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第14章 Sin fin
第416話 新天地6
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翌日、エルフ国メディテッラネウスにある大聖堂に転移して来た三人だ。
事前に説明して二人を金髪碧眼に変化して連れて来た。
二人に変化したのはダークエルフの”秘薬”は教えずに、単にエルフによる種族的な差別だと説明した。
“つまらない”争いの原因は教えなかったのだ。
「しかし親父殿、差別していたのに祖父殿は祖母殿を・・・」
「まぁ、アレだ。要するに・・・若いオネェチャンに手を出した訳だなハハハッ」
苦しい言い訳だが、古い因縁を二人に教えたくなかったエルヴィーノだ。
若干一名が悪者で変態の印象を植え付けられたが本人が知る事は無い。
だが何故かフロルはエルヴィーノを睨みつけ頬を抓って来た。
「痛てっ、何すんだよ」
「あなたも同罪よ」
「俺が何したっていうんだ!?」
「親父殿も母上を手籠めにしたのか?」
「お前らっ、いい加減にしろ!!」
確かに二人はエルヴィーノの年齢を教えたのでフロルとの歳の差はその様に思われるが、真実はフロルが望んだ結果なのに二人から冷たくあしらわれる。
ボノスも二人の馴れ初めをフロルから何度も聞かされていたが、”親父殿”の妻たちが美女ばかりなので嫌味を言っただけだった。
フロルは単にボノスの女癖は父親のモノだと思っていたが、種族がらのものだと認識したからだ。
つまらない嫉妬心を植え付けてしまったが、種族の恥を秘密に出来たのだ。
“楽しい会話”をしながら、ミッシェルに迎え入れられて王宮に入る”エルフの三人”だ。
二人が見たバルバ城の印象はどの国とも違っていた。
岩山を利用した横に長い城は自然と一体化している様に見えた。
木々が生い茂り、天然の要塞と見間違えるほどだった。
そして城下町や城内に敷き詰められている石畳の”へこみ”が歴史を物語っていた。
今までの国と同様に物珍しくあたりを見回しながら歩く二人だ。
「親父殿、この城は随分と古そうだな?」
「俺も詳しくは知らないが5000年くらい経ってんじゃねぇか?」
「はぁぁ!! 5000年!?」
「後でミッシェルが詳しい謁見の作法を教えてくれるが、俺の親父は高齢で1500年以上生きてる」
「「・・・」」
「最近は諸外国の者とはほとんど会わないらしいからな。くれぐれも粗相の無いようにな」
祖父の年齢を聞いて言葉を失った二人だ。
2人の認識は少なくとも5000年以上続く国で、今も現役で国王を続けている祖父に驚愕し、身を引き締めて謁見する事だ。
待合室で待機していると、王宮の応接室へ入室の許可が出た。
扉が開くと目に飛び込んできたのは、数人のエルフだったが、一番目が引いたのは美しいエルフが立っていたからだ。
ソファに座る王に相応しい貫禄で老齢な男と、側に立つ美しい女性。
その横にボノスほどの少年とまだ幼い子供は説明しなくとも理解できた。
ここに親族以外の同席は親衛隊のジャックとミッシェルしか許されていない。
「じゃ紹介しよう。俺の親父、エルフ王ディーデリック・ファン・デ・ブリンクスと第一夫人のロザリー・ファン・デ・ブリンクスだ」
「初めまして、イスラ国から参りましたフロル・イスラと申します。これは我が子のボノス・M・イスラです」
「初めまして、ボノスだ」
(うおぉぉぉ、凄っげぇ美人だ!! 間違いなく一番だ、親父殿!!)
