焼きのパックを開けた。
「まだ熱々!」
「うまっ。やっぱ屋台のたこ焼きは美味いな」
「焼きそばもありますぜ!」
「屋台混んでた?」
「お昼にはまだ早いし、ちょっと並んだくらいかな」
文化祭と違って魔法祭の屋台は生徒が運営するものじゃないけど、一般客もいるのでそれなりに盛況らしい。
たこ焼きを食べ切った僕は、焼きそばに手を付ける。
「この後どうする? 鍛錬場また見に行く?」
「潰されたくないなあ」
「今日は自由行動してても怒られないし、教室で待機しよう」
「うん、わかった。しょうがないね。過密状態はツラいし」
「魔法を見るのは楽しいし勉強になるんだけどね」
「うん」
「そうだな」
僕は自販機で買ったペットボトルの炭酸を飲んで、ひと息ついた。
「はあ。美味しい。千寿、ありがとね」
「俺からも感謝のしるしに後でいいものをやろう」
義政がしたり顔で千寿を見る。
「えっ、なんだろう」
「楽しみにしておいて」
「はぁい」
それが当たりつきアイスでもう一本もらったアイスだったって千寿から聞いたのは、後日のこと。
義政らしいなあ。
◇
「今日どうだった?」
「楽しかったよ。みんなも楽しんでたし、大成功、だったんじゃないかな……」
「じゃあ、いい?」
「やだって言ったら?」
「瑠衣は約束を破るのか?」
「そもそも約束してないと思うんだけど……」
「瑠衣のケチ」
「とは言っても僕のファーストキスなんだけど……」
すっかり外は暗くなった放課後。色々と忙しかったんだろう泰雅は、人のいない校舎に僕を呼び出した。
「そっか。嬉しい」
廊下の明かりの下で、泰雅が僕に近付く。
僕は近付いたぶん、離れようか迷って、結局動かなかった。
泰雅は頑張った。
それは認めようと思う。
「瑠衣、目閉じて」
「ん……」
目を閉じるとすぐに柔らかい感触が唇を覆った。
「はぁ……幸せ。瑠衣……」
包み込むようにふわっと抱きしめられて、もう一度泰雅の顔が近付いてくる。
僕は容赦なく泰雅の唇を手で制すと、泰雅が僕の手をぺろりと舐めた。
「な、なにす……!」
「瑠衣。お願い、キスさせて」
「もうしただろ!」
「足りない」
「知らないよ!」
泰雅と分かり合える日は来るのだろうか。
純粋に疑問だ。
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