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第14章 Sin fin
第397話 その国の名は3
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「じゃ、とりあえずお前たちの隠れ家に行くとするか。それと街を案内してくれたら助かるけどな」
「おっちゃん、俺たちを捕まえる気か?」
「それで俺が得をする事は何もないが、俺の事を信用できないのも当然だろうな」
目元まで頭巾を深くかぶり、話している初対面の男に自分の住処を教えるほど愚か者ではないガルダだ。
「じゃこれでどうだ・・・」
そう言って頭巾を取り外套を脱いだ。
「あああぁぁっ!!」
見知らぬおっちゃんの目と髪を確認して驚いたガルダだ。
一応、耳は丸くしたあった。
「俺と同じだぁ」
「まぁそういう事だ。だからお前たちに乱暴な事はしないと約束しよう」
「でもよぉ・・・王族の回し者か?」
「・・・なるほど、そういう見方も有るか。疑り深いな」
「悪いかよ!」
「いや、お前は正しい。常に相手を疑って用心しろ」
ガルダには理解できなかった。
警戒しているのに褒められたからだ。
「ところで、お前は魔法を使えるか?」
「火が少しだけ出るけど・・・」
にっこりと、ほほ笑むエルヴィーノだ。
「王族の者は魔法剣を使えるはずだが?」
「母ちゃんから聞いたけど、俺は使えねぇぞ」
「では魔素は感じ取る事は出来るか?」
「魔素? 魔力の事か?」
「あぁ同じだ」
「それなら分かる。体の中にある力だよな?」
「・・・よし、じゃお前にこれをやろう」
そう言って取り出したのは二枚の紙だ。
そして一枚ずつ文字を書いたエルヴィーノ。
ガルダの両手に一枚ずつ乗せて教えてやった。
「いいか、手に乗っている紙に魔力を送ってみろ」
ガルダは素直に言う事を聞いた。すると
ホワッと光ると魔法陣が発動し両手に吸収されていった。
「えっ、あれっ、なんか分かるぞ」
「一つはオスクロ・エスパーダと言ってこの国では暗黒剣と呼ばれる魔法剣だ」
「えええええぇぇっ!!」
「じゃ発動させてみろ」
「そんなぁ急に言われてもよぉ」
「さっさとやれ。日が暮れるぞ」
「解ったよ」
ガルダは集中している。
(俺もついに魔法剣が使えるようになるのかぁ? でもこのおっちゃん、何者なんだろ?・・・)
「俺の暗黒剣出ろぉぉぉ!!」
現れたのは短剣程度のモノだった。
「すっげぇぇぇぇ!!」
内心は普通の剣を出せると思ってガッカリだが、本人の喜びようを見て手ほどきする様にした。
「ガルダ、王族の暗黒剣はどの程度の大きさだ?」
「俺が聞いた話じゃ普通の剣と同じくらいの長さらしいけど?」
「ふむ。じゃお前に手本を見せよう。修行して俺と同様の剣を作り出せるようにな」
うなづくガルダを確認して片手を前に出すと、忽然とソレは現れた。
「えっえぇぇぇぇぇぇぇっ!!」
それは巨大な剣だった。
とても片手で持てる大きさでは無く、ガルダの身長よりも長かった。
「すっげぇぇぇぇ、おっちゃん!!」
「いいか、良く見ておけよ」
じろじろ見て触ってくるガルダだ。
「よし、じゃもう一つの魔法を使ってみろ」
「この、お、おす、くろ・・・えすぱぁ?」
「それはオスクロ・エスパーダと言うが、お前は暗黒盾と言っても大丈夫だろう」
「盾ぇぇ!! 暗黒盾なのかぁぁぁ!!」
「そうだ。お前は子供だ。弱いから直ぐ殺されるだろう。だから自分の身は自分で守るための盾をやろう。まずは手本を見せよう」
