七曜学園高等部

hina

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四月。
開花が遅れた桜がまだ舞い散る中、僕才葉瑠衣はゆっくりと高等部までの道を歩いていた。


七曜学園は、日本某所から行ける場所……けれど日本とは違う魔法界にある中高一貫の全寮制男子校な魔法学園だ。

日本に住む魔法師や日本に繋がっている魔法界に住む魔法師の子息達が通う学校の中では一番大きな学校である。

全寮制のため生徒は寮に入るが、月曜寮から日曜寮まで優秀な順に入っていく。
寮に出入りするためのキーがその寮を示すピンバッチであるため、生徒同士でもヒエラルキーはすぐわかるようになっている。


高等部一年。僕は高等部になっても金曜寮だった。
魔力量も並で、魔力操作も上手くないし、特別頭が良いわけでもないので仕方ないだろう。

僕の両親は共に魔法師で魔法界に住んでいるため、僕の寮については、まあ仕方ないけど、頑張ってという感じで見てくれていて、申し訳なかった。

来年には水曜寮か木曜寮には入ってみせたい。
でも中学三年間のうち二年は金曜寮だったしなあ……と思うと先は険しい気がする……。中二の時だけ木曜寮だった。

「綺麗だなあ……」
散る桜のトンネルは、朝の光で柔らかく輝いている。

「君は桜より儚げで美しい」
「は」
「おはよう。瑠衣」
「た、た、た、泰雅!」

雨野泰雅。同学年で幼馴染な、薄い茶髪と金色にも見える薄い茶眼の超絶美形男子……。中等部の頃には生徒会長まで務めていたその優秀さで当たり前のように月曜寮に入っている。

王子然としたその様子で親衛隊も持っていて、僕はその親衛隊が怖い。

泰雅の家は魔法界の名家で、泰雅もその血を濃く受け継いでいるようだ。

「離れて。親衛隊に目をつけられたくない」
「その話し合いは済んでいる」
「どこにでも過激派というものが」
「いても黙らせる」
「……」
手を握ろうとする泰雅からすり抜けようとするけど、うまくいかなくて。

「遅れるから早く行かなきゃ」
「転移で行ける」
「いくらなんでも急に教室に現れたらクラスメイトがびっくりするだろ」
「じゃあ廊下で」
「朝からそんな高度な魔法を使うなよ」
「俺には瑠衣との時間の方が重要だ」
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