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第14章 Sin fin
第417話 新天地7
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場所を王宮にある別室へと移したロザリーとフロルだ。
「フロルさん。義妹たちから色々聞かされていると思うけど、わたくしからは一つだけ貴女に選んでもらう事があります」
それぞれの義姉から細かな決まり事を聞かされて、こに来て二択する内容が思いつかないフロルだった。
「回りくどい言い方はせずに、単刀直入に言うわね」
ドキドキするフロル。
「妻であるわたくしたちは、複数で夫と夜を共にして愛し合います」
「えっ!!!・・・」
目の前の美しいエルフと共に夫と愛し合う・・・
少し考えただけで赤面し、考えを否定したフロル。
とても自分の様な普通の人間と比較されては惨めになるからだ。
話している内容は理解した。
不肖の息子も似たような事をしていたと報告を聞いた記憶が有る。
しかし目の前の美しいエルフと、既に仲良くなった姉嫁たちが夜を共にしていたと言う事実を聞いて、瞬時に嫉妬の炎が燃え盛った事を自覚したと同時に、その中に自分が参入する事を思い描くと、どうしても気が引けてしまうのだった。
何故ならば、自分以外の姉嫁たちはとても美しく、目の前でほほ笑むエルフは神の祝福を纏っているかと錯覚してしまうほどの美貌を持っているのだから。
眼が点となり、思考の渦にとらわれているフロルに呼びかけるロザリー。
「でもね、今は絶対では無いのよ。わたくしたちは、”それ”が当たり前だと思っているけど、二人っきりが好きな方も居るの。だから貴女はどちらを選んでも構わないわよ」
「・・・」
「今は夫と二人だけで、いずれわたくしたちと”楽しむ事”も出来るわ」
「皆さんは本当に”それ”で良いのですか?」
「それとは、複数で楽しむ事かしら? それとも後から貴女が加わる事かしら?」
「・・・どちらもです」
「大丈夫よ、フロルさん。貴女の選択した行動を誰も咎めたりしないわ。事実、複数派と単独派が居るもの」
「えっ!? 本当ですか?」
「本当よ。わたくしは事実を知って欲しかったの。あの人がどれだけ浮気者なのか知って欲しかっただけなの。そしてこれ以上浮気させないために協力してほしいの」
「分かりましたお姉さま。浮気防止の協力は惜しみません」
「ありがとう、フロルさん。じゃ最後に予定表の説明をするわね」
予定表。
それは夫を管理するために毎夜、誰が一緒に過ごすかを表にしたものだ。
今や妻が六人となったので六日は連続して順番に妻たちが独占し、七日目も順番に持ち回りがやってくる。
これは夫に自由な夜を与えない為の妻たちの共同作戦なのだ。
その事をフロルに説明して納得してもらう。
また、今回は特別にフロルが連日束縛しても良いと初めて知ったのだ。
「ええぇぇっ!! 聞いてないわぁぁ!!」
「あら、そうなの?」
多少の不満は出たものの、その分今夜は朝まで寝かせないと意気込むフロルだった。
そして、不測の事態が起こった場合は、予定が繰り上げとなり”お仕置き期間”と言う特別週間が導入される事を知る。
「では最後に親衛隊の存在です」
それは教会関係者から厳選して選ばれた三人の従者の事だ。
親衛隊とは別に夫の仕事上の従者でレボル・シオンの存在も知る事になる。
レボル・シオンは妻たちにとって中立の存在だが、親衛隊は忠実な間諜として情報提供してくれる存在だ。
一方のボノスたちは・・・
「ではボノスよ、こちらに・・・」
祖父に呼ばれて側に行く。
後頭部に手を当てて呟くと魔法陣が発動した。
特に何も体感しなかったボノスだ。
「終わったぞ。これで今までの三倍は魔素量が増えたはずじゃ」
「えええっ三倍もかっ!!」
ボノスは驚いた。
エルヴィーノも驚いた。
全員の眼差しがエルフ王に集まる。
「魔素の少ない素質の有る者だけじゃ。お前たちには必要ない」
ガッカリする周りを無視してボノスに呼びかけた。
「お前に授けたのは日ごろ使いやすい初級魔法じゃ。戦いに必要なオスクロ魔法は兄弟から教えてもらうが良い」
祖父に伝授してもらったのは、手ぶらで旅ができる空間バックと、汚れても綺麗になる洗浄魔法に回復魔法だ。
「ありがとう、我が祖たるエルフ王よ」
「何を他人行儀な事を言う。お前は我が孫である。祖父が孫に魔法を与えて何も問題は無い」
「孫か・・・」
母一人息子一人の生活が長かったので祖父の存在が恥ずかしくも有り偉大な祖父で、国に帰って自慢したいボノスだった。
孫たちとの談笑に和ませる祖父の姿を微笑ましく見ていたエルヴィーノだ。
その後、エルフの街を観光しロザリーから歓迎夕食会に招かれて恐縮しながら一夜を過ごしたボノスだった。
一方のフロルは、ロザリーから得た情報で嫉妬の炎が燃え盛り、夫を相手に猛烈な戦いを挑んでいた。
勿論、エルヴィーノも第一夫人の存在が近くに在りながら浮気出来るので、激しく対峙するのだった。
翌朝、フロルには温かい表情で接し、夫には氷の眼差しを向けるロザリーが耳元で囁いた。
「今度のお仕置きは覚悟してなさい・・・」
「・・・!!」
ゾクッとするが、聞かなかった事にしてその場をやり過ごすのは、問題の対処対応と、解決能力が向上したと勝手に思っている男だった。
☆
みなさんも努力して諸問題における対策対処、対応解決能力を上げましょう!!
