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◇
僕の見ていた夢が前世の記憶だと分かったあの日、湊さんは僕の疑問に全て答えてくれた。
想い人がまさか僕……というか、オリバーだとは思わなかったけど、オリバーの生まれ変わりが僕で良かったと言われて、僕は心を鷲掴みにされたような気持ちになった。
湊さんは「今世でも番になろう」と言ってくれて、僕にそっとキスをした。
そして三度目の発情期。
湊さんは情熱的に僕を愛してくれた。
「あっ、もうダメっ……!」
ぴゅくぴゅくと何度目かの絶頂を迎えて、僕は荒く息を吐いた。
「律、まだ終わりじゃないよ」
あの日から、湊さんは僕を律と呼ぶようになり、僕は湊さんに言われて敬語を使わなくなった。
そしてゲーム内でもスキンシップが増えたし、リアルでも小型端末でのやり取りが増えて、湊さんは僕に好意をたくさん伝えるようになっていた。
僕がオリバーの生まれ変わりだからというだけでなく、僕に惹かれていたのもあって、気持ちがあふれて止まらなくなっているらしい。
「ま、待って! や! あ、あぁん!」
激しく抽送が再開されて、僕は喘いだ。
発情期も五日目。僕の後孔は湊さんの形を覚えていて、湊さんは僕の気持ち良いところを的確に刺激してくる。
「んっ、んんっ!」
「もっと声聞かせて」
「あっ、いやっ……」
「いやなの? じゃあ、やめようか?」
「や、感じすぎて……やなの……やめないで」
「律……っ!」
段々と早くなる腰の動きに揺すられて、奥まで挿入ってきた湊さんに何もかも奪われて、されるがままになる。
「……くっ、イく!」
湊さんの熱いもので僕の中が満たされる。
僕も出しすぎて色が薄くなったものをこぼし、すっと瞼を下ろした。
◇
夢を見た。
グレージュの髪に黄色い瞳の綺麗な青年が僕に手を振っている。
その横にはリアムがいて、二人は僕に背を向けて微笑み合い、仲睦まじく手を繋いで眩ゆい光の方へ歩いていく。
光が二人を包むのを見届けたところで、僕は目覚めた。
「律? 起きたのか?」
目頭が熱い。
僕の家の発情期用の部屋で、寝ている間に湊さんが着せてくれたのであろうパジャマの袖で、目元を押さえた。
「うん。また二人の夢を見たよ」
「そうか。どんな夢?」
「僕はオリバーじゃなくて、僕で、リアムとオリバーと思しき人が手を繋いで光の中へ向かう夢だった」
「そのオリバーはどんな見た目だった?」
「グレージュの髪に黄色い瞳の綺麗な人」
「ああ、オリバーだな」
湊さんは穏やかな顔で、僕を見つめた。
「オリバーは僕に手を振っていたけど、もう二人の夢は見ないかな?」
「いや、どうかな。しばらく俺達は番にもなれなさそうだし……」
湊さんは苦笑して、続けた。
実は僕の両親に番になるのは高校を卒業してからがいいんじゃないかと言われてしまっていた。
「それに俺達の仲が危うい時にはまた見るかもな?」
「喧嘩した時とか?」
「ま、推測だけどな」
「……湊さん、ずっと一緒にいようね」
「ああ。物理的な距離がある時でも、心は一緒だよ。離さないから覚悟して」
「うん。やくそく」
「約束」
小さな天窓から注ぐ眩ゆい朝の光が、密やかに約束を交わす僕達を包んでいた。
◇終わり◇
ありがとうございました!
僕の見ていた夢が前世の記憶だと分かったあの日、湊さんは僕の疑問に全て答えてくれた。
想い人がまさか僕……というか、オリバーだとは思わなかったけど、オリバーの生まれ変わりが僕で良かったと言われて、僕は心を鷲掴みにされたような気持ちになった。
湊さんは「今世でも番になろう」と言ってくれて、僕にそっとキスをした。
そして三度目の発情期。
湊さんは情熱的に僕を愛してくれた。
「あっ、もうダメっ……!」
ぴゅくぴゅくと何度目かの絶頂を迎えて、僕は荒く息を吐いた。
「律、まだ終わりじゃないよ」
あの日から、湊さんは僕を律と呼ぶようになり、僕は湊さんに言われて敬語を使わなくなった。
そしてゲーム内でもスキンシップが増えたし、リアルでも小型端末でのやり取りが増えて、湊さんは僕に好意をたくさん伝えるようになっていた。
僕がオリバーの生まれ変わりだからというだけでなく、僕に惹かれていたのもあって、気持ちがあふれて止まらなくなっているらしい。
「ま、待って! や! あ、あぁん!」
激しく抽送が再開されて、僕は喘いだ。
発情期も五日目。僕の後孔は湊さんの形を覚えていて、湊さんは僕の気持ち良いところを的確に刺激してくる。
「んっ、んんっ!」
「もっと声聞かせて」
「あっ、いやっ……」
「いやなの? じゃあ、やめようか?」
「や、感じすぎて……やなの……やめないで」
「律……っ!」
段々と早くなる腰の動きに揺すられて、奥まで挿入ってきた湊さんに何もかも奪われて、されるがままになる。
「……くっ、イく!」
湊さんの熱いもので僕の中が満たされる。
僕も出しすぎて色が薄くなったものをこぼし、すっと瞼を下ろした。
◇
夢を見た。
グレージュの髪に黄色い瞳の綺麗な青年が僕に手を振っている。
その横にはリアムがいて、二人は僕に背を向けて微笑み合い、仲睦まじく手を繋いで眩ゆい光の方へ歩いていく。
光が二人を包むのを見届けたところで、僕は目覚めた。
「律? 起きたのか?」
目頭が熱い。
僕の家の発情期用の部屋で、寝ている間に湊さんが着せてくれたのであろうパジャマの袖で、目元を押さえた。
「うん。また二人の夢を見たよ」
「そうか。どんな夢?」
「僕はオリバーじゃなくて、僕で、リアムとオリバーと思しき人が手を繋いで光の中へ向かう夢だった」
「そのオリバーはどんな見た目だった?」
「グレージュの髪に黄色い瞳の綺麗な人」
「ああ、オリバーだな」
湊さんは穏やかな顔で、僕を見つめた。
「オリバーは僕に手を振っていたけど、もう二人の夢は見ないかな?」
「いや、どうかな。しばらく俺達は番にもなれなさそうだし……」
湊さんは苦笑して、続けた。
実は僕の両親に番になるのは高校を卒業してからがいいんじゃないかと言われてしまっていた。
「それに俺達の仲が危うい時にはまた見るかもな?」
「喧嘩した時とか?」
「ま、推測だけどな」
「……湊さん、ずっと一緒にいようね」
「ああ。物理的な距離がある時でも、心は一緒だよ。離さないから覚悟して」
「うん。やくそく」
「約束」
小さな天窓から注ぐ眩ゆい朝の光が、密やかに約束を交わす僕達を包んでいた。
◇終わり◇
ありがとうございました!
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