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第14章 Sin fin

第424話 家族旅行6

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翌日、三人目の妻を迎えるべく整列して並ぶ兵士たちだ。
流石に三回目となれば慣れてきたようだ。

しかし友好国の関係者は前日よりも増えていた。
これは”氷の魔法使い”の影響のようだ。
黒龍ほどでは無いが、魔法を目の前で見せた事が高い評価を得たのだろうとボノスたちが話していた。
そしてそんな魔法の噂は即座に伝わり、異国の美しい女性が行使する魔法を是非見たいと集まって来たとアポストルから聞いた。


転移部屋の扉は予定の時間に開いた。
現れたのは桃色の髪をなびかせる親子、ロリと長女クララに次女ベルダーと、親衛隊隊長”補佐のリカルド”と現在の親衛隊が三人従事していた。

「ようこそイスラへ」
「フロルさん、遊びに来たわ」
「お待ちしてました、お姉さま」

「さぁ姉者、妹殿。参ろうか」
「ボノス、街を案内してくれる?」
「承知した」

前例を踏まえて改善したのは、壁の役割だった兵士たちが片膝をついて並んでいる事だ。
これで子供たちの身長でも街並みが見えるようになったのだ。
警備上、片膝の方が楽で暴漢への対処も訓練したようだ。


そしてリカルドの同行だ。
リカルドは、ロリと”妻のリリオ”の確認を取り本人の承諾も無しに強制的に若返らせた経緯がある。
本人は老体から十代に若返って泣いて喜び改めて忠誠を誓った忠臣だ。
改名はせずに新しく配属された者として親衛隊隊長補佐の任に就く。
因みに二代目の親衛隊隊長はリリオだ。
エルフなので人族とは違い、直ぐに死んで後任で悩むことは無いからだ。
リリオには親衛隊隊長を続ける限り何度でもリカルドを若返らせると約束してあるので、”愛”が本物であれば”マルソとアヴリル”同様に、国とゲレミオは安泰なのだ。


流石にロリ親子に原住民は大きくざわついた。
やはり見た目だ。
桃色に輝く髪は原住民にどのように映ったのかは定かでは無いが、男たちの目線は親子の髪と胸部に集中している様だった。

次女のベルダーはイグレシアでは影の支配者として異名を持つ存在だ。
それはエルヴィーノの究極魔法、すなわち若返り魔法を伝授したからだ。
母親公認で祖母が作った女性主体の秘密結社も受け継いでいるからである。
そして、自らと姉の容姿も見た目の年齢に反した凹凸感を作り上げ、少年や”特殊なへき”を持つ男性から熱い視線を集約していた。

そして今回も薄着だ。
原住民は薄着と言うよりも、肌の露出が多い。
そしてどうやら白い肌に女性は憧れ、男性は欲情するようだ。
さらに見た事も無い桃色の髪だ。
三度目の妻で原住民の奇声が最大になる。

(まぁ、確かにぃ解らんことも無いが、俺んだからな!!)
多少嫉妬心が芽生え機嫌を損ねた夫に気づく妻は上機嫌だった。


ガルダも三度目となると慣れていたようだが、聞いていた話と実物と見ながら話すのは大きく違ったようだ。
特にクララとベルダーと初めて会った瞬間、顔も耳も真っ赤になっていた。

「紹介しよう、イスラ国の少年王ガルダだ」
「よ、ようこそ、いらっしゃひました」
エルヴィーノが紹介すると、思いっ切り噛んでしまった。
今までに無かった事なので、即座に同年代に見える女の子に舞い上がっているとバレてしまうのだ。

醜態を晒しながらも予定通りの会話をこなし会議室に向かった。
今回は今までとは違い、重要な議題が有るからだ。
事前にフロルとボノスには確認を取り準備に抜かりはないサンクタ・フェミナだ。

その議題とは
1、イスラ国での布教活動と教会の設置許可を取り付ける事。
2、ゲレミオの活動拠点を増やすための視察と王族への説明。
王族の説明に関しては、フロルとボノスは賛成なのでボノスとアポストルに数名の忠臣だけの説明となる。
ほぼ決定事項なので説明をするだけだ。

ただ、教会の設置に関しては現地の宗教を加味し”友好的”に進める方針だ。
具体的には”より良い条件”で取り込む予定だ。

フロルとボノスの協力を得て親衛隊が教会の説明をすると、やはり黒龍信仰で話が盛り上がった。
「だが、この地にも土着の宗教がある。それをどうするかだ」
「それはどんな神様を祀っているのかしら?」
「火の神と海の神ですわ、お姉さま」
ボノスが問題定義してロリが質問しフロルが答えたが、明確な指示を出すエルヴィーノだ。

「だったら話は早い。インスティントは火の神でもあるし、この地は本来水の神カマラダの管轄だから説明しやすいだろう」
「なんと!! 本当か親父殿!」
「勿論本当だ」
流石に本人から聞いたとは言わなかった。

「お姉さま、その神様はバリアンテに有るあの彫像なの?」
「そうよフロル」
「戻ったら直ぐにお参りに行かなきゃ」
「初代様、神々の彫像が有るのですか?」
「ええ、私たちが移住する城下町にとても大きな石像が安置されているわ」
ロリとフロルの会話に入るアポストルが羨ましそうに聞いていた。




つづく
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