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第14章 Sin fin
第395話 その国の名は
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「まったく・・・何であの事がバレるんだよぉ。俺ですら忘れてたのによぉ・・・メルヴィが見てたって言ってたけど本当かぁ? 誰かが密告したんじゃねぇのかぁ。まさかコラソンじゃ無いだろうし、フィドキアかぁ? それともカマラダかぁ? あいつらそんな事する奴らじゃ無いはずだけどなぁ・・・」
少し前まで妻たち全員に囲まれて、罵詈雑言と体罰に更なる行動制限を約束させられて、一夜限りの代償を回収すべく魔法の毛布に乗り、数十年前に訪れた地に向かっていたエルヴィーノだ。
妻たちが行った体罰と言っても頬を叩かれたり”つねられたり”と、ほほに制限しているようだ。
もっとも魔法で簡単に癒す事が出来、その時の痛みを我慢すれば良いだけの話だ。
しかし、罵詈雑言の槍はエルヴィーノの心に深く食い込んでいた。
しかも、何本もだ。
普通であれば再起不能なほどの言葉の矢に全身を貫かれていたのだ。
何度も気を失いそうになった精神を、忘れていた思い出で耐え忍んでいた。
それは一夜限りの情事だ。
実際は二晩だが、あの時の女の子を思い出して心の支えにし、耐えがたきを耐え抜いたのだ。
記憶の中の少女は純粋で初心だった。
だが今は、かなりの高齢だろう。
妻たちによれば、その年取った母子を若返らせて、こちらに呼んで住まわせても良いと許可を貰っていた。
そうなれば、公認となって”やり放題”だ!!
エルヴィーノは、ただその一心で妻たちからの言葉の攻撃を耐え抜いたのだ。
ただ、その事を聞いた時に頬が”ほころんだ”のだろう。
その表情で心を見透かされた浮気者は、追い打ちをかけて罵られたのだった。
遥か上空を猛烈な速度で飛行しているあいだ中、ブツブツと文句を言ってはまだ見ぬ子供の事を思い多少は我が儘を聞いてやっても良いかなぁ程度に考えていた。
もっとも思考のほとんどは”あの子”と楽しむ事でいっぱいだった。
「あっそうだ、フィドキアにも連絡しておかなきゃ」
召喚するにあたり事前に念話する事で気を使うエルヴィーノだ。
(おーいフィドキアァァッ聞こえるかぁぁ!?)
(うむ、どうした?)
(今日か明日かこの数日中で召喚したいけど大丈夫か?)
(我も最近は忙しいのだがな)
割と強い意志が感じられた念話で断ってきたと思ったエルヴィーノだ。
(そっか、悪い悪い。じゃカマラダに頼むからいいや)
(ま、待て。何も召喚に応じないと言っているわけではないからな)
(でも忙しいなら邪魔したら悪いしよぉ)
(邪魔では無い。事前にわかっていれば対処できる話しだ)
(じゃ今日から数日中に頼む)
(ふむ、解った)
何故かカマラダにお願いする事を嫌がる黒い人に約束を取り付けたので、気を取り直して目的地に向かう事にした。
記憶を辿り、向かっていた先に見えたものは意外な風景だった。
以前は小さな村で、とても国とは言えず木造だけの家が多かったはずだ。
(龍人たちの力が無ければサルクロスも似たようなモノだったかもなぁ・・・)
所が遠くに見えるソレは、周りこそ木造の家が多いが、石作りの城壁も有り城や城下町も石造りが多い。
城もそれなりの大きさだ。
高さは無いが横に広く見える城だ。
(凄いなぁ)
その街に行き来する馬車や旅人も多く見られる。
(結構賑わっているんだなぁ、良かった良かった)
かなり手前で降り立ち、歩く事にしたエルヴィーノだ。
上空から見たら何本も城に続く道が有ったので、適当に道を歩いていた。
一応、前回使用した旅装束に着替えて歩いている。
頭巾付き外套を着て、髪を隠しての行動だ。
記憶では黒髪は珍しい種族のはずだ。
色を変えれば簡単だが、あえて黒髪のままで訪れる事にしたのだ。