エルヴィーノが手を翳すと巨大な大楯が現れた。
「すっげぇぇぇぇぇっ!!」
「じゃ良く見てお前もやってみろ」
しげしげとみて触った後、真剣な表情で叫ぶガルダ。
「出でよ、暗黒盾っ!!」
その左腕には確かに黒い盾が顕現していた。
「あれ、”チャイチー”なぁ」
ちょうど肘までの丸い盾だった。
「まぁ最初はそんなもんだ」
「嬉しいよ、おっちゃん。大きさはしょうがないけど、これで俺も戦う事が出来るからな」
「それはダメだ。魔法剣を出せても戦う事は止めておけ」
「何でだよぉ」
「お前は戦ったことが有るのか? 人を殺した事が有るのか?」
「・・・」
「相手はお前を殺そうとする奴らだぞ」
「じゃどうして・・・」
「守るためだ。お前の大事な者を守る為に剣を振れ。相手の攻撃をかわせ。そして生き延びろ。例え一人になったとしてもな」
「・・・俺・・・強くなる・・・」
ガルダは固く決意する。
「ああ、それが良い。それから魔法を使う時は叫ぶのは止めた方が良いぞ」
「えぇぇっどうしてだよぉ、カッコいいだろぉ?」
「馬鹿っ、かっこ悪いし。敵にこれから何をするか教えてどうするんだ?」
「あっ、そっか・・・」
「だから無言で使えば相手も驚いて隙が出来るだろぉ? そこが勝機だ。」
「分かった。やってみる」
しばらく練習している様子を見ていた。
ガルダの脳裏にあるのはエルヴィーノの魔法剣と盾だ。
それを思い出して練習する様に指導された。
「じゃ、そろそろ隠れ家に行くとするか」
「おっちゃん・・・」
「どうした?」
「ありがとう。俺みたいな孤児に魔法を教えてくれて・・・」
「気にすんな。明日から街を案内してくれたら助かるけどな」
「任せてくれっ!!」
「おぉそうだ。俺たちの髪色と魔法の事は秘密だぞ。俺の許可無く街中で言ったり使ったりするなよ」
「解ってるよ。お互いに捕まりたくないからな」
☆
魔法の伝授?
「おっちゃん、俺たちを捕まえる気か?」
「それで俺が得をする事は何もないが、俺の事を信用できないのも当然だろうな」
目元まで頭巾を深くかぶり、話している初対面の男に自分の住処を教えるほど愚か者ではないガルダだ。
「じゃこれでどうだ・・・」
そう言って頭巾を取り外套を脱いだ。
「あああぁぁっ!!」
見知らぬおっちゃんの目と髪を確認して驚いたガルダだ。
一応、耳は丸くしたあった。
「俺と同じだぁ」
「まぁそういう事だ。だからお前たちに乱暴な事はしないと約束しよう」
「でもよぉ・・・王族の回し者か?」
「・・・なるほど、そういう見方も有るか。疑り深いな」
「悪いかよ!」
「いや、お前は正しい。常に相手を疑って用心しろ」
ガルダには理解できなかった。
警戒しているのに褒められたからだ。
「ところで、お前は魔法を使えるか?」
「火が少しだけ出るけど・・・」
にっこりと、ほほ笑むエルヴィーノだ。
「王族の者は魔法剣を使えるはずだが?」
「母ちゃんから聞いたけど、俺は使えねぇぞ」
「では魔素は感じ取る事は出来るか?」
「魔素? 魔力の事か?」
「あぁ同じだ」
「それなら分かる。体の中にある力だよな?」
「・・・よし、じゃお前にこれをやろう」
そう言って取り出したのは二枚の紙だ。
そして一枚ずつ文字を書いたエルヴィーノ。
ガルダの両手に一枚ずつ乗せて教えてやった。
「いいか、手に乗っている紙に魔力を送ってみろ」
ガルダは素直に言う事を聞いた。すると
ホワッと光ると魔法陣が発動し両手に吸収されていった。
「えっ、あれっ、なんか分かるぞ」
