七曜学園高等部

hina

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「付き合ってられない」

僕の話を聞いてくれない泰雅を受け流して、教室まで急ぐ。
桜に見惚れてゆっくり歩き過ぎた。
いつから後ろをついて来てたのか、桜に夢中で気が付かなかったけど、泰雅にも困ったもので手は繋がれたままだ。

「もう、離してよ」
「そこは譲れない。俺としてはもっとゆっくり二人の時間を過ごしたかったのに」
「却下だよ!」

校舎に近付くほど人が増えていく。
僕達のやりとりをまたかと見る人が多いけど、泰雅の信奉者も中にはいるかもしれないと思うと気が気じゃなかった。

僕にはまだ早い話かもしれないけど、魔法が使える人は同性同士でも子供が出来る。
僕の両親は男女だけど、泰雅のご両親は男同士の夫夫だったりする。
だから、七曜学園でも付き合っている人達がいたりして、男が男を口説くことは魔法師の間では珍しくなかったりする。

だけど泰雅の相手は荷が重い……。

泰雅は身元と魔力が確かな相手との婚約を蹴って、僕を選ぼうとしている。
僕だって魔法師の家系で並の魔力はあるけど、僕じゃ見劣りするのも確かだ。


それに僕と泰雅は付き合っているわけではないし、僕も泰雅以外の人と良い雰囲気になることもあるかもしれないし。

「何考えてる?」
「な、なんでもない!」

ぷいと顔を逸らした僕を、泰雅が暗い瞳で見ていたことなんて僕は知らなかった。










「雨野泰雅を生徒会書記に任ずる」
「はい」
校長先生に泰雅が呼ばれる。

壇上で進む全校集会を眺めながら、パチパチと拍手をする。
泰雅はやっぱり生徒会かあ。
我が校では生徒会と風紀委員は一、二年の成績優秀者から選出される。
泰雅はきっと来年はまた生徒会長になりそうだなと思いながら、次々に任じられる生徒会役員達を見守る。
生徒会の次は、風紀委員だろう。

まだまだ続く集会に、あくびが出そうになるけど、我慢我慢。
生徒会と風紀委員はもれなく親衛隊がいるような生徒だから、あくびなんてしたら親衛隊に締められる。

でも僕はあんまり興味ないのも事実で。

早く終わらないかなあと壇上を見ると、椅子に座る泰雅と目が合ったような気がして、びくっとした。

気のせい、だよね?

いくらなんでもその他大勢に紛れてる僕のことなんて、壇上からでは見つけられないはず……と思いながらも下を向いて、視線を外した。
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