魔素を保有しない種族のはずなので、門番での検査が心配だったが杞憂に終わった。
地元の者達は何やら通行手形の様な物を見せていたが、エルヴィーノは持っていない。
仕方なくダメ元でギルドの認識票を見せたのだ。
「ギルドの認識票でもいいか?」
「あぁ、一応内容を控えさせてもらおう」
見せたのは偽装用だが本物のアルジェントゥムの認識票だ。
記憶には無かったが、現在ではギルドの認識票が適応されるならばギルドも存在する可能性が高いと判断した。
「この国にもギルドは有るのか?」
「勿論だとも。真っ直ぐ歩いていけば大きな建物があるから分かるはずだ」
通行を許可されて門番に教えてもらい街中を歩いて行くエルヴィーノだ。
前回とは違い、かなりの街並みと変貌していた風景を見て、あの子が頑張った成果を感慨深く思っていた。
とは言え、自らが治める国々と比べると文明は低いようだった。
それでも何故か嬉しく思いニコニコと異国情緒の街並みを歩いて行く。
とりあえずギルドで国の情報を聞こうと考えて受付に向う事にした。
ギルドはそれなりに大きな建物で、中に入ると視界に入る者達は人族だけだった。
「ちょっと良いか? 旅の者だがこの国の事を教えてくれないか?」
「はい、まずはギルドの認識票を提示してください」
認識票を確認するのは若い女の受付だった。
「それでは説明します。まずこの国の名はイスラと言います。ここは王都ティエラで、国王はズライグ・M・イスラ様です。王家には特別な魔力が有りその力で国が発展し現在に至ります。王都周辺では強い魔物は存在しません。どちらかと言えば海洋の魔物が強いのでギルドから要請が出る事も有ります。ここまでは宜しいですか?」
「待ってくれ、ここの国の王はたしかフロル・イスラだったはずではないか?」
「はい、初代国王様です」
「初代?」
「はい、元々は初代様の系譜が王族でしたが、かなり昔に大戦が有りまして、初代様が伝説の魔法使い様と力を合わせて殲滅したあとに”黒龍王の妃”と呼ばれるようになり、改めて初代国王なったと聞いております」
ある単語を聞いて”たじろいだ”エルヴィーノ。
(まずい。まずいぞ、その言い回しは!! 絶対にパウリナに知られちゃぁ駄目なヤツだ)
「どうかされましたか?」
多分、顔に出ていたのだろう。
「いや、大丈夫だ。それよりも初代は存命なのか?」
「はい、かなりの高齢ですが、うちのギルド長が定期的に治癒魔法で癒されているようですから」
「初代は体の具合が悪いのか?」
「良くは知りませんが長年に渡り国を守ってきた疲労が体を蝕んでいると聞いています」
「・・・そうか」
「それでは街の特徴ですが・・・」
「待ってくれ、初代に子供は居なかったのか?」
「はい、ボノス様です」
「そのボノスはどうした?」
「ボノス様は、成人されてからは初代様と力を合わせて強固な国作りに尽力されたと伝わっています」
「・・・死んだのか?」
「いいえ、存命です。ただ・・・やはり数多の戦で不自由な体になっていると聞いてます」
「・・・そうか」
「それでは街の特徴ですが・・・」
「あと、現王になっても繁栄しているようだが、最近の事も教えて欲しい」
「・・・」
「どうした?」
「あまり大きな声では言えませんが・・・」
「解った、小声で教えてくれ」
「ボノス様にはお妃様が20人ほど居て王子様の数はその倍以上だそうです」
受付に肘をついて聞いていたが、ガクッとしたエルヴィーノだ。
「20人もいるのか・・・凄いなぁ」
「いえいえ、程ですからもっと居ると思いますよぉ」
「・・・そっか」
何故か冷や汗が出るエルヴィーノだ。
「それでねぇ、そのお子さんと言うか王子様達が権力争いしちゃって・・・」
「今の国王は?」
「いろんな噂が有りますよぉ、だってお子さんはもう三人しか居ませんから」
「はあぁぁ!! 三人だけかぁ!!」
「ダメですよぉ大きな声出しちゃ」
