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◇
「来年は水曜寮か木曜寮に入りたいと思ってるんですよね……」
「うーん。魔力を上げて、魔力操作の鍛錬をして、勉学の成績をのばすしかないよね」
「それが難しいんですよね。何から手をつけていいのか……」
「魔力を上げるのに付き合ってあげようか? ついでに魔力操作の鍛錬も出来るし」
「いいんですか!? 魔力を上げる方法なんて先輩、知ってるんですか? あ、でも先輩の親衛隊、大丈夫かな……」
「うん、知ってる。親衛隊には話はつけとくよ」
その日の放課後も図書委員で秋山先輩とカウンター当番をしていた。
先輩は聞き上手で、ついつい話し過ぎてしまう。
チラッと先輩を見上げて、座っていても見上げることになっている自分の座高の低さと身長の低さについてちょっと凹みながら、手元に視線を戻した。
明日の魔法学の予習をするのに教科書を開いているけど、あんまり進んではいなかった。
「どこかわからない?」
「あ……こことここが」
「そこはね……」
秋山先輩が僕にも分かりやすく解説してくれる。
先輩との静かで穏やかな時間がとても好きだった。
◇
「ちょっといい?」
次の日の朝。授業が始まる前に三年の先輩に呼び出された。
「なんですか?」
人の通らない廊下まで連れ出されて、僕は身体を固くした。
この人は泰雅の親衛隊の隊長だ。
あまりいい話ではなさそうで、緊張してしまう。
「二年の秋山秀ととても仲良くしているようだけど、泰雅様という方がいながら、どういうつもり? 泰雅様を袖にするなんて許されるとでも思ってる?」
「え、え? 秋山先輩とはそんな関係ではないですし、それに泰雅とも……」
「ねえ、なんなの。僕達親衛隊はあんたの事を認めたくないけど、他ならぬ泰雅様が望まれていらっしゃるから、今までは仕方なく現状を受け入れてきたんだけどさ……」
凄まれて、息を呑む。
「そう言われましても……」
「とにかく、秋山秀とこれ以上関係を深めようとするなら、僕達は黙ってないから!」
「えぇ……」
なんか、面倒なことになってしまった。
秋山先輩、ごめんなさい……。
「来年は水曜寮か木曜寮に入りたいと思ってるんですよね……」
「うーん。魔力を上げて、魔力操作の鍛錬をして、勉学の成績をのばすしかないよね」
「それが難しいんですよね。何から手をつけていいのか……」
「魔力を上げるのに付き合ってあげようか? ついでに魔力操作の鍛錬も出来るし」
「いいんですか!? 魔力を上げる方法なんて先輩、知ってるんですか? あ、でも先輩の親衛隊、大丈夫かな……」
「うん、知ってる。親衛隊には話はつけとくよ」
その日の放課後も図書委員で秋山先輩とカウンター当番をしていた。
先輩は聞き上手で、ついつい話し過ぎてしまう。
チラッと先輩を見上げて、座っていても見上げることになっている自分の座高の低さと身長の低さについてちょっと凹みながら、手元に視線を戻した。
明日の魔法学の予習をするのに教科書を開いているけど、あんまり進んではいなかった。
「どこかわからない?」
「あ……こことここが」
「そこはね……」
秋山先輩が僕にも分かりやすく解説してくれる。
先輩との静かで穏やかな時間がとても好きだった。
◇
「ちょっといい?」
次の日の朝。授業が始まる前に三年の先輩に呼び出された。
「なんですか?」
人の通らない廊下まで連れ出されて、僕は身体を固くした。
この人は泰雅の親衛隊の隊長だ。
あまりいい話ではなさそうで、緊張してしまう。
「二年の秋山秀ととても仲良くしているようだけど、泰雅様という方がいながら、どういうつもり? 泰雅様を袖にするなんて許されるとでも思ってる?」
「え、え? 秋山先輩とはそんな関係ではないですし、それに泰雅とも……」
「ねえ、なんなの。僕達親衛隊はあんたの事を認めたくないけど、他ならぬ泰雅様が望まれていらっしゃるから、今までは仕方なく現状を受け入れてきたんだけどさ……」
凄まれて、息を呑む。
「そう言われましても……」
「とにかく、秋山秀とこれ以上関係を深めようとするなら、僕達は黙ってないから!」
「えぇ……」
なんか、面倒なことになってしまった。
秋山先輩、ごめんなさい……。
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