七曜学園高等部

hina

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「千寿(せんじゅ)。魔法詠唱勝負だ!」
「ええ! 僕を巻き込まないでよ。義政(よしまさ)には勝てないからやだ。めんどくさいことを頼まれるのもパス」
「つれない。しくしく」
「嘘泣きされても……」
「千寿と義政はほんと仲良しだよな」
「瑠衣は今日は図書委員もなくて、雨野様も今日は生徒会の用事でいなくて、僕達と一緒に過ごせて嬉しいよ」
「雨野様が来るとどうしても俺達は遠慮しなければ! って思うしな」
「泰雅なんてほっといていいんだけど」
「そういうわけには」
「「いかない!」」

おお、ハモった。

お昼休み。同じクラスの千寿と義政と教室でお弁当を食べていた。
お弁当は寮の食堂のおばちゃんの手作りのもので美味しい。

泰雅がいないだけで、こんなにのびのび過ごせるんだと実感していた。
泰雅がいると、どうしても緊張してしまう。
それは僕だけじゃなくて、周りの人もそうみたいだった。
制御してても微量に漏れ出てる泰雅の魔力が関係しているのかもなあなんて思いつつ、唐揚げを頬張る。

ごく近くにいたら分かるけれど、なんていうか、威圧感のある濃密で重厚で、鋭い魔力なのだ。
自らの基礎魔力がある程度ないと、あてられてしまって近くにいるのはツラいかもしれない。

あんな魔力で攻撃されたらと思うと震えてしまう。

シンプルに泰雅と同じクラスじゃなくて良かった。魔法実技の授業で対戦なんてしたくない。
来年も再来年も同じクラスにはなりたくない。
中等部の頃も同じクラスじゃなかったから大丈夫だと思いたい。

そんな泰雅の魔力にいつも耐えてる僕も大変なのだ。

畏怖の念を覚えるほどのそれは毒だ。

いつもそばにいると強者に守られているような錯覚に陥ってしまうから。


「月曜寮は半端じゃないよな」
「ん? 俺のこと?」
「お前じゃないよ、雨野様のことだよ」

同じクラスの月曜寮の生徒が話しかけてくるけど、義政があしらった。

「俺も尊敬してよ」
「無理無理」

笑いに包まれる。
月曜寮の生徒でも、色々みたいだ。
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