「す、すまん。と言う事は兄弟で殺し合いか?」
「流石に直接は無いと思います。いくつもの派閥があったようですからねぇ」
「でも今の国王もそれなりの年だろ?」
「一応皇太子もいらっしゃいますが・・・」
「王子が20人くらい居るのか?」
「いえ・・・」
「どうした? ここまで言って教えないなんて無いだろぉ」
「ですが自国の恥なので・・・」
自国の恥と言われて耳が痛いエルヴィーノだ。
全ての元凶は自分なのだから。
「君が言わなきゃ他の人に聞くけど?」
間違った情報を教えて拡散されると余計に自国の印象が悪くなると判断した受付は、思い切って正しい情報を提供する事にした。
「王子様は異母兄弟で3人だけですが、現王の兄弟様が存命だった頃に多くの種がばら撒かれた様で、自称王族の方たちが更に子孫を増やしている様なのです」
「・・・一応聞くが、殺し合いで死んだのではないのか?」
「解りませんが、ほとんどが亡くなられたと聞いていますけど、赤子のまま隠し子として育った子がまだ存在するようです」
「それは見つかった場合、どうなる?」
「多分捕まって処刑されると思います」
「・・・しかし血族で殺し合いってどうなってんだぁ?」
「そうですよねぇ、私もおかしいと思います。だけど年に一度の魔法比べが有って血族の方たちが皇太子の座を争う試合が数日後に行われるんですよ」
「じゃ何か? その試合で殺しあうのか?」
「以前は命に係わる事も有ったようですが、近年は御三家だけなので微妙な力関係ですけどね」
「御三家?」
「はい、国王のご兄弟のお后様の・・・力関係です」
「・・・ああ、なるほど・・・じゃ王子達の子供も沢山居るのか?」
「そこは流石に王族も管理されているらしくて、それぞれ世継ぎ候補を二人までに制限されているらしいですよ」
「それで、試合はどこまでが出るんだ?」
「王様以外の王族男子が全てだそうです」
「・・・そうか。ありがとう、色々聞けて良かった」
昼過ぎでお茶の時間なのか、ギルド内には人がまばらだった。
おかげで誰にも邪魔されず、貴重な情報を入手したエルヴィーノだ。
☆
自分の子孫の行いに、身が縮む思いだった。
少し前まで妻たち全員に囲まれて、罵詈雑言と体罰に更なる行動制限を約束させられて、一夜限りの代償を回収すべく魔法の毛布に乗り、数十年前に訪れた地に向かっていたエルヴィーノだ。
妻たちが行った体罰と言っても頬を叩かれたり”つねられたり”と、ほほに制限しているようだ。
もっとも魔法で簡単に癒す事が出来、その時の痛みを我慢すれば良いだけの話だ。
しかし、罵詈雑言の槍はエルヴィーノの心に深く食い込んでいた。
しかも、何本もだ。
普通であれば再起不能なほどの言葉の矢に全身を貫かれていたのだ。
何度も気を失いそうになった精神を、忘れていた思い出で耐え忍んでいた。
それは一夜限りの情事だ。
実際は二晩だが、あの時の女の子を思い出して心の支えにし、耐えがたきを耐え抜いたのだ。
記憶の中の少女は純粋で初心だった。
だが今は、かなりの高齢だろう。
妻たちによれば、その年取った母子を若返らせて、こちらに呼んで住まわせても良いと許可を貰っていた。
そうなれば、公認となって”やり放題”だ!!
エルヴィーノは、ただその一心で妻たちからの言葉の攻撃を耐え抜いたのだ。
ただ、その事を聞いた時に頬が”ほころんだ”のだろう。
その表情で心を見透かされた浮気者は、追い打ちをかけて罵られたのだった。
遥か上空を猛烈な速度で飛行しているあいだ中、ブツブツと文句を言ってはまだ見ぬ子供の事を思い多少は我が儘を聞いてやっても良いかなぁ程度に考えていた。
もっとも思考のほとんどは”あの子”と楽しむ事でいっぱいだった。
「あっそうだ、フィドキアにも連絡しておかなきゃ」
召喚するにあたり事前に念話する事で気を使うエルヴィーノだ。
(おーいフィドキアァァッ聞こえるかぁぁ!?)