「一つはオスクロ・エスパーダと言ってこの国では暗黒剣と呼ばれる魔法剣だ」
「えええええぇぇっ!!」
「じゃ発動させてみろ」
「そんなぁ急に言われてもよぉ」
「さっさとやれ。日が暮れるぞ」
「解ったよ」
ガルダは集中している。
(俺もついに魔法剣が使えるようになるのかぁ? でもこのおっちゃん、何者なんだろ?・・・)
「俺の暗黒剣出ろぉぉぉ!!」
現れたのは短剣程度のモノだった。
「すっげぇぇぇぇ!!」
内心は普通の剣を出せると思ってガッカリだが、本人の喜びようを見て手ほどきする様にした。
「ガルダ、王族の暗黒剣はどの程度の大きさだ?」
「俺が聞いた話じゃ普通の剣と同じくらいの長さらしいけど?」
「ふむ。じゃお前に手本を見せよう。修行して俺と同様の剣を作り出せるようにな」
うなづくガルダを確認して片手を前に出すと、忽然とソレは現れた。
「えっえぇぇぇぇぇぇぇっ!!」
それは巨大な剣だった。
とても片手で持てる大きさでは無く、ガルダの身長よりも長かった。
「すっげぇぇぇぇ、おっちゃん!!」
「いいか、良く見ておけよ」
じろじろ見て触ってくるガルダだ。
「よし、じゃもう一つの魔法を使ってみろ」
「この、お、おす、くろ・・・えすぱぁ?」
「それはオスクロ・エスパーダと言うが、お前は暗黒盾と言っても大丈夫だろう」
「盾ぇぇ!! 暗黒盾なのかぁぁぁ!!」
「そうだ。お前は子供だ。弱いから直ぐ殺されるだろう。だから自分の身は自分で守るための盾をやろう。まずは手本を見せよう」
エルヴィーノが手を翳すと巨大な大楯が現れた。
「すっげぇぇぇぇぇっ!!」
「じゃ良く見てお前もやってみろ」
しげしげとみて触った後、真剣な表情で叫ぶガルダ。
「出でよ、暗黒盾っ!!」
その左腕には確かに黒い盾が顕現していた。
「あれ、”チャイチー”なぁ」
ちょうど肘までの丸い盾だった。
「まぁ最初はそんなもんだ」
「嬉しいよ、おっちゃん。大きさはしょうがないけど、これで俺も戦う事が出来るからな」
「それはダメだ。魔法剣を出せても戦う事は止めておけ」
「何でだよぉ」
「お前は戦ったことが有るのか? 人を殺した事が有るのか?」
「・・・」
「相手はお前を殺そうとする奴らだぞ」
「じゃどうして・・・」
「守るためだ。お前の大事な者を守る為に剣を振れ。相手の攻撃をかわせ。そして生き延びろ。例え一人になったとしてもな」
「・・・俺・・・強くなる・・・」
ガルダは固く決意する。
「ああ、それが良い。それから魔法を使う時は叫ぶのは止めた方が良いぞ」
「えぇぇっどうしてだよぉ、カッコいいだろぉ?」
「馬鹿っ、かっこ悪いし。敵にこれから何をするか教えてどうするんだ?」
「あっ、そっか・・・」
「だから無言で使えば相手も驚いて隙が出来るだろぉ? そこが勝機だ。」
「分かった。やってみる」
しばらく練習している様子を見ていた。
ガルダの脳裏にあるのはエルヴィーノの魔法剣と盾だ。
それを思い出して練習する様に指導された。
「じゃ、そろそろ隠れ家に行くとするか」
「おっちゃん・・・」
「どうした?」
「ありがとう。俺みたいな孤児に魔法を教えてくれて・・・」
「気にすんな。明日から街を案内してくれたら助かるけどな」
「任せてくれっ!!」
「おぉそうだ。俺たちの髪色と魔法の事は秘密だぞ。俺の許可無く街中で言ったり使ったりするなよ」
「解ってるよ。お互いに捕まりたくないからな」
☆
魔法の伝授?
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