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「瑠衣……?」
「あ、ううん。なんでもない」
訝しげに僕を見ていた泰雅に首を横に振る。
もっと切り出し方はあったはずだけど、言ってしまったものは仕方ない。
「いや、避けてたと言うか……」
「……。避けられてた」
拗ねたように言うと、泰雅は視線を逸らしながら話し出した。
「生徒会が忙しいのは本当だし」
「じゃあ、何が嘘なんだ」
「嘘はついてない」
「でも会いに行っても適当にあしらわれた」
「それは……、生徒会が落ち着くまで、瑠衣とはちょっと距離をおこうと思っただけで……」
「今もそう思ってるってこと?」
「まあ、多少は」
「僕のこと、迷惑?」
「なわけないだろ!」
「中等部で生徒会長してただって、ここまでじゃなかった」
泰雅から発せられる言葉は、僕が予想してなかったものばかりで。
「俺は……瑠衣に求められる男になりたくて、来週の魔法祭を成功させたら、瑠衣も少しは俺のこと認めてくれるかと思って……」
「なら先にそう言ってくれれば! 急に態度変えられたら、何かしちゃった!? って考えちゃうだろ!」
つい大声をだしてしまった僕を泰雅が抱きしめた。
「ごめん、不安にさせたな」
「何だよ、馬鹿! 泰雅の馬鹿……」
抱きしめられたまま、泰雅の背で拳を握った僕は我慢出来ずに涙を滲ませた。
「俺と離れて寂しかった?」
「そ、そんなわけ……」
あるけど……。少し身体を離して僕の顔を覗き込みながらにやにや笑う泰雅が憎らしくて、泰雅の腕の中で暴れる。
「自分で決めたことだけど、瑠衣との触れ合いがない日常は虚しかったよ。俺は何のためにこうしてるんだっけって何度も考えた」
「なら、少しは僕に……」
「でも自分で決めた事だから。ただ、俺はやり過ぎたみたいだな。瑠衣を思い詰めさせちゃダメだ……。瑠衣、ごめん。愛してるよ」
先程よりもぎゅうと強く抱きしめられ、泰雅の顔が近付いてくる。
「キスはナシ」
「どうして」
僕は顔を背けて抵抗の意を示す。
このまま受け入れたら、なし崩しに最後までいってしまいそうな気がする。
「泰雅にはもっと反省して欲しいから!」
「瑠衣、魔法祭が成功したら、唇にキスしてもいい?」
「い……イヤ」
「しょうがない。今はこれで我慢しよう」
と言って、僕の目尻に浮かんでいた涙をキスで拭う泰雅。
「僕の話、聞いてないだろ!?」
「唇へのキス、楽しみにしてる」
「良いって言ってないんだけど!」
話が通じない!
……魔法祭はクラス対抗で魔法を披露する学校行事だ。一般客も入って、毎年とっても盛り上がる。
僕のクラスも六月に入ってから練習を重ねてきていた。
優勝……は難しいかもしれないけど、五位以内に入れたらいいな。
僕を抱きしめて離さない泰雅の肩をぽんぽんと叩いて、宥める。
どちらがより渇望していたか、なんて考えても無駄かもしれない。
僕も泰雅もお互いを求め合っていた。
それがわかっただけで、今回のことにも意味があったのかもしれない。
僕ももう少し素直になりたいけど、泰雅の前だとうまくいかないのはなぜだろうとも思いながら、この時は泰雅が満足するまで大人しくしていた。
「あ、ううん。なんでもない」
訝しげに僕を見ていた泰雅に首を横に振る。
もっと切り出し方はあったはずだけど、言ってしまったものは仕方ない。
「いや、避けてたと言うか……」
「……。避けられてた」
拗ねたように言うと、泰雅は視線を逸らしながら話し出した。
「生徒会が忙しいのは本当だし」
「じゃあ、何が嘘なんだ」
「嘘はついてない」
「でも会いに行っても適当にあしらわれた」
「それは……、生徒会が落ち着くまで、瑠衣とはちょっと距離をおこうと思っただけで……」
「今もそう思ってるってこと?」
「まあ、多少は」
「僕のこと、迷惑?」
「なわけないだろ!」
「中等部で生徒会長してただって、ここまでじゃなかった」
泰雅から発せられる言葉は、僕が予想してなかったものばかりで。
「俺は……瑠衣に求められる男になりたくて、来週の魔法祭を成功させたら、瑠衣も少しは俺のこと認めてくれるかと思って……」
「なら先にそう言ってくれれば! 急に態度変えられたら、何かしちゃった!? って考えちゃうだろ!」
つい大声をだしてしまった僕を泰雅が抱きしめた。
「ごめん、不安にさせたな」
「何だよ、馬鹿! 泰雅の馬鹿……」
抱きしめられたまま、泰雅の背で拳を握った僕は我慢出来ずに涙を滲ませた。
「俺と離れて寂しかった?」
「そ、そんなわけ……」
あるけど……。少し身体を離して僕の顔を覗き込みながらにやにや笑う泰雅が憎らしくて、泰雅の腕の中で暴れる。
「自分で決めたことだけど、瑠衣との触れ合いがない日常は虚しかったよ。俺は何のためにこうしてるんだっけって何度も考えた」
「なら、少しは僕に……」
「でも自分で決めた事だから。ただ、俺はやり過ぎたみたいだな。瑠衣を思い詰めさせちゃダメだ……。瑠衣、ごめん。愛してるよ」
先程よりもぎゅうと強く抱きしめられ、泰雅の顔が近付いてくる。
「キスはナシ」
「どうして」
僕は顔を背けて抵抗の意を示す。
このまま受け入れたら、なし崩しに最後までいってしまいそうな気がする。
「泰雅にはもっと反省して欲しいから!」
「瑠衣、魔法祭が成功したら、唇にキスしてもいい?」
「い……イヤ」
「しょうがない。今はこれで我慢しよう」
と言って、僕の目尻に浮かんでいた涙をキスで拭う泰雅。
「僕の話、聞いてないだろ!?」
「唇へのキス、楽しみにしてる」
「良いって言ってないんだけど!」
話が通じない!
……魔法祭はクラス対抗で魔法を披露する学校行事だ。一般客も入って、毎年とっても盛り上がる。
僕のクラスも六月に入ってから練習を重ねてきていた。
優勝……は難しいかもしれないけど、五位以内に入れたらいいな。
僕を抱きしめて離さない泰雅の肩をぽんぽんと叩いて、宥める。
どちらがより渇望していたか、なんて考えても無駄かもしれない。
僕も泰雅もお互いを求め合っていた。
それがわかっただけで、今回のことにも意味があったのかもしれない。
僕ももう少し素直になりたいけど、泰雅の前だとうまくいかないのはなぜだろうとも思いながら、この時は泰雅が満足するまで大人しくしていた。
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