ボノスもエルフには弱かったようだ。
フロルもボノスと同様に思い、夫に対する嫉妬の炎が燃え盛っていた。
「第一夫人のロザリーですわ。こちらはわたくしの息子たちで長男のエアハルトに次男のむスフィーダです」
「エアハルトです。ようこそエルフ国メディテッラネウスへ。お二人の事は父上から良く聞かされていますよ」
スフィーダはまだ幼く、兄と手を繋いでいる。
そして親衛隊長のジャックを紹介した。
和やかな談笑と共にエルフ王から王としての経験談をエアハルトに聞かせて欲しいと依頼があった。
失敗談であればと、獣王国と同様の説明をすると、むしろそのような経験談が望ましいとエルフ王から褒められて嬉しかったボノスだ。
そして魔法に長けたエルフに聞けと父親から聞かされて用意した言葉を発した。
「皆さん、ご存じの通り本来俺たちの種族は魔法が使えない。そんな俺には親父殿から授かった魔法が有って、それを自己流に手を加えただけのお粗末なものだ。だから皆さんと比べると魔法が使えると言う”シロモノ”では無い。だから俺は魔法を学びたいと思っている」
ボノスは若返ったことで魔法を覚える”意欲”が有った。
“その事”に心を動かされたエルフ王だった。
「ふむ。ボノスよ、お前の魔素量を増やし魔法を与えてやろう」
「えっ!?」
ボノスは驚いた。
実年齢を聞かされて、神の如き尊い存在からの言葉に耳を疑った。
「凄い!! お爺様!! そんな事も出来るのですね」
エアハルトが尊敬の眼差しで見ていた。
「お前たちには必要の無い措置じゃな。ボノスのように著しく少ない魔素で、素体の持つ可能性が無いと無意味な魔法が有るのじゃ」
「へぇ、そんな魔法が有るのかぁ・・・」
エルヴィーノも知らない魔法だった。
「ロザリーよ、多少時間が掛かるからフロルと話してくるが良い」
事前に妻同士の話をする為に時間を割く予定を伝えていた。
「分かりましたお義父様。ではフロルさん、わたくしと一緒に参りましょうか?」
「は、はい」
「ロザリー・・・」
エルヴィーノも聞いてない事だったので心配になったようだ。
「大丈夫よ、女同士のお話だから・・・」
お仕置きされる時の冷たい眼差しで睨まれた夫だった。
ロザリーとフロルは、別の部屋で話をすると聞いて多少安心する浮気者だった。
第一夫人から何を言われるのかドキドキするフロルと、祖父であるエルフ王から魔法の伝授に期待するボノスだった。
☆
どんな魔法を貰えるかな?
事前に説明して二人を金髪碧眼に変化して連れて来た。
二人に変化したのはダークエルフの”秘薬”は教えずに、単にエルフによる種族的な差別だと説明した。
“つまらない”争いの原因は教えなかったのだ。
「しかし親父殿、差別していたのに祖父殿は祖母殿を・・・」
「まぁ、アレだ。要するに・・・若いオネェチャンに手を出した訳だなハハハッ」
苦しい言い訳だが、古い因縁を二人に教えたくなかったエルヴィーノだ。
若干一名が悪者で変態の印象を植え付けられたが本人が知る事は無い。
だが何故かフロルはエルヴィーノを睨みつけ頬を抓って来た。
「痛てっ、何すんだよ」
「あなたも同罪よ」
「俺が何したっていうんだ!?」
「親父殿も母上を手籠めにしたのか?」
「お前らっ、いい加減にしろ!!」
確かに二人はエルヴィーノの年齢を教えたのでフロルとの歳の差はその様に思われるが、真実はフロルが望んだ結果なのに二人から冷たくあしらわれる。
ボノスも二人の馴れ初めをフロルから何度も聞かされていたが、”親父殿”の妻たちが美女ばかりなので嫌味を言っただけだった。
フロルは単にボノスの女癖は父親のモノだと思っていたが、種族がらのものだと認識したからだ。
つまらない嫉妬心を植え付けてしまったが、種族の恥を秘密に出来たのだ。
“楽しい会話”をしながら、ミッシェルに迎え入れられて王宮に入る”エルフの三人”だ。
二人が見たバルバ城の印象はどの国とも違っていた。
岩山を利用した横に長い城は自然と一体化している様に見えた。
木々が生い茂り、天然の要塞と見間違えるほどだった。
そして城下町や城内に敷き詰められている石畳の”へこみ”が歴史を物語っていた。
