七曜学園高等部

hina

文字の大きさ
上 下
15 / 27
1

15

しおりを挟む
避けられてる。

あれから二週間。僕がたどり着いた答えはそれだった。
会いに行っても適当な理由をつけられて追い返されるし、泰雅は1-Gだから、会いに行かないとすれ違うことすらなくて。
いくら生徒会が忙しいと言っても、中等部で生徒会長をしていた時だってここまでじゃなかった。

意図的に避けられてると思った方が自然だろう。

でもなんで?

僕、何かしちゃった?

いくら考えても泰雅の思ってることがわからなくて、直接聞くことも出来ていなくて、僕は困り果てていた。

魔導具での通信ももちろん減ってる。
こんなのは初めてだった。


ぽっかりと心に穴が空いたようだった。
泰雅の存在は僕の中で思っていたよりもすごく大きくて、この喪失感に耐えられるのか自信がない。

今日にでも泰雅に詰め寄ってしまいそうだ。


「才葉くん、お昼は学食で食べないの? 今日も生徒会の皆さんが全員揃っていて学食は熱狂してたよ。才葉くんは最近雨野さんと一緒じゃないよね。喧嘩でもした?」
お昼休み。トイレに行ってきた僕は教室に入ったところでクラスメイトに呼び止められた。

「あ、いや、あの。泰雅は生徒会で忙しいからって」
「そうなんだー。それは残念だね」
「う、うん」
にこっと笑いかけられたのに、そのクラスメイトの目は全然笑っていなくて、怖くて後ずさる。

「瑠衣、ちょっとちょっと」
「あ、うん。どうしたの、義政」
狼狽えていた僕の肩を義政が叩いた。


「瑠衣、気にすんなよ。雨野様もずっとこのままではいないさ」

クラスメイトから少し離れてから、義政が小声で話しかけてくる。

「かなあ……」
「だよ! 元気出せ!」
「うん、ありがとう」

自分の席についた僕は指輪の魔導具を起動させて、泰雅にメッセージを打ち込んだ。


〈土曜日、時間取ってくれないかな。話がある〉

しばらくして、指輪の宝石が光った。

〈分かった〉

その返事を見てホッとした僕は、頑張ろっと気合を入れ直した。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ある意味王道ですが何か?

ひまり
BL
どこかにある王道学園にやってきたこれまた王道的な転校生に気に入られてしまった、庶民クラスの少年。 さまざまな敵意を向けられるのだが、彼は動じなかった。 だって庶民は逞しいので。

いとしの生徒会長さま

もりひろ
BL
大好きな親友と楽しい高校生活を送るため、急きょアメリカから帰国した俺だけど、編入した学園は、とんでもなく変わっていた……! しかも、生徒会長になれとか言われるし。冗談じゃねえっつの!

天使様はいつも不機嫌です

白鳩 唯斗
BL
 兎に角口が悪い主人公。

僕のために、忘れていて

ことわ子
BL
男子高校生のリュージは事故に遭い、最近の記憶を無くしてしまった。しかし、無くしたのは最近の記憶で家族や友人のことは覚えており、別段困ることは無いと思っていた。ある一点、全く記憶にない人物、黒咲アキが自分の恋人だと訪ねてくるまでは────

禁断の祈祷室

土岐ゆうば(金湯叶)
BL
リュアオス神を祀る神殿の神官長であるアメデアには専用の祈祷室があった。 アメデア以外は誰も入ることが許されない部屋には、神の像と燭台そして聖典があるだけ。窓もなにもなく、出入口は木の扉一つ。扉の前には護衛が待機しており、アメデア以外は誰もいない。 それなのに祈祷が終わると、アメデアの体には情交の痕がある。アメデアの聖痕は濃く輝き、その強力な神聖力によって人々を助ける。 救済のために神は神官を抱くのか。 それとも愛したがゆえに彼を抱くのか。 神×神官の許された神秘的な夜の話。 ※小説家になろう(ムーンライトノベルズ)でも掲載しています。

悪役令息シャルル様はドSな家から脱出したい

椿
BL
ドSな両親から生まれ、使用人がほぼ全員ドMなせいで、本人に特殊な嗜好はないにも関わらずSの振る舞いが発作のように出てしまう(不本意)シャルル。 その悪癖を正しく自覚し、学園でも息を潜めるように過ごしていた彼だが、ひょんなことからみんなのアイドルことミシェル(ドM)に懐かれてしまい、ついつい出てしまう暴言に周囲からの勘違いは加速。婚約者である王子の二コラにも「甘えるな」と冷たく突き放され、「このままなら婚約を破棄する」と言われてしまって……。 婚約破棄は…それだけは困る!!王子との、ニコラとの結婚だけが、俺があのドSな実家から安全に抜け出すことができる唯一の希望なのに!! 婚約破棄、もとい安全な家出計画の破綻を回避するために、SとかMとかに囲まれてる悪役令息(勘違い)受けが頑張る話。 攻めズ ノーマルなクール王子 ドMぶりっ子 ドS従者 × Sムーブに悩むツッコミぼっち受け 作者はSMについて無知です。温かい目で見てください。

僕の平凡生活が…

ポコタマ
BL
アンチ転校生によって日常が壊された主人公の話です 更新頻度はとても遅めです。誤字・脱字がある場合がございます。お気に入り、しおり、感想励みになります。

当て馬的ライバル役がメインヒーローに喰われる話

屑籠
BL
 サルヴァラ王国の公爵家に生まれたギルバート・ロードウィーグ。  彼は、物語のそう、悪役というか、小悪党のような性格をしている。  そんな彼と、彼を溺愛する、物語のヒーローみたいにキラキラ輝いている平民、アルベルト・グラーツのお話。  さらっと読めるようなそんな感じの短編です。

処理中です...