七曜学園高等部

hina

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「美味しい……」
「瑠衣はこのココア好きだもんな」

肩を引き寄せようとする泰雅から離れつつ、ココアを冷まして飲む。

油断は大敵。泰雅はめげないから、避けることに遠慮はしない。

「瑠衣は可愛いな」
「可愛くはないだろ……」
「そんなところも可愛い」
「目が悪いのかな」
「俺の視力は問題ない」
「でもフィルターかかってるだろ」
「瑠衣が可愛いのは紛れもない事実だ」

泰雅が俺の手をとって、手の甲に口付ける。

「そういうのナシで」
「いつまでも待てが出来るとは思わないでくれ」
「待ても出来ない駄犬に興味はありません」
「狼のように思いっきり喰らいつくかもしれない」
「だったら僕は離れるよ」
「そんなことさせない。逃がさない」

なぜ僕に執着するのか。僕にはそれがわからなかった。






「俺は先に行くからな」
「ん、分かった」
「じゃ」

同学年でルームメイト、隣のクラスの和泉豪(いずみごう)が部屋の扉を開けて出て行く。バスケ部に所属する豪は毎朝早い。

僕はまだパジャマ姿で自分のプライベートスペースに戻って洗濯から戻ってきた制服のシャツに着替え始める。

日本の文化も入ってきてるので、バスケ部もあるんだよね。
魔法を使うスポーツもあるけど、使わない競技も人気があったりする。

魔法を使うと使わない時より疲れるのも確かだから、適度に身体を動かしたい時は、魔法を使わない競技がちょうどいいのだ。

魔法界の他の学校と対戦することもあるので、機会があれば応援に行こうと思う。


僕は部活には入っていないけど、打ち込めるものがあるのは素敵だし、ちょっと羨ましい気もする。


制服に着替え終えた僕は、ミニキッチンで朝ごはんを用意し始める。
朝はその日の気分で和洋を決めている。
今日は洋にしようかな。パンが食べたい気分。

目玉焼きとベーコンを焼いて、サラダにする野菜を洗って。
温かいコーヒーを淹れて、テーブルにつく。


「いただきます」

今日も忙しくなりそうだ。
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