(うむ、どうした?)
(今日か明日かこの数日中で召喚したいけど大丈夫か?)
(我も最近は忙しいのだがな)
割と強い意志が感じられた念話で断ってきたと思ったエルヴィーノだ。
(そっか、悪い悪い。じゃカマラダに頼むからいいや)
(ま、待て。何も召喚に応じないと言っているわけではないからな)
(でも忙しいなら邪魔したら悪いしよぉ)
(邪魔では無い。事前にわかっていれば対処できる話しだ)
(じゃ今日から数日中に頼む)
(ふむ、解った)
何故かカマラダにお願いする事を嫌がる黒い人に約束を取り付けたので、気を取り直して目的地に向かう事にした。
記憶を辿り、向かっていた先に見えたものは意外な風景だった。
以前は小さな村で、とても国とは言えず木造だけの家が多かったはずだ。
(龍人たちの力が無ければサルクロスも似たようなモノだったかもなぁ・・・)
所が遠くに見えるソレは、周りこそ木造の家が多いが、石作りの城壁も有り城や城下町も石造りが多い。
城もそれなりの大きさだ。
高さは無いが横に広く見える城だ。
(凄いなぁ)
その街に行き来する馬車や旅人も多く見られる。
(結構賑わっているんだなぁ、良かった良かった)
かなり手前で降り立ち、歩く事にしたエルヴィーノだ。
上空から見たら何本も城に続く道が有ったので、適当に道を歩いていた。
一応、前回使用した旅装束に着替えて歩いている。
頭巾付き外套を着て、髪を隠しての行動だ。
記憶では黒髪は珍しい種族のはずだ。
色を変えれば簡単だが、あえて黒髪のままで訪れる事にしたのだ。
魔素を保有しない種族のはずなので、門番での検査が心配だったが杞憂に終わった。
地元の者達は何やら通行手形の様な物を見せていたが、エルヴィーノは持っていない。
仕方なくダメ元でギルドの認識票を見せたのだ。
「ギルドの認識票でもいいか?」
「あぁ、一応内容を控えさせてもらおう」
見せたのは偽装用だが本物のアルジェントゥムの認識票だ。
記憶には無かったが、現在ではギルドの認識票が適応されるならばギルドも存在する可能性が高いと判断した。
「この国にもギルドは有るのか?」
「勿論だとも。真っ直ぐ歩いていけば大きな建物があるから分かるはずだ」
通行を許可されて門番に教えてもらい街中を歩いて行くエルヴィーノだ。
前回とは違い、かなりの街並みと変貌していた風景を見て、あの子が頑張った成果を感慨深く思っていた。
とは言え、自らが治める国々と比べると文明は低いようだった。
それでも何故か嬉しく思いニコニコと異国情緒の街並みを歩いて行く。
とりあえずギルドで国の情報を聞こうと考えて受付に向う事にした。
ギルドはそれなりに大きな建物で、中に入ると視界に入る者達は人族だけだった。
「ちょっと良いか? 旅の者だがこの国の事を教えてくれないか?」
「はい、まずはギルドの認識票を提示してください」
認識票を確認するのは若い女の受付だった。
「それでは説明します。まずこの国の名はイスラと言います。ここは王都ティエラで、国王はズライグ・M・イスラ様です。王家には特別な魔力が有りその力で国が発展し現在に至ります。王都周辺では強い魔物は存在しません。どちらかと言えば海洋の魔物が強いのでギルドから要請が出る事も有ります。ここまでは宜しいですか?」
「待ってくれ、ここの国の王はたしかフロル・イスラだったはずではないか?」
「はい、初代国王様です」
「初代?」
「はい、元々は初代様の系譜が王族でしたが、かなり昔に大戦が有りまして、初代様が伝説の魔法使い様と力を合わせて殲滅したあとに”黒龍王の妃”と呼ばれるようになり、改めて初代国王なったと聞いております」
ある単語を聞いて”たじろいだ”エルヴィーノ。
(まずい。まずいぞ、その言い回しは!! 絶対にパウリナに知られちゃぁ駄目なヤツだ)
「どうかされましたか?」
多分、顔に出ていたのだろう。