今までの国と同様に物珍しくあたりを見回しながら歩く二人だ。
「親父殿、この城は随分と古そうだな?」
「俺も詳しくは知らないが5000年くらい経ってんじゃねぇか?」
「はぁぁ!! 5000年!?」
「後でミッシェルが詳しい謁見の作法を教えてくれるが、俺の親父は高齢で1500年以上生きてる」
「「・・・」」
「最近は諸外国の者とはほとんど会わないらしいからな。くれぐれも粗相の無いようにな」
祖父の年齢を聞いて言葉を失った二人だ。
2人の認識は少なくとも5000年以上続く国で、今も現役で国王を続けている祖父に驚愕し、身を引き締めて謁見する事だ。
待合室で待機していると、王宮の応接室へ入室の許可が出た。
扉が開くと目に飛び込んできたのは、数人のエルフだったが、一番目が引いたのは美しいエルフが立っていたからだ。
ソファに座る王に相応しい貫禄で老齢な男と、側に立つ美しい女性。
その横にボノスほどの少年とまだ幼い子供は説明しなくとも理解できた。
ここに親族以外の同席は親衛隊のジャックとミッシェルしか許されていない。
「じゃ紹介しよう。俺の親父、エルフ王ディーデリック・ファン・デ・ブリンクスと第一夫人のロザリー・ファン・デ・ブリンクスだ」
「初めまして、イスラ国から参りましたフロル・イスラと申します。これは我が子のボノス・M・イスラです」
「初めまして、ボノスだ」
(うおぉぉぉ、凄っげぇ美人だ!! 間違いなく一番だ、親父殿!!)
ボノスもエルフには弱かったようだ。
フロルもボノスと同様に思い、夫に対する嫉妬の炎が燃え盛っていた。
「第一夫人のロザリーですわ。こちらはわたくしの息子たちで長男のエアハルトに次男のむスフィーダです」
「エアハルトです。ようこそエルフ国メディテッラネウスへ。お二人の事は父上から良く聞かされていますよ」
スフィーダはまだ幼く、兄と手を繋いでいる。
そして親衛隊長のジャックを紹介した。
和やかな談笑と共にエルフ王から王としての経験談をエアハルトに聞かせて欲しいと依頼があった。
失敗談であればと、獣王国と同様の説明をすると、むしろそのような経験談が望ましいとエルフ王から褒められて嬉しかったボノスだ。
そして魔法に長けたエルフに聞けと父親から聞かされて用意した言葉を発した。
「皆さん、ご存じの通り本来俺たちの種族は魔法が使えない。そんな俺には親父殿から授かった魔法が有って、それを自己流に手を加えただけのお粗末なものだ。だから皆さんと比べると魔法が使えると言う”シロモノ”では無い。だから俺は魔法を学びたいと思っている」
ボノスは若返ったことで魔法を覚える”意欲”が有った。
“その事”に心を動かされたエルフ王だった。
「ふむ。ボノスよ、お前の魔素量を増やし魔法を与えてやろう」
「えっ!?」
ボノスは驚いた。
実年齢を聞かされて、神の如き尊い存在からの言葉に耳を疑った。
「凄い!! お爺様!! そんな事も出来るのですね」
エアハルトが尊敬の眼差しで見ていた。
「お前たちには必要の無い措置じゃな。ボノスのように著しく少ない魔素で、素体の持つ可能性が無いと無意味な魔法が有るのじゃ」
「へぇ、そんな魔法が有るのかぁ・・・」
エルヴィーノも知らない魔法だった。
「ロザリーよ、多少時間が掛かるからフロルと話してくるが良い」
事前に妻同士の話をする為に時間を割く予定を伝えていた。
「分かりましたお義父様。ではフロルさん、わたくしと一緒に参りましょうか?」
「は、はい」
「ロザリー・・・」
エルヴィーノも聞いてない事だったので心配になったようだ。
「大丈夫よ、女同士のお話だから・・・」
お仕置きされる時の冷たい眼差しで睨まれた夫だった。
ロザリーとフロルは、別の部屋で話をすると聞いて多少安心する浮気者だった。
第一夫人から何を言われるのかドキドキするフロルと、祖父であるエルフ王から魔法の伝授に期待するボノスだった。
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どんな魔法を貰えるかな?
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