「フロルさん。義妹たちから色々聞かされていると思うけど、わたくしからは一つだけ貴女に選んでもらう事があります」
それぞれの義姉から細かな決まり事を聞かされて、こに来て二択する内容が思いつかないフロルだった。
「回りくどい言い方はせずに、単刀直入に言うわね」
ドキドキするフロル。
「妻であるわたくしたちは、複数で夫と夜を共にして愛し合います」
「えっ!!!・・・」
目の前の美しいエルフと共に夫と愛し合う・・・
少し考えただけで赤面し、考えを否定したフロル。
とても自分の様な普通の人間と比較されては惨めになるからだ。
話している内容は理解した。
不肖の息子も似たような事をしていたと報告を聞いた記憶が有る。
しかし目の前の美しいエルフと、既に仲良くなった姉嫁たちが夜を共にしていたと言う事実を聞いて、瞬時に嫉妬の炎が燃え盛った事を自覚したと同時に、その中に自分が参入する事を思い描くと、どうしても気が引けてしまうのだった。
何故ならば、自分以外の姉嫁たちはとても美しく、目の前でほほ笑むエルフは神の祝福を纏っているかと錯覚してしまうほどの美貌を持っているのだから。
眼が点となり、思考の渦にとらわれているフロルに呼びかけるロザリー。
「でもね、今は絶対では無いのよ。わたくしたちは、”それ”が当たり前だと思っているけど、二人っきりが好きな方も居るの。だから貴女はどちらを選んでも構わないわよ」
「・・・」
「今は夫と二人だけで、いずれわたくしたちと”楽しむ事”も出来るわ」
「皆さんは本当に”それ”で良いのですか?」
「それとは、複数で楽しむ事かしら? それとも後から貴女が加わる事かしら?」
「・・・どちらもです」
「大丈夫よ、フロルさん。貴女の選択した行動を誰も咎めたりしないわ。事実、複数派と単独派が居るもの」
「えっ!? 本当ですか?」
「本当よ。わたくしは事実を知って欲しかったの。あの人がどれだけ浮気者なのか知って欲しかっただけなの。そしてこれ以上浮気させないために協力してほしいの」
「分かりましたお姉さま。浮気防止の協力は惜しみません」
「ありがとう、フロルさん。じゃ最後に予定表の説明をするわね」
予定表。
それは夫を管理するために毎夜、誰が一緒に過ごすかを表にしたものだ。
今や妻が六人となったので六日は連続して順番に妻たちが独占し、七日目も順番に持ち回りがやってくる。
これは夫に自由な夜を与えない為の妻たちの共同作戦なのだ。
その事をフロルに説明して納得してもらう。
また、今回は特別にフロルが連日束縛しても良いと初めて知ったのだ。
「ええぇぇっ!! 聞いてないわぁぁ!!」
「あら、そうなの?」
多少の不満は出たものの、その分今夜は朝まで寝かせないと意気込むフロルだった。
そして、不測の事態が起こった場合は、予定が繰り上げとなり”お仕置き期間”と言う特別週間が導入される事を知る。
「では最後に親衛隊の存在です」
それは教会関係者から厳選して選ばれた三人の従者の事だ。
親衛隊とは別に夫の仕事上の従者でレボル・シオンの存在も知る事になる。
レボル・シオンは妻たちにとって中立の存在だが、親衛隊は忠実な間諜として情報提供してくれる存在だ。
一方のボノスたちは・・・
「ではボノスよ、こちらに・・・」
祖父に呼ばれて側に行く。
後頭部に手を当てて呟くと魔法陣が発動した。
特に何も体感しなかったボノスだ。
「終わったぞ。これで今までの三倍は魔素量が増えたはずじゃ」
「えええっ三倍もかっ!!」
ボノスは驚いた。
エルヴィーノも驚いた。
全員の眼差しがエルフ王に集まる。
「魔素の少ない素質の有る者だけじゃ。お前たちには必要ない」
ガッカリする周りを無視してボノスに呼びかけた。
「お前に授けたのは日ごろ使いやすい初級魔法じゃ。戦いに必要なオスクロ魔法は兄弟から教えてもらうが良い」
祖父に伝授してもらったのは、手ぶらで旅ができる空間バックと、汚れても綺麗になる洗浄魔法に回復魔法だ。
「ありがとう、我が祖たるエルフ王よ」
「何を他人行儀な事を言う。お前は我が孫である。祖父が孫に魔法を与えて何も問題は無い」
「孫か・・・」
母一人息子一人の生活が長かったので祖父の存在が恥ずかしくも有り偉大な祖父で、国に帰って自慢したいボノスだった。
孫たちとの談笑に和ませる祖父の姿を微笑ましく見ていたエルヴィーノだ。
その後、エルフの街を観光しロザリーから歓迎夕食会に招かれて恐縮しながら一夜を過ごしたボノスだった。
一方のフロルは、ロザリーから得た情報で嫉妬の炎が燃え盛り、夫を相手に猛烈な戦いを挑んでいた。
勿論、エルヴィーノも第一夫人の存在が近くに在りながら浮気出来るので、激しく対峙するのだった。
翌朝、フロルには温かい表情で接し、夫には氷の眼差しを向けるロザリーが耳元で囁いた。
「今度のお仕置きは覚悟してなさい・・・」
「・・・!!」
ゾクッとするが、聞かなかった事にしてその場をやり過ごすのは、問題の対処対応と、解決能力が向上したと勝手に思っている男だった。
☆
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