「いや、大丈夫だ。それよりも初代は存命なのか?」
「はい、かなりの高齢ですが、うちのギルド長が定期的に治癒魔法で癒されているようですから」
「初代は体の具合が悪いのか?」
「良くは知りませんが長年に渡り国を守ってきた疲労が体を蝕んでいると聞いています」
「・・・そうか」
「それでは街の特徴ですが・・・」
「待ってくれ、初代に子供は居なかったのか?」
「はい、ボノス様です」
「そのボノスはどうした?」
「ボノス様は、成人されてからは初代様と力を合わせて強固な国作りに尽力されたと伝わっています」
「・・・死んだのか?」
「いいえ、存命です。ただ・・・やはり数多の戦で不自由な体になっていると聞いてます」
「・・・そうか」
「それでは街の特徴ですが・・・」
「あと、現王になっても繁栄しているようだが、最近の事も教えて欲しい」
「・・・」
「どうした?」
「あまり大きな声では言えませんが・・・」
「解った、小声で教えてくれ」
「ボノス様にはお妃様が20人ほど居て王子様の数はその倍以上だそうです」
受付に肘をついて聞いていたが、ガクッとしたエルヴィーノだ。
「20人もいるのか・・・凄いなぁ」
「いえいえ、程ですからもっと居ると思いますよぉ」
「・・・そっか」
何故か冷や汗が出るエルヴィーノだ。
「それでねぇ、そのお子さんと言うか王子様達が権力争いしちゃって・・・」
「今の国王は?」
「いろんな噂が有りますよぉ、だってお子さんはもう三人しか居ませんから」
「はあぁぁ!! 三人だけかぁ!!」
「ダメですよぉ大きな声出しちゃ」
「す、すまん。と言う事は兄弟で殺し合いか?」
「流石に直接は無いと思います。いくつもの派閥があったようですからねぇ」
「でも今の国王もそれなりの年だろ?」
「一応皇太子もいらっしゃいますが・・・」
「王子が20人くらい居るのか?」
「いえ・・・」
「どうした? ここまで言って教えないなんて無いだろぉ」
「ですが自国の恥なので・・・」
自国の恥と言われて耳が痛いエルヴィーノだ。
全ての元凶は自分なのだから。
「君が言わなきゃ他の人に聞くけど?」
間違った情報を教えて拡散されると余計に自国の印象が悪くなると判断した受付は、思い切って正しい情報を提供する事にした。
「王子様は異母兄弟で3人だけですが、現王の兄弟様が存命だった頃に多くの種がばら撒かれた様で、自称王族の方たちが更に子孫を増やしている様なのです」
「・・・一応聞くが、殺し合いで死んだのではないのか?」
「解りませんが、ほとんどが亡くなられたと聞いていますけど、赤子のまま隠し子として育った子がまだ存在するようです」
「それは見つかった場合、どうなる?」
「多分捕まって処刑されると思います」
「・・・しかし血族で殺し合いってどうなってんだぁ?」
「そうですよねぇ、私もおかしいと思います。だけど年に一度の魔法比べが有って血族の方たちが皇太子の座を争う試合が数日後に行われるんですよ」
「じゃ何か? その試合で殺しあうのか?」
「以前は命に係わる事も有ったようですが、近年は御三家だけなので微妙な力関係ですけどね」
「御三家?」
「はい、国王のご兄弟のお后様の・・・力関係です」
「・・・ああ、なるほど・・・じゃ王子達の子供も沢山居るのか?」
「そこは流石に王族も管理されているらしくて、それぞれ世継ぎ候補を二人までに制限されているらしいですよ」
「それで、試合はどこまでが出るんだ?」
「王様以外の王族男子が全てだそうです」
「・・・そうか。ありがとう、色々聞けて良かった」
昼過ぎでお茶の時間なのか、ギルド内には人がまばらだった。
おかげで誰にも邪魔されず、貴重な情報を入手したエルヴィーノだ。
☆
自分の子孫の行いに、身が縮む思